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MEL COFFEE ROASTERS: 2016年10月 #クラスパートナーロースター

MEL COFFEE ROASTERS: 2016年10月 #クラスパートナーロースター

Kurasuが11月にご紹介するのは、大阪のMel Coffee Roasters。

大阪を代表する活気ある街の一つ、心斎橋。大通りを曲がり、オフィスビルや住居ビルが並ぶ落ち着いた横道を進むと、十字路の角にMel Coffee Roastersが現れる。

街並みに溶け込むシンプルな外観だが、近づいてみると手塗りの跡も感じられるような素朴な外壁に、控えめに踊るようなロゴが目にも楽しい。

カウンターと焙煎機が肩を寄せ合う店内はわずか2.6坪。しかし不思議と明るく温かみのある空間に一歩足を踏み入れると、すぐにオーナー兼ロースターの文元さんが出迎えてくれた。

元々は大手自動車メーカーでエンジニアとして活躍していた文元さん。仕事にやりがいを感じる一方で、これが本当にやりたいことなのだろうか、と考えるようになったという。

仕事を通して毎年海外に行く機会もあり、次第にもっと世界を見て回りたいと考えるようになり、ついに世界一周を決意した。

3か月のオーストラリア、シドニー滞在を含め、南米やアフリカなどにも訪れ、自らの世界を広げていった。旅の中で、コーヒーとも様々な形で巡り合ったという。エチオピアやケニアでのコーヒーセレモニーで飲んだ、砂糖を混ぜた粉っぽいコーヒーは特に印象深い。

その後結婚を経て、さらに英語力を磨くため渡豪。当時まだ日本人の少なかったメルボルンに滞在することに決めた。ビジネススクールに通う道のり、セブンイレブンで、1ドルのカフェラテを一杯。毎日コーヒーを飲む習慣ができたのはこの頃だった。

多くを吸収する日々の中、通学路にいつも長い列ができているカフェがある事に気が付いた。BROTHER BABA BUDAN、メルボルンで人気を誇るスペシャルティーコーヒーのカフェだ。

そこで何気なく並び飲んでみたカフェラテに、文元さんは非常な衝撃を受けることになる。

そこからカフェを巡り始め、いくつものマシンを目にするにつれ、自分でもエスプレッソマシンを動かしてみたいと思うようになった。

それからは行動力を活かし、カフェのアルバイトに応募しようと100枚以上履歴書を配って回ったが、ことごとく断られてしまう。

少しでも経験を積もうと思い、バリスタの養成学校で3日間集中コースを受け再度挑戦。しかし今とは違いアジア人がバリスタとして働くことがほぼ無かった時代、受け入れようとするカフェはなかった。

その後50件以上訪問し、2件だけ試しにミルクを作らせてくれたカフェがあったものの、結果はやはり不合格。

ただでさえ不利な環境で、3日間の付け焼刃では太刀打ちできるはずもなかった。

それでも諦めなかった文元さんは、自ら800ドルでRancilio Silvia V3のエスプレッソマシンを購入、自宅で練習を始めた。さらに知り合いのつてで、カフェの営業時間外にマシンを使わせてもらえることになり、そこで半年ほど練習を重ねた。

その後努力の甲斐あってTrufulla seed coffeeで念願だったバリスタの職を得た文元さんだったが、実家の都合で急遽帰国することになる。

地元大阪に戻り家業を手伝うかたわら、週末は心斎橋のコーヒースタンド、mill pourで働くことに。徐々に日本のコーヒービジネスへの見識も深まり、自分の将来への方向性が具体的に見え始めたのがこの頃だった。


その後大阪、東京とカフェを巡りながら、日本のコーヒー事情や豆のセレクト、焙煎機などの傾向を研究。2年半後の2016年1月、ついにコーヒースタンドMel Coffee Roastersをオープン。内装は自ら手掛け、焙煎機にはProbat 5kg、 1968年のビンテージモデルを選択した。日本ではFuji Royalを使用する焙煎所が多い中、差別化をはかり素材やバーナーにこだわった結果、理想にかなうものをドイツからオーダーし直輸入。納品、修理を含め1年半ほどかかった。小さな店内にロースター、マシン、生豆を置き、ドリップを含めスタッフはたったの2人。私たちの知っている限りの “the smallest roaster in the world”だ。

ここで生み出されるのは、オーストラリアで主流の浅煎りに地元日本、そして関西のテイストを融合させた味わいだ。その技術は高く評価され、2015年からJBrC 、ジャパン・ブリューワーズカップやJHDC、ジャパン・ハンドドリップ・チャンピオンシップの審査員も務める中、2016年にはJBrCのファイナルステージの審査員にも抜擢された。

立地にもこだわりがある。地元大阪で、メディアにも多く取り上げられる新地は、タワーマンションが立ち並ぶ一方個人経営の店も多い。時流に敏感な人々や、ライフスタイルにこだわりのある人も多く住むこの地では、豆を買っていく人も多い。ビジネスの観点からも申し分なかったが、なによりも物件や立地を見た時にピンと来る感覚があったという。

最近では品質管理や商品の回転も考慮しつつ、卸売りもはじめた。週替わりで提供する豆は、浅煎りがメインだったオープン当初から、人気のある中浅煎りに少しずつ変えていった。老若男女、幅広い客層をもつMel Coffee Roasters。これからも地元の人々との関わりを大切に、地域密着型で続けていきたいと文元さんは話す。1月にオープンしてからもうすぐ9カ月、無限の可能性を柔軟に探るロースターの、今後の姿が楽しみだ。

サブスクリプション提供コーヒー豆詳細:

ケニア: 浅煎り

-エリア: 中央地区、ムランガ

-プロセス: ウォッシュト

-標高: 1750m

-ノート: ベリー、ほのかなパイナップル、ほのかなグレープ、スイート、クリーン、ミディアムロングアフターテイスト

新町ブレンド: 中深煎り
-エリア: メキシコ、コロンビア

-ノート: ナッツ 、ブラウンシュガー、ほのかなメロン、クリーンフィニッシュ 、アプリコット、ミディアムボディー

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