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Meet Your Barista (and Roaster!) : Kosuke

KurasuのMeet Your Baristaシリーズでは、Kurasuで働くバリスタたちをご紹介します。いつも話しているバリスタとの意外な共通点が見つかるかも?! Kosuke 1. コーヒーの世界に入ったきっかけや、バリスタになった理由を教えてください。 学生時代、カフェでアルバイトをしていて、地元の先輩が帰省の度に顔を出してくれるのが嬉しくて、いつか自分のお店を作りたいなと考えるようになったのが一番最初です。それから、ひとまず、カフェを開くのに必要かなと思ったコーヒーの勉強をするため、喫茶店や自家焙煎のコーヒーショップを飲み歩くようになって、ネットで国内外問わず、コーヒーショップを調べ、豆を買えるところは買って、色々なコーヒーを飲んでるうちに、カフェをしたいという気持ちよりもコーヒーそのものにすごく惹かれるようになってました。仕事にしたいとか、バリスタになりたいとかっていう気持ちよりは、ただ単純な興味、エスプレッソマシンを触ってみたいとか、コーヒーを淹れることそのものがすごく楽しかったので、もう少し先まで見てみたいという想いで、小川珈琲でアルバイトし始めたのがきっかけです。   2. Kurasuで働きたいと思った理由は? 焙煎をしたかったからです。小川珈琲で働いて一年くらい経って、バリスタとしてではなく、スーパーコーヒーマンになるためのステップを考えた時、次は海外の有名店にアタックして、働かせてもらうか、焙煎をさせてもらえる環境を探すかのどちらかだなと感じました。それから、コーヒーショップの求人やワーキングホリデーの情報をこまめにチェックしていく中で、あやかさんに焙煎はどうかと声を掛けていただきました。話を聞いてみると、導入予定のGiesenでの焙煎を一から任せてもらえるということで、ここしかないし、今しかないと思いました。 3. Kurasuをユニークにしている、アピールポイントは何だと思いますか? バランス。僕たちの使命として、一番は一人でも多くの人が美味しいコーヒーを選ぶ未来を作っていくこと、そして、そこに導いていくことだと思うので、その上でやっぱり今を無理をし過ぎないというか、お店とお客さんの間に生まれる負荷が極めて少ないというのが、Kurasuの一番の魅力かなと一消費者として感じます。   4. 普段はどのようなコーヒーを好んで飲まれますか? フィルターばかりです。多分、覚えてないだけで飲んではいると思うんですが、お店でラテやカプチーノを最後に頼んだのいつやっけな?ってくらい、普段はブラックのコーヒーしか飲んでません。小学校の給食がトラウマで未だに牛乳はあまり好きではないです。 オリジンでいうと、表向きにはコロンビア、ホンジュラスが好きだと言うようにしてます。その方がプロっぽいので。でも、実はウォッシュドのエチオピアも同じくらい大好きです。 5. バリスタとしてコーヒーを作る中で、何が一番好きですか? ラテとかカプチーノですね。本当は調子が良い日、悪い日とか言ったらダメなんですが、でも、ミルクの調子が良い日の何でも書けそうな気がする瞬間が結構好きです。実際には何にも書けないですけど。   6. コーヒー・ドリンクを作る際に気を付けていることは? 出来るだけ、清潔な環境を保とうと意識してます。家で料理する時も、出来ないもの、作ったことないものを作る時ほど、キッチンは荒れるもので、仕事である以上は、素早く、綺麗に提供したいなと常々気を付けてます。 7. Kurasu以外に好きなカフェを京都・日本・海外の3つから教えてください。 京都: ・アカツキコーヒー ここが家の近くになければ、コーヒーに夢中になることはなかったかもしれません。 ・回廊カフェ 人生に悩んだら、避難する場所 日本: ・Weekenders Coffee 普段あんまり行きませんが、僕の中の世界一 海外: ・Tim Wendelboe 僕は行ったことありません。でも、日本からオスロまで、一人の若者を向かわせる何かがあって、そのパワーって凄いなって思います。   8. 京都に来られたお客様へおすすめスポットは? 観光名所は多分、僕より来られる方の方がよくご存知かと思います。でも、実家のある地域は静かで、さらに奥に行くと大原というすごく自然豊かな場所があって、採れたての卵で卵かけご飯なんかも食べられたりして、おすすめです。 9. 今後Kurasuでのやりたいこと、目標は?また、Kurasu以外での大きな目標はありますか? バリスタとしては、年単位でいいので、提供するコーヒーのクオリティーを上げていけたらと思います。Kurasuのコーヒー、去年より美味しくなったよねの繰り返しを10年くらい続けてれば、いずれ世界一になれると思うので。そのご褒美的な感じで、何かしらの大会で優勝とか出来たら最高ですね。 個人では世界一周食べ歩き旅行を敢行します!多分!

Meet Your Barista: Satoshi

Kurasuの新しいMeet Your Baristaシリーズでは、Kurasuで働くバリスタたちをご紹介します。いつも話しているバリスタとの意外な共通点が見つかるかも?! Satoshi 1. コーヒーの世界に入ったきっかけや、バリスタになった理由を教えてください。 ワーキングホリデーでオーストラリアに一年間滞在時、旅行で訪れたメルボルンのカフェで飲んだラテが美味しすぎて、帰国後神戸のスターバックスでバリスタとして働き始めました。スターバックスでの1年半のかけがえの無い経験の後、今度はニュージーランドに渡り、オークランド中のカフェに履歴書を配りました。NZには4年間滞在し、腕を磨きました。 2. Kurasuで働きたいと思った理由は?ニュージーランドでバリスタとして働いた後、当時在籍していたMisakoの紹介でKurasuのバリスタの募集を知り日本に帰国しました。Misakoの焼いたコロンビアが決め手でした。 3. Kurasuをユニークにしている、アピールポイントは何だと思いますか? お客様との心の距離です。4. 普段はどのようなコーヒーを好んで飲まれますか? その日によって様々ですが、朝いちのエスプレッソの調節後、ベストなショットで入れるダブルショットのフラットホワイトが昔から好きです。その日の天気を眺めながら、今日はどんな一日になるのだろう、とワクワクしながら飲むのは格別です。5. バリスタとしてコーヒーを作る中で、何が一番好きですか? 味の調節、カリブレーションと呼ばれる作業です。試行錯誤の後、自分がこれだと思う味をお客様に提供し、そのコーヒーを美味しいと思って頂けた時はバリスタ冥利に尽きます。 6. コーヒー・ドリンクを作る際に気を付けていることは? 真心を込めて淹れることです。スターバックス在籍時に尊敬する先輩から教わった「一杯入魂」の精神を忘れずに、今作っているドリンクがこれまででベストな一杯であるように、日々心がけています。7. Kurasu以外に好きなカフェを京都・日本・海外の3つから教えてください。 京都/Kyoto:Style Coffee日本/Japan:Beyond Coffee海外/Overseas(All NZ):Espresso Workshop, IMA Cuisine, i press, Red Rabbit, Chuffed, Between… (全てNZ, Auckland)数え挙げるとキリが無いのでまた興味のある方は久米に聞いてみて下さい。8. 京都に来られたお客様へおすすめスポットは? サウナの梅湯でととのってからの、・Kyoto Beer Lab・Hachi Record Shop・Craft House Kyotoのいずれかでクラフトビールを飲むツアーAfter taking a quick refreshment in UMEYU’s public bath...

Goodman Roaster Kyoto (京都) : 2020年1月#クラスパートナーロースター

2020年第一回目の#クラスパートナーロースターとしてご紹介するのは、京都のGoodman Roaster Kyoto。台湾の阿里山で栽培されているコーヒーを主に専門で扱うロースターだ。オーナーの伊藤さんは、旅行で訪れた台湾で阿里山コーヒーの可能性を見出し、空港の片隅、「下敷き一枚」の販売スペースで、異国でゼロからの挑戦を始めた。現在では台湾で2店舗を経営し、現地のコーヒーカルチャーを動かしているGoodman Roaster。昨年11月に、日本一号店となる京都店がオープンした。言葉がわからない、初めて住む場所、台湾。そこで文字通り身一つでスタートし、台湾から日本、京都へと旅を続けてきた伊藤さんーその道のりには、いつも背中を押してくれた恩師の言葉と、家族の支えがあった。 阿里山コーヒーとの出会い 東京で生まれ、最初のキャリアはアパレル業界でスタートしたという伊藤さん。25歳の頃に、かねてから強く憧れ志望していたスターバックスに入社した。そこから5年間、主に都内の店舗でバリスタとして経験を積んだ。 「スタバでは、エンターテイナーとしての技術、そしてホスピタリティについてとてもたくさんの事を学びました」そう伊藤さんは話す。しかし、大企業特有の不自由さや閉塞感、マネジメントに徹する店長への昇進のオファーなどが、次第に伊藤さんの心をバリスタという仕事へ向き合う純粋な姿勢以上に圧迫するようになってきたという。 このまま働いていても、コーヒーの生産から消費までのほんの一部しか見ることができない。もっとコーヒーについて知りたい、色々な経験を積んで、接客技術の幅も広げたい。そう考えるようになった伊藤さんは、「日本から一番近く、真剣にコーヒーを栽培しているのは台湾」と友人から聞いたのをきっかけに、台湾のコーヒーの産地である阿里山を訪れた。「山に行った時に、そこで採れたコーヒーを浅煎りで、サイフォンで淹れてくれたんです。浅煎りを初めて飲んだのがその時で、サイフォンで。衝撃を受けました」と、伊藤さんは今も鮮やかに心に残っている瞬間を振り返る。阿里山コーヒーとの出会いだ。 恩師との出会い さて、伊藤さんには、若い頃から尊敬し、著作は全て読んでいるという憧れの人がいた。クールジャパンなどの旗振り役を務めた、伊勢丹の伝説的なバイヤー、故・藤巻幸夫氏だ。そんな憧れの人が、偶然伊藤さんの勤務していたスターバックスに訪れた。「思わず声をかけた」と伊藤さんは言う。面白いやつだ、と気に入られて以降氏との親交は続き、それに伴って伊藤さんの旅路も大きく変化することになる。 藤巻氏との出会いから1年後、JRとの協賛企画であり<日本発信>をテーマとしたコンセプトショップ、「Rails 藤巻商店」のオープンに際し、伊藤さんに声がかかった。伊藤さんは藤巻商店の一員として店に立ち、休日には藤巻氏と日本全国を巡って焼き物、食品、着物と日本の名品をキュレートする旅に出た。 2年ほどが経ち、藤巻氏の政界進出を機に、Rails 藤巻商店は店をたたむ事になる。ちょうどその頃、以前の訪問以来連絡を取り続けていた台湾の農園からも閉業の知らせが届く。何とか続ける方法はないか。そんな思いで、当初は日本への卸売のルートを確立させようと考えた。しかし海外で事業を行うのは、大きな賭けだ。相談する人皆に反対されたアイデアだったが、藤巻氏だけは賛成してくれた。藤巻氏がいつも言っていたのが、「日の目を見ていない商品に、スポットライトを当ててやれ」。今回も、やってみろ、と背中を押してくれたのだ。   いざ台湾へ そうして台湾行きを決断した伊藤さんだったが、何しろ言葉が分からず、資金もない。手始めに、シェアロースターを借りて阿里山コーヒーの焙煎を始めた。しかし中国語が話せない為に、現地の人々相手に商売ができない。さらに阿里山コーヒーと言うと、地元の人々の間では「あまり出回っておらず、サービスエリアで飲むようなコーヒー、とにかく高い、まずい」という不評がすでに根強く、あの日阿里山で飲んだ浅煎りの美味しさを伝えられるようになるにはあまりにも道のりが険しい。 そこで頭を絞った結果、羽田空港からの定期便が発着する松山空港で、日本人旅行客をターゲットにコーヒーを売ることを思いついた。 知人のつてで免税店のバイヤーを紹介してもらい交渉した結果、「日本行きのゲートのエリアで、1ヶ月だけ契約、売り上げの50%は免税店に」と言う約束で販売できる運びとなった。割り当ててもらえたのは、下敷き一枚ほどの小さなスペース。そこで試飲販売をしながら、焙煎した阿里山コーヒーを売り始めた。 家族も共に移住して、子供も生まれたばかり。絶対にこのチャンスをものにしなければ、と心を決めた伊藤さんの猛進が始まったのがそこからだ。とにかく声を出して少しでも多くの人に興味を持ってもらい、販売時間以外は到着ゲートに行き、警備員に止められながらもチラシを配っては、「帰国される時に空港でまたぜひ」と呼びかけた。そんな努力の甲斐あって、「面白い日本人が台湾のコーヒーを売っている」と口コミが広がり、1日15万円を売り上げるほど注目を集めるまでになったのだ。 当然契約は毎月のように更新され、半年ほど販売を続けていると、台湾の雑貨店からも声がかかるようになった。Fujin Treeや誠品書店など、知名度のある雑貨店に取り上げられるようになると、テレビの取材やビジネス雑誌への掲載などの依頼も立て続けに入り、認知度が一気に上がったという。2013年には最初の実店舗をオープンし、その後台湾に4店舗、香港に1店舗を構える大人気ロースターへと成長することになった。 転換期 ビジネスの規模はどんどんと大きくなり、一時期は従業員の数が20人を超えるほどの大所帯となったGoodman Roaster。しかしそこで、次第に難しさも感じ始めたと伊藤さんは振り返る。自分以外のスタッフ全員人が台湾人で、育った環境や文化の違い、そして専門性の高い会話における言語の壁、さらには経営に対する意識の違いなどが徐々に浮き彫りになって来たのだ。台湾という異国の地で、日本人が経営するという困難と苦労、そしてそれに時間やエネルギーを割かなければいけないために、思うように若手を育てられないストレスと焦り。伊藤さんは断腸の思いで台湾の2店舗のみを残し、「選択と集中」の決断をした。 規模を小さく丁寧に再出発したところ、売り上げも伸び、その経験を機に伊藤さんの中で変化が起こった。「ビジネスを大きくする事に、全く興味がなくなりました。自分はそれよりも、自分自身の成長に集中したいんだ、そう気がつきました」と伊藤さんは話す。「今はバランスを整える事に重きを置いています。例えば、お金を理由にして食べたいものを食べない、などという決断はしたくない、だからと言って売り上げのためにもっとビジネスを伸ばしたくはない。でも生活のため収益は必要。そんなところのバランスを、落とし所を見つける作業です」 そうこうしているうちに、台湾にやって来て7年が経った。元々は5年で日本に帰るという目標を立てていたという伊藤さんには、もう一つ、いつも心に留めていた目標があった。それは藤巻氏との約束、「ものになったら日本に帰って来てアウトプットをする」こと。ゼロからのスタートで、ここまでたどり着いた。ならば、日本に帰る時が来たのではないか。そう感じる瞬間を、伊藤さんは迎えた。 日本での拠点に京都を選んだのは、旅行で訪れた際に直感で気に入ったから。街の雰囲気、職人気質の人間が多い場所に、心惹かれるものがあり、Goodman RoasterはGoodman Roaster Kyotoとして、新たに日本の地にオープンすることとなった。 Goodman Roaster の焙煎 「資格や大会に全く興味はなく、”美味しい”というところに興味がある」と話す伊藤さんは、他のロースターとは異なるアプローチをしている。ロースターというと、焙煎技術を極めている職人、のような姿勢で焙煎を行う人が多く、素材の良し悪しが十分に重視されていないと伊藤さんは考える。むしろ、どんな素材であっても美味しく焙煎するのが腕の見せ所、というような部分すらあるのではと感じているという。 「僕は素材がとにかくまず重要だと考えています。今では焙煎の技術はコンピューターである程度管理できてしまう。だからその技術よりも、まず生豆の良し悪し、クオリティを嗅ぎ分けられる嗅覚と味覚を鍛える事が重要なんです。食べ物でも、素材が良いものに味付けはほとんど必要ないですよね。深煎りって、例えて言えば醤油を思いっきりかけるような事だと思っています。うちでは浅煎りに限定しているわけではないのですが、素材が良いものを選び、その良さを活かそうと思えば自然と浅煎りになるんです。特にフィルター用のコーヒーは絶対にいいものを仕入れている、という自負がある」、そう伊藤さんは言う。 Goodman Roasterで使用している焙煎機はディードリッヒ。台北では12kg、京都では5kgで焙煎を行なっている。「今のスペシャルティを焼くのに直火はあり得ない」と話す伊藤さんが特に心酔しているのが、エスプレッソブレンドを焙煎するときに発揮されるディードリッヒの本領だ。赤外線の力で、ボディ、クレマ共に素晴らしいものが焼けるのだと伊藤さんは目を輝かせる。 日本に帰ってきて感じること、これからのビジョン 「これはコペンハーゲンに行ったときに強く感じたんですが、普段の生活における心の豊かさと、コーヒーを飲む時間を楽しめる事とは繋がっていると思っています。豊かだからコーヒーが飲めるのか、コーヒーで心が豊かになるのか・・・、それはまだ答えの出ない問いですが、日本に帰って来て、『コーヒー飲んでる場合じゃないでしょ』、『コーヒー飲んでる時間はない』と言われてびっくりした事があって。ただコーヒーを飲む、その時間を楽しむと言う豊かさが失われているのではないか、そう思いました」と伊藤さん。 京都店ではまず1年間、一人で現場に立ち、お客様に接していくと決めている。少しでも多くの人に、リラックスしてコーヒーを味わう時間を持ってもらえるよう、生粋のエンターテイナーとして、京都に新しい風を吹かせよう、そう考えているという。 現場に全部の答えがある、と藤巻氏は言った。台湾で得たものを日本へ、そして日本での新しい体験をまた台湾へ。お客様を楽しませないと意味がない、をモットーに、ユニークなルーツを持つロースターとして、日本でもいよいよその名を轟かせていく事だろう。

メディア掲載:カフェ‐スイーツ Vol.180 February-March 2017

コーヒー好きの方々やプロフェショナルに幅広く愛読されている雑誌、カフェ・スイーツのVol.180 February-March 2017号にKurasu Kyotoが掲載されました!素敵な店内写真と共にご紹介いただいています。ぜひチェックしてみてください!   

Oyamazaki Coffee Roasters: 2017年1月 #クラスパートナーロースター

Kurasuが次にご紹介するロースターは、京都の大山崎COFFEE ROASTERS。 シンプルな原点を大切に、物事の優先順位を、そしてその理由を忘れない。簡単なように思えて、実は最も難しいこの姿勢。忙しい日々に追われながら、「今の自分の生活はこれでいいのだろうか」という問いがふと頭をよぎった事がある人は少なくないだろう。そんな問いに真正面から向き合い、自分たちの道を切り開いたのが大山崎COFFEE ROASTERSの中村夫妻だ。Kurasuはお二人のこれまでの歩みと、ユニークなビジネススタイルについてのお話を伺ってきた。     夫妻は2010年末に結婚。中村さんと妻まゆみさんはそれぞれ仕事も順調で、充実した日々を送っていた。中村さんはコンサルティングという職業柄出張も多く、平日もなかなか家に帰ることができなかった。独身時代は苦にならなかったそんな生活だが、結婚しても共に過ごす時間が思うように取れない日々に、次第に疑問を持ち始めたという。そんな時、東日本大震災が起きる。中村さんは出張中だったが、何とか無事帰宅することができた。その日を境に、以前から抱いていた「家族は一緒にいた方がいい」という思いが固まったという。ライフスタイルから見直そうと決断した二人は、まずは自分たちがどんな生き方や生活をしたいのかをじっくりと話し合った。そうして出した答えが、東京ではないどこか別の場所に住み、二人でできる仕事を始めるという道だった。 2012年―仕事を辞め、日本各地を巡りながら移住先を探す旅が始まった。マンションも引き払い、8月末には退去が決まっていたが、5月になっても6月になっても、移住先は決まらなかった。これだと思う土地に出会えないまま退去日が迫る7月、京都の宇治市出身であるまゆみさんがふと大山崎の存在を思い出す。京都で暮らしていた頃、普段は電車で通り過ぎてしまうだけだった場所。アサヒビールの美術館があり、数回降り立ったことはあるものの、あまりよく知らない土地。それでも、電車の窓から見える、景色がそこだけぽかんとなにもない大山崎の風景が、心のどこかに焼き付いていた。 週末に、二人で大山崎の町をひたすら歩いて周った。すぐに町を気に入った二人はその足で不動産屋に行き、物件を決めたという。   相談を重ね、夫妻は二人がその時一番興味があったコーヒーに関わる仕事をしようと決意する。まずはカフェを想定し物件を町内で探したが見つからない。その時に思いついたのが、自家焙煎とネット販売だけの小さなビジネスだった。東京でもワークショップに参加するなど、もともと焙煎に興味があったこともあり、焙煎機さえあればでき、人が来られない立地でもインターネットを使えばどこへでも売ることができる業態は理想的な選択だった。   2013年6月、自宅に焙煎機を置いて焙煎を開始し、ネット販売のみでスタート。数か月後には駅前のレンタルスペースで販売する機会も得た。それを機にマーケット・イベント出店という方法を知り、同年の夏にはマーケットへの出店を始める。人口1万5千人の小さな町で、すぐにその噂は人々の耳に届いた。 大山崎には物作りに携わる人が多く住んでいるため、コーヒーに限らず、様々な物に興味とこだわりを持つ人が多く、彼らは常に新しいものへのアンテナを張っている。そんな彼らがまず店を見つけ、常連となり、一緒にイベントを開催したり、映画まで作ったりしては、出会いが出会いを呼び、地元に輪が広がっていったのだという。その後行うことになるアートギャラリーでの提供や、アンティーク家具が印象的なゲストハウス、パンとサーカスでの提供をはじめとする取引は、地元の人間関係やイベントでの出会いから生まれたものがほとんどだ。 2014年11月に店舗をオープンしてからも、豆販売だけという姿勢は変えなかった。来る人に、コーヒーを楽しみながら豆を選んでもらいたい―そんな思いで、コーヒーを商品としてではなく、試飲サービスとして提供する形を選んだ。 試飲という形であれば、カフェと異なり回転率も気にせず、楽しくどんどん飲んでもらい、気に入ったら豆を買ってもらえばそれでいい、というやり方でよい。これが二人の理想にぴったりはまったという。狭い店内では、地元の人も遠くから来た人も、肩が触れ合う程の距離でコーヒーを飲みながら過ごすことになる。そこで生まれる会話や新しい発見がまた楽しいのだ。試飲しかしていなくて店は大丈夫なのか、と心配されることもあれば、カフェと間違えられることも多い。試飲を勧めても最初は遠慮する人もいる。しかし、試飲しかできないからこそのゆるやかさは、確実に店の魅力、そして個性の強みであると自負している。 大山崎COFFEE ROASTERSが生豆を選ぶときの基準は主に二つ。バラエティに富んでいる事、そして自分たちも飲んでみたいと思わせてくれる面白さがある事だ。 常連客のほとんどが地元の人々であることを考慮して、600円から1000円というある程度の価格帯の中で、種類を豊富に揃え、自信をもって面白いと言えるものを高品質で提供すると決めている。そのため、現時点ではカップオブエクセレンスなどの高価な豆を取り扱う予定はない。 豆の焼き具合は味のバランスを見て決めている。ミディアム、ハイ、シティー、フルシティーと4種類の焙煎度合を設定し、毎回新しい豆が届くと最低4回は焙煎して、二人でカッピングしては、それぞれの豆に最適な焙煎方法を決める。便宜上4種類に分けているとはいえ、豆によってはシティーの中でも浅め、深め、など、細かく調整を行っているという。    オンラインショップにも二人の姿勢がはっきりと表れている。コーヒーを美味しく飲むために必要な情報だけに抑えた豆紹介に用いる写真は、何気ない背景のように見えて、実はそれぞれの豆の味わいをイメージしたもの。土の力強さ、スパイスのひらめき、爽やかな緑―商品を実際に手に取れず、情報が限られるネットショップから始めた彼らだからこそ、視覚的な情報の重要性を理解し、見ただけで味をイメージできる助けになるようなものを作っているのだ。味わいの説明に用いる表現も自分たちなりの言葉を使うよう心掛けている。きなこや緑茶など、味を例える食べ物はできるだけ日本にある食べ物や、想像しやすい例えを使い、わかりやすさを大切にしている。 最近、焙煎機を変えた。これまではフジローヤルのディスカバリー200gを使用していたが、卸売も増えた今、イベント出店時などにも幅広く対応できるようにするべく、軽井沢のGRN 1kg釜を選んだ。焙煎後3-4日の最適な状態で豆を提供するために、通常は発注があってから焙煎を行っている。100gなどの小さいバッチにも対応でき、余った豆を棄てるなどして農家やバイヤーたちの努力を一粒でも無駄にすることのないよう、バランスを考えた末の1kgという選択だ。卸売時など、それでも小さすぎ負担が大きくなる時もある。「大変ではあるが、大切なこと」と二人は笑顔で話す。焙煎機がいくら大きくなっても、二人でピッキングしている以上、スピードは変わらないことも規模を大きくしすぎない理由だ。二人で一緒に、できる範囲でやっていく。それが彼らの原点なのだ。  大山崎COFFEE ROASTERSの特徴の一つに、「豆を決して挽いて売らない」というものがある。豆のままでしか販売しないのだ。せっかく来店し興味を持ってもらっても、ミルを持っていないために販売を断らざるを得ず、初めのうちは客を逃すことも多かったという。 決して生活が楽だったわけではない。将来に対する不安も大きかった。しかし、なぜそれほどまでに自分たちのこだわりを貫くことができたのだろうか。 すると中村さんから、「だめならしょうがないや、と思っていたからでしょうね」と、少々意外な答えが返ってきた。コーヒー業界にいたことがなかった二人は、この世界に単なるコーヒー好きとして飛び込んだのだと中村さんは言う。つまり二人は商売としての観点からではなく、ただただ一番美味しくコーヒーを飲んでもらうにはどうしたらいいだろうか、それにはやはり、新鮮な豆を自分で挽いてもらう事が重要であり、そうでなければ美味しくないだろう、というシンプルな思いひとつでコーヒーを作り始めたのだ。もし業界に数年身を置くところから始めていたら、顧客の希望に合わせて豆を挽いて売ることは当然と考えていたかもしれない。また、会社を辞め、もう後には引けない、絶対にコーヒーだけで生きていかねばと意気込んでいれば、生活のため多くの妥協も避けられなかっただろう。 大切な家族とどう生きるかを考え進んだ道で、自分たちのペースで好きなものと向き合い出会いをつなげたら、二人だけのユニークな、地元の人に愛される店が生まれた。その道のりを振り返るほどに、めぐり合わせの不思議な力、そして、心から望む生き方を自らに問うことの大切さを改めて教えられるように思う。 豆詳細: ・エルサルバドル サンタリタ ブルボン ナチュラル(シティーロースト) ・パプアニューギニア ブヌン・ウー AA(ハイロースト)  

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