花やかな香り、パイナップルやいちご、洋梨の味わい、ヨーグルトのような甘みとそれに伴う余韻。
プロフィール
| 商品名 | コロンビア オスカル・エルナンデス |
| プロセス | ウォッシュド(サーマルショック) |
| 品種 | ブルボン ピミエンタ |
| 生産者 | オスカル・エルナンデス |
| 農園 | ロス ノガレス |
| エリア | ピタリト・ウイラ |
| 標高 | 1,870-2,000m |
| エクスポーター | CATA Export |
| インポーター | Kurasu |
| フレーバーノート | パイナップル、いちご、洋梨、モルト、ヨーグルト、スパイシー |
| カップコメント | 花やかな香り、パイナップルやいちご、洋梨の味わい、ヨーグルトのような甘みとそれに伴う余韻。 |
ロースターコメント
オスカル・エルナンデス率いるロス ノガレス農園は、コロンビアで初めて開催された2005年のCOEで1位に輝いた生産者です。
オスカルは産業エンジニアで、かつてはコロンビア海軍で働いていました。2013年に父リカウルテが亡くなったことをきっかけに海軍を離れ、ロス ノガレスを継ぐことになります。
ロス・ノガレスは単なる農園ではなく、研究・イノベーション拠点として、生産システムやパルピング、精製、乾燥、輸送の改善に向けた技術やバイオテクノロジーを生み出しています。
このコーヒーの名前にもなっているBourbon Pimientaという品種は、コロンビアのウィラ県を中心に見られるブルボン種の自然突然変異種と言われています。「Pimienta」はスペイン語で「胡椒(コショウ)」を意味し、ほのかなスパイシーさを感じさせる特徴からこの名が付いたとされています。実際にこのロットでも、クラフトジンジャーエールやラムネを飲んでいるかのようなスパイシーな味わいが感じられます。
また、このロットのプロセスでは、パルピング前に80°Cのお湯に20秒浸けたあと、冷水で3〜5分急冷するサーマルショックを取り入れています。この前処理によって、パルピング後に果皮を圧搾して得た糖分を再添加する工程が活性化されるようです。その結果、このコーヒーではモルトウイスキーのような甘く重厚感のある香りを感じることができます。
味わいのボリューム、複雑さともに大きいコーヒーなので、ホットだけでなくアイスで楽しんでいただくのもおすすめです。
生産者、農園について
ロス・ノガレス農園の歴史:リカウルテ・エルナンデスの遺産
私はコーヒーを軸に事業を始める決断をしました。ただ、常に“利益が出ること”“きちんとした雇用を生むこと”“プロフェッショナルな水準であること”“十分な賃金が支払われること”“人々が学び続けられるよう促すこと”が必要だと考えていました。」— オスカル・エルナンデス
ロス・ノガレス農園は、コロンビアの大きな行政区の一つであるブルッセル(Brussels)に属するエル・ディアマンテ村に位置しています。緑深い山々と厚い雲に包まれたこの土地には、エルナンデス一家とコーヒーづくりの歩みが刻まれています。
約80年前、ブルッセル地区の形成が進む中で、リカルド・エルナンデスとコンセプシオン・カスティージョがナリーニョから移り住み、肥沃な土地に定住しました。2人は家族を築き、農村の暮らしと結びついた8人の子どもを育てました。
末っ子のリカウルテ・エルナンデスは1952年生まれです。土地から寛容さ、謙虚さ、そして不屈の意志を学びました。彼は生涯をコーヒー農業に捧げ、学んだ価値観を子どもたちが受け継ぎながら農園で成長していくことを夢見ていました。
のちにリカウルテはバジェ・デル・カウカでスルデリ・アランゴと出会い、子どもたち(オルガ・ルシア、ジョン・フレディ、リリアナ、ナンシー、パオラ、オスカル・フェルナンド、パトリシア、アンジー・フリエス)とともに家族事業を築き上げました。
彼のリーダーシップは農園の外にも及び、コミュニティ・アクション・ボード(地域住民組織)の会長を務め、地域社会と密接に連携しました。1990年代には一家が一時的にカケタへ移住したこともありましたが、牧畜への転換がうまくいかず、再び故郷の土地へ戻りました。
2005年、コロンビアのスペシャルティコーヒーシーンは初のカップ・オブ・エクセレンス開催を機に大きく変化します。280を超えるロットの中で、リカウルテが率いるロス・ノガレスは1位を獲得しました。国際審査員は、そのコーヒーを出品全体の中でも最高の品質と評価しました。オスカル・エルナンデスは後に、このコンテストが地域のスペシャルティコーヒーにとって「前と後」を分ける転機になったと振り返っています。
スペシャルティコーヒーに付加価値を与えること、土壌づくりを改善すること、新しいビジネスの道を探ること。リカウルテの情熱は次世代へと受け継がれていきました。
コーヒー農園を襲った悲劇
コロンビアの農村部は長年暴力の影響を受けてきましたが、この物語も例外ではありませんでした。2013年2月17日、リカウルテがロス・ノガレスへ向かう途中、武装勢力により命を奪われました。
リカウルテは高品質なコーヒーの先駆者であり、勇気と粘り強さの象徴として記憶されています。その喪失は家族だけでなく地域社会全体に深く響きました。悲劇の後、一家はスルデリの生活を支えるため、農園を手放す決断をします。
しかし当時コロンビア海軍に所属していたオスカル・フェルナンドは、軍人としてのキャリアを離れ、父の遺志を継ぐ道を選びました。
「私にとって傷を癒す最善の方法は、農園に戻り、父の遺産を継ぎ、父を身近に感じることでした。家族として私たちがやっていることを、父は誇りに思ってくれていると信じています。」— オスカル・エルナンデス
三代目の生産者、オスカル・エルナンデスのストーリー
オスカル・フェルナンド・エルナンデスは産業エンジニアであり、元海軍下士官です。リカウルテの子どもたちの末っ子として生まれ、現在は家族プロジェクトの中心となっています。
幼少期はラボヨス渓谷の自然と深く結びついていた一方、厳格なしつけのもとでは農作業が罰のように感じられた時期もありました。リカウルテは子どもたちに専門的な機会とより良い生活を望み、オスカル・フェルナンドが海軍へ進むことを支えました。
オスカル・フェルナンドは後に、農園から離れて過ごした時間が「自由」「田舎」「家族」「故郷」の価値をより強く実感させたと語っています。入隊前にはSENAで環境マネジメントを学び、サステナビリティ、資材の再利用、クリーンプロダクション、環境保全といった基礎を築きました。
「休暇で戻るたびに、父の仕事を手伝いました。いくつかのロットも買いました。私のプロジェクトはいつも農園へ戻ることでした。」
リカウルテの死後、オスカル・フェルナンドは明確な目的を持って農園へ戻ります。それは、研究とイノベーション、環境保護を推進しながら、地域に雇用を生み出すことでした。
ロス・ノガレスは研究・イノベーション拠点となり、生産システム、パルピング、精製、乾燥、輸送を改善するための技術やバイオテクノロジーを生み出していきます。このプロジェクトは高品質なコーヒー生産にとどまらず、コロンビアのスペシャルティコーヒーが次の段階へ進むための技術開発も目指しています。
ロス・ノガレスのコーヒーの歴史
ロス・ノガレスの山々には、ゲイシャ、カトゥーラ、コロンビア、セニカフェ、イエロー/ピンク・ブルボン、タビ、ハバ、ブルボン・ピミエンタ、ティピカなど、多様な品種が育てられています。

栽培・栄養管理・収穫について
エルナンデス一家は、一本一本の木を家族の一員のように大切に扱います。プロセスは、強い種子の選定から始まり、有機物と微生物の働きを活かしたバランスのよい自然な栄養を与え、狙いとするカッププロファイルに近づけていきます。
農園内の有機物を有機肥料へと循環させることで、健全な栄養状態を保ち、高品質なコーヒーづくりにつなげています。
収穫期には30名以上のピッカーが働き、30世帯以上の生活を支えています。ピッカーは完熟チェリーを選別し、丁寧に扱うためのトレーニングを受けています。収穫後のチェリーは鮮度と品質を保つため、ミルに届くまでバスケットで運ばれ、傷みを防いでいます。
プロセスの詳細
1.完熟チェリーのみを収穫
完熟した果実だけを収穫します。完熟チェリーは香味が最も良い状態にあるため、品質の要となります。
2.処理水での洗浄と消毒
不純物を取り除き、不要な微生物を抑えるため、チェリーを丁寧に洗浄・消毒します。
3.水を使った比重選別
チェリーを水に浸し、比重の高いものは沈み、低いものは浮く性質を利用して、欠点豆になりやすい果実を分けます。
4.サーマルショック(温度ショック)
選別したチェリーに対し、80°Cのお湯に20秒浸け、その後冷水で3〜5分急冷します。糖の分解を促し、パスチャライズ(低温殺菌)的な効果をもたらすことで、最終的な風味に寄与します。
5.パルピングと糖の再添加
果肉除去(パルピング)の後、果皮を圧搾して得た糖分を戻して加えます。これにより甘さやフレーバーの印象が強まる可能性があります。
6.発酵
発酵は120時間行われます。この間に糖が分解され、風味や酸のキャラクターに影響します。サワードウのスターターのような「プレファーメント」を使うことにも触れられており、独自の個性を付与する方法として説明されています。
7.天日乾燥
最後に15日間天日乾燥を行い、保管に適した水分値まで下げながら、風味の形成を進めます。





