皆さまこんにちは、KiguのNaruoです。
今回は、April Coffee代表のPatrikが2019年に準優勝した
World Brewers Cup(世界ブリュワーズカップ)の最終ラウンドで使用したレシピについて紹介したYoutube動画を翻訳いたしました。
現在販売されているApril Pour-Over Brewing Kitは、この世界大会を通して得た知見も含めて、さらに改良されたものです。
穴の大きさなど、現在のものとは少し違うaprilドリッパーを使う際のレシピにはなりますが、おうちブリューでも参考になるものですので、ぜひご活用ください。特に注ぎ方は注目です。
ちなみ、1stラウンドと最終ラウンドでは注ぎ回数や、グラインダーが変わっていたという裏話もありますので、読み応えありますよ。
また彼が頻繁に言う「フローレート」とは、コーヒーが流れ出るスピードのことを主に指し、フローレートが早いとは、注いだお湯がコーヒー豆の中を抜けていくスピードが早いということです。これは、注ぐスピードや豆の焙煎度合・挽き目、そしてドリッパーの形状が大きく関わります。
動画元はこちら
(ちなみに私たちのカフェで働いているTsubasaさんが大会でaprilを使ったレシピについてはこちらをチェック)
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2019年6月21日
ようこそ、aprii coffeeへ
今日お話しするのは、私が先日出場したボストンでのWorld Brewers Cupにおいて私が使用したレシピについてご紹介します。
レシピを変えていた
ご存知の方も多いと思いますが、
実は1stラウンドとファイナルラウンドで、レシピを変更していました。そのことにより、ポイントを上げ、今大会全体で一番高いカップスコアを生みました。
変更した理由は、1stラウンドで抽出した味をもっと良くしなければ世界大会では勝てないと気づいたからです。(1stラウンドのレシピでは5投、最終ラウンドは4投)
April Pour-Over Brewing Kitとは
この大会で使用したドリッパーは、私たちのコーヒーが持つ味を最大限引き出すように、自らデザインしたApril Pour-Over Brewing Kitです。
特徴は、平底型のドリッパーであることと、
底に抽出用に大きな穴を設けている事です。
この大きな穴は、従来の平底ドリッパーとは違った方法で、フローレートのコントロールを可能にします。
何故平底タイプのドリッパーにしたのか
何故、これまでを多くのコーヒーの大会で高いスコアを獲得してきたハリオV60等の円錐形ドリッパーではなく、平底型が選ばれたのか。
理由は、私たちの数多の実験が証明しました。
とても科学的な実験というのではなく(コーヒーは化学的な側面もありますが)、長い期間をかけて多くの円錐形ドリッパーと平底ドリッパーを比べたのです。
その結果、焙煎のスタイルにもよりますが、多くの場合に平底ドリッパーはバランスの取れた味を生み出し、温度の変化があってもそのフレーバーのハーモニーが素晴らしいということを発見しました。
以前から申し上げていましたが、競技会などにおいても、温度というのはとても重要な要素です。その為、今回特に注視したポイントでもあります。
もちろん、焙煎の度合いなどコーヒー豆の状態によって、ドリッパーがどのような味を引き出せるかは変化します。
その中でも私たちは特に、他の競技者と比べても浅煎りのコーヒー豆を焙煎することが多く、そのスタイルに合わせて、美味しいコーヒーが作れるように開発されたのがこのドリッパーです。バランスの取れた甘みの高いコーヒーを作ることができます。
抽出を始める前に
さてでは、私たちが大会で使用したレシピについてご紹介します。
まずお伝えすることの1つ目として、
私たちは、大会のステージに上がる15分前にドリッパーにペーパーフィルターをセットし、お湯でリンスをしました。
科学的なデータとしては、抽出をする10分前以内にはもう一度リンスをするということが良いとされています。
ただ私たちの経験上、早い段階でリンスを先にしておくことは味に悪影響がありません。15分前にリンスをしたのは、全てを綺麗にして準備を構造化する為です。
2つ目は、私たちのコーヒー豆について。
使用した豆は、大会の6時間前に焙煎したものです。そしてステージに上がる、45分前にコーヒーを挽いておきました。
この理由は2つあります。
1つ目は、焙煎したての豆がもつガスを抜くため。
2つ目は、多くの他のドリッパーを使う場合にも当てはまりますが、事前にコーヒーを挽いておくと、フローレートが安定します。
もしフローレートが安定しないと感じた時は、注ぎ方とグラインダーの精度を確認した後、是非コーヒー豆を事前に挽いて少し置いておきましょう。内包したガスが程よく抜けて、抽出が安定するでしょう。
レシピ
(表にしました by Naruo)
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コーヒー豆:お湯 - 14g:200g
抽出合計時間 3:00
挽き目:コマンダンテ28クリック
湯温;90度- 92度
0:00 - 0:06 30gを全体に回すように注ぐ
0:30 - 0:38 70gを中心に向かって注ぐ
1:10 - 1:16 30gを全体に回すように注ぐ
1:40 - 1:48 70gを中心に向かって注ぐ
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このレシピについて
注ぎ方のポイントは、
コーヒー全体に回すようにして注ぐCircle Pourと、
回さず中心に向かって注ぐCenter Pourを、交互にするということです。
Circle Pourは、甘味を引き出しながら全体のバランスをとり均一な抽出を促します。
Center Pourは、コーヒーがドリッパー内でかき混ざる作用を行い、コーヒーが持つフレーバーをより強く抽出します。
可能な限り、全てのフェーズにおける注ぎ方を、同じ時間(8秒)で行うことを心がけてください。そのためには、Circle Pour は少しゆっくり注ぐことになります。
私たちは複雑なフレーバーを持つコーヒーを作りたいと願っています。そのため、従来の平底ドリッパーに比べると、早いフローレートでフレーバーを出します。
そしてV60などの円錐型のドリッパーに比べると少し遅いフローレートにすることで、あくまフレーバーのバランスが取れたコーヒーを目指しています。
注ぎ過ぎた or 少し足りなかった
競技会にもし出るなら、湯量は確実にまもってください。
あなたが新人バリスタであったり、こんな感じでYoutubeを撮ってるだけなら問題はありませんが、大会では事前に審査員へレシピを伝えているので、レシピからずれると良い評価につながりません。
注ぐ時間と、注ぐ量は正確にすることを意識しましょう。
1gの誤差などはおそらく許容されるとは思いますが。
また分量に合わせて何度も小刻みにお湯を注ぐことも、良い評価につながらないので注意しましょう
トレンドと焙煎について
最近のトレンドは、フローレートを速くすることです。
深い焙煎度合いの豆に対しては、フローレートを速くして抽出時間を短くし、ネガティブな味を出さないようにします。
翻って私たちの浅煎りコーヒー豆からは、出来るだけ多くのフレーバーを抽出したいので、大会では抽出時間を長くし、ボディ感を出しながら複雑なフレーバーを抽出できるようにしていました。
審査員からは、ボディは軽めだが、とてもハイクオリティなコーヒーだと評価を受けました。
大会当日に変わったことについて
実はレシピ以外にも変わったことがあります。それはグラインダーです。
1st ラウンドでは、グラインダーはコマンダンテを使っていましたが、ファイナルラウンドでは、dittingの電動グラインダーを使用しました。(グラインドサイズ:8.4)
これは単に、ステージ裏で速く挽いてグラインドサイズを調節する必要があったためです。
みなさんがコーヒーを淹れる際には、どちらのグラインダーでも構いません。電動が便利ではありますが。
今日は見てくれてありがとう。
2019 世界ブリュワーズ大会のファイナルラウンドのレシピでした。
質問があればまた教えてください。
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