音楽は、写真や文章だけでは伝えきれない立体感とか、感情の揺れみたいなものを届けてくれる特別な存在ですよね。この「コーヒーとバリスタと音楽と」では、そんな音楽を軸にコーヒーにまつわる楽しみ方をもっと深掘りしてみようと思います。
コーヒーの香りや味わいだけじゃなく、その場の空気感やバリスタの個性まで含めた「情感」を、音楽という切り口から新しい視点から探ってみます。
「Kurasu」で働く人たちや、日々のコーヒーシーンにフォーカスして、それぞれの「らしさ」を紹介しながら、コーヒーと音楽がある暮らしの良さを読者の皆さんにお届けしたいと思っています。
今回は、京都店で活躍しているバリスタのYopiです。ぜひお楽しみください!
コーヒーと、音楽と
——お元気ですか?最近はいかがお過ごしですか?
「Jordan Rakei」のライブに行ってきました。本当に素晴らしい時間でした。特に、日本の音楽プロデューサー「STUTS」とのコラボレーション曲が印象に残っています。インストゥルメンタルな雰囲気を持ちつつ、ヒップホップアーティストともコラボしていて、幅広いジャンルの音楽を楽しめるので、ぜひ聴いてみてください。
京都店では忙しい日々が続いていますが、充実しています。大きな窓から季節の移ろいを感じられるのが京都店の魅力です。朝一番にコーヒーを淹れる時間は、一日の始まりを祝うような気分になれて、とても楽しいんですよ。
——仕事の「始まり」って大事ですよね。
その日の気分次第ですが、朝オープンの準備中は「今日はしっとりした曲を流したいな」と思うこともあれば、逆に自分が落ち着いているときに軽快な曲を流してテンションを上げることもあります。準備時間が30分しかないので、あまりのんびりしていられないんですよ。飲みながらというより、淹れる準備をしながら聴く音楽が正確かもしれませんが(笑)。
バリスタと、音楽と
——どんな音楽がお好きですか?
けっこう幅広く聴きます。最近、クラシック音楽を聴く人って少ない気がするんですが、日ごろからよく聴きますね。クラシックというジャンルでなくても、サックスやクラリネットなど、リアルな楽器の音が入るとやっぱり良いなと思います。自分がクラシック音楽をやっていたからそう感じるのかもしれません。
——入口としておすすめの曲はありますか?
スメタナの《モルダウ》ですかね。「クラシックあるある」ですが、「名前は知らなくても、聴けばわかる」という曲の一つかもしれません。寒い季節なら山荘でロッキングチェアに揺れながら、ホットラテを飲みつつ聴きたいような曲です。
デジタルではなくアナログな演奏にしかない魅力というものは、確実に存在すると思います。例えば、弦楽器の音には心を落ち着かせる力があると感じますよね。クラシック音楽は少し敷居が高いと思われがちですが、身近な楽器であるギターの音にも、似たような癒しや安心感を抱くことがあります。
コーヒーと、バリスタと
——バリスタとして意識していることは何かありますか?
エスプレッソをベースにしたコーヒー文化が盛んなオーストラリアに住んでいたこともあり、特にラテが好きなんですよね。ラテは、スペシャルティコーヒーが持つ情報をいい意味でそぎ落としてくれるというか。特に、少しボディのあるラテが自分の好みには合っています。京都店ではラテの人気が高いですし、バリスタとしての技量が問われるメニューでもあるので、自分なりにこだわりを持っています。「美味しいラテ」についていろいろディスカッションできたら楽しいですね。
Kurasuのバリスタは、みんなバックグラウンドが違うけれど、それぞれの軸がしっかりしていて、ディスカッションできる。そういう文化がとても好きです。京都店には、朝にコーヒーを求めて多くのお客様が訪れます。その時間帯はオーストラリアに負けないくらい忙しくなりますが、その忙しさを嫌だとは思いません。むしろ、バリスタとしての腕が試される場面でもあり、やりがいを感じています。右手でスチームしながら左手で次のピッチャーにミルクを注ぐような、海外仕込みの技を使うことになるとは思いませんでした。京都店の朝は特に好きです。
Leave a comment
All comments are moderated before being published.
This site is protected by hCaptcha and the hCaptcha Privacy Policy and Terms of Service apply.