今月の#クラスパートナーロースターは、岡山県瀬戸内市のキノシタショウテン。店主の木下さんは、飲食店としての原点回帰をする気持ちでお店づくりにこだわっています。便利な時代だからこそ、手を抜かずにちゃんとやりたい、「あたりまえのことをあたりまえに」と想いを話す木下さん。そして今、地元に愛されるキノシタショウテンをはじめとし、複数の姉妹店を営むに至った道程に触れます。
高校生の頃、多様な文化に触れ、視野を広げたいと考えた木下さん。「せっかく日本を出るなら、行先は世界の都、ロンドンだろう」と意気込んで留学。多様性に触れると同時に、日本のことを聞かれても上手く答えられず、まず日本について知らないといけないと強く感じ、早急に帰国をすることに。その後、東京で大学入試を準備しながら働いていたコーヒー屋で、初めてコーヒーの世界に魅了された。 コーヒー屋で店長として4年間勤めた後、より技術と感性を磨くために、職人の街、京都へ。京都では、和食屋のマネージャーとして、農家さんとつながり、食材の選定、鮮度管理までの工程を経験します。当時の経験は「コーヒーも農作物だったんだ」と考え直すきっかけになったそうだ。 その後、独立を目指して故郷の岡山に戻ったものの、既に地元を離れて10年。まずは地元を知るために、郵便局で働き始めた。郵便配達をする中で、地元の方と触れ、日々経験を積み重ねていった。昼は郵便局で、夜は焙煎室で過ごす生活を約1年以上経た末に始めたのが、キノシタショウテンだ。お店の名前の由来は、昔、地元の牛窓で切手やタバコを売る個人商店を営んでいた祖母の想いを継いだもの。
キノシタショウテンをはじめて2年目になるとき、コーヒーの知識と生産地の状況の隔たりを埋めたく、各地に足を運ばれたそうです。同じウォッシュドプロセスであっても川水もあれば、湧水もある。それらがコーヒーの味に大きく影響するということに気づいた。「コーヒーは国ごとで違うよりも、農家さんごとに全く異なる」と話す木下さん。協同で毎年同じ農家さんから買い付けて、しっかり話し合える関係性ありきで、コーヒー屋としてのあたりまえができたと振り返る木下さん。そのあたりまえができて、はじめて消費者に感動を与える「スペシャルティコーヒー」を届けられる。 毎年、一歩ずつ成長していきたいと思いを馳せる。
最後に、木下さんが話してくださった飲食店としての原点回帰とは、今の基準ではなく、昔ながらのこだわり方にあたりまえの正解があると考えること。 だからこそ、あたりまえを徹底することは、安易なことではない。今、改めて問い直したいスペシャルティコーヒーのあたりまえ。人間が操ることができない自然と向き合い、コーヒーをつくることの難しさ。そして、数多くあるコーヒーの中でも、スペシャルティコーヒーをつくることの難しさ。「お互いの立ち位置を理解し合いながら、ただ高品質なコーヒーがほしいとビジネスライクに伝えることはできない」と語る木下さんの姿勢が、私の脳裏に浮かびます。
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