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エルサルバドル・オリジントリップの記録 by Ayaka:1日目

エルサルバドル・オリジントリップの記録 by Ayaka:1日目

いよいよ出発

今回のエルサルバドル農園訪問は、成田を出発し、ロサンゼルス経由でサンサルバドルへ向かう行程。
成田→LA便が遅延し、乗り継ぎに失敗してしまったものの、結果的にトランジット時間が長くなり、LAのVerve Coffeeを訪れる時間ができたのは、良いリフレッシュになりました。

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エルサルバドルへは日本からの直行便がなく、LAまたはメキシコ経由が基本のようです。
LAからサンサルバドルまではLCCのような機材でのフライトでした。これが結構きつかった…。
サンサルバドル空港に到着すると、税関内にエルサルバドルの豆のみを取り扱うスペシャルティコーヒーショップがあり、到着早々感激しました。

店名は Bean of Fire。自国のスペシャルティコーヒーを空港で提供している姿勢に、この国のコーヒーへの誇りを感じました。
到着後は、行政機関の方が空港までお迎えに来てくださり、そのままホテルへ。門川くんが大使館を通して手配してくれていました。
滞在したホテルも、過去にKurasuでコーヒーを扱わせていただいているラウルさんのご厚意で、非常に良い宿に泊まることができました。感謝。

農園訪問スタート

朝一番にホテルに到着し、まずは朝食。
エルサルバドル名物、とうもろこし粉の生地を鉄板で焼いて作るププサ(Pupusa)から一日がスタートしました。


しっかりエネルギーを補給し、いよいよ農園訪問です。
この日訪問した農園を運営する会社のジェネラルマネージャー、ラファが迎えに来てくれました。
最初に立ち寄ったのは、Finca San Antonio de Alejandría を運営する彼らが経営するガソリンスタンド併設のカフェ、The Champion Coffee。

ここではもちろん、使用されている豆はすべてエルサルバドル産。
と、並んでいるコーヒー豆の中に、「KENIA」を発見。ケニアの豆も取り扱っているのかと思いきや、こちらでは、いわゆるSL品種を「KENIA」と呼んでいるようです。


農園での食文化と「コッシーナ」

農園に到着後、まず印象的だったのが「コッシーナ(農園のキッチン)」の存在です。
長い歴史を持つ農園では、農園内にキッチンがあり、作業者全員で食事をとる文化が根付いています。

かつてコーヒーが国の一大産業だった時代、この場所は単なる農園ではなく、街の人々が働き、医師までも常駐する、いわゆるコミュニティセンターの役割を担っていたそうです。
ここでいただいた主食が、チェンガと呼ばれる、トルティーヤに似たとうもろこしの食べ物。
生のとうもろこしをその場で粉砕し、生地にして焼く。鉄板ではなく石のプレートで、下から薪で火を入れます。
ピッカー(収穫作業者)は非常にエネルギーを使う仕事のため、とうもろこしに、フリホーレス(豆の煮込み料理)という、安価で栄養価の高い組み合わせが理にかなっているとのこと。
1枚あたり約150gと非常に分厚く、日本の感覚で言えば、白米に近い存在。
私は1枚でお腹いっぱいになりましたが、ピッカーの中には5〜10枚食べる人もいるそうです。
作るのも体験をさせてもらいました! つなぎが入ってないので難しい!


農園見学:品種・栽培

農園では、以下の品種を見学しました。

  • イカトゥ
  • アナカフェカトルセ14
  • シドラ
  • ケニア
  • オレンジ/イエローブルボン
  • パカマラ

特に印象的だったのはハイブリッド品種と在来アラビカ品種の違いを、実際に目で見て体験できたこと。
ロブスタと掛け合わせているハイブリッド品種は葉が厚く、枝間が短く、収穫量が多いのが特徴。対して在来アラビカ種(ブルボン・ゲイシャなど)は、葉が薄く繊細で、枝間が広く、収穫量は少ないものの、品質が評価されやすいのが特徴。
パカマラは葉が大きく、実もラグビーボールのように大きいのが目印です。成長が遅く、管理が難しいとのこと。ただ、同じパカマラでも農園や環境で全く表情が違うと教わり、非常に興味深かったです。
見学しながら、それぞれのチェリーを食べさせてもらうという特別な体験もできました。実際に味わってみると、その甘さ、そして品種ごとに味やジューシーさが全く違ってびっくり!豆の味わいの違いは、チェリーの味わいからすでに違っているんだと知り、木に生っている果実と、焙煎しているコーヒー豆とがつながった瞬間でした。
いろんなチェリーを食べてみて、なぜvariety(品種)が大切なのかを実感することができました。


さび病と農園管理

エルサルバドルは2012年頃、さび病(ロヤ病)によって壊滅的な被害を受けました。
内戦の影響で品種更新が進まず、ブルボンなど、耐病性の低い純粋なアラビカ種が多かったことも被害を拡大させた要因です。
現在は耐病性品種の導入、葉裏への栄養剤・防除剤の散布、シェードツリーの管理などの対策が取られています。

さび病に侵されている株。黄色い斑点が見えます

精製工程見学(ハニープロセス)

次に見せていただいたのが、ハニープロセスの精製現場。ここでは、アフリカンベッドで乾燥させながら1時間に1回の攪拌、発酵臭(梅干しのような香り)が出るタイミングの見極めなど、非常に繊細な管理が行われていました。
乾燥直後の豆は青臭さが残るため、1〜2ヶ月のキュアリングを経て水分値を安定させてからカッピングを行います。

しっかり撹拌できていないと、雷おこしのように塊になって固まり、そこからディフェクトにつながってしまうのだそうです。

チェリーの受け入れからプロセスまで

その後、チェリーがどのようにこのウォッシングステーションへ届くのか、受け入れの流れから説明をしていただきました。
まずはじめに、チェリーは収穫後、重量を計測。そこからバッグの状態で一晩置かれ、プロセスを行うロットは、翌日にウォッシングステーションへ搬入されます。

ナチュラルプロセスの場合は、そのままパティオ、もしくはアフリカンベッドで乾燥させます。ピッキングの質が安定していない場合は、フローター選別を行ってからナチュラルへ回すこともあるそうです。

フローター選別

フローター選別は、水を張ったタンクを使用して行われます。

水に豆を投入することで、軽い未熟果や欠点のあるチェリーは浮き、重く成熟したチェリーのみが沈み、下流へ流れるという仕組み。
沈んだチェリーだけを使用してナチュラルプロセスを行うことで、最低限の品質を担保します。
この工程で石や葉などの異物も除去され、その後、ウォッシュド・ハニープロセス用のチェリーはパルパーへと送られます。

パルパーとウォッシュド/ハニープロセス

農園のパルパー(果肉(パルプ)を取り除く機械)を見せていただきました。
ここでも、初めて実際にパルパーを目にして、(これが標準よりも大きいのか小さいのか分からないな)と感じ、写真で見ていただけでは分からなかった体験をしているんだ、という実感が。
パルパーでは、回転するドラムによって果肉が剥がされ、果肉が除かれたパーチメントコーヒーが下に落ちます。果肉は後方へ排出され、パーチメント(豆の周りの薄皮)はついたまま次の工程へ進みます。
パルパーは果実サイズに応じて隙間の調整が可能で、パカマラのような大粒品種を多く扱う農園では、パカマラ用とその他品種用と、複数サイズのパルパーを使い分けることもあるそうです。
この農園では、一台のパルパーを使い、ウォッシュドを2つの方法で使い分けています。
一つ目が、トラディショナル・ウォッシュド。一晩発酵させた後、水で洗います。
二つ目はメカニカル・ウォッシュド。発酵工程を省き、洗浄機で直接ミューシレージを除去します。時間を短縮したい場合に使用するそうです。
ウォッシュドは最終的に水洗いを行う精製方法なのですが、洗浄の強さによってセミウォッシュドなどの調整もこの工程で行えます。
ちなみに、ハニープロセスの場合は、パルピング後、そのままカートに積み込み、パティオ、もしくはアフリカンベッドへ運んで、乾燥工程へ入ります。

副産物の活用

また、農園内では、資源が循環する仕組みも整えられていました。
パーチメントは乾燥機の燃料として、果肉・カスカラは肥料として活用されており、特にカスカラは飲用に商品化されている分以外は廃棄しているのかな?と疑問に思っていたため、新しい発見となりました。

ドライミル(脱殻・選別)

乾燥を終えたパーチメントは、農園併設のドライミルへと運ばれます。
この農園では、脱殻からサイズ選別、比重選別、そして光選別までを自社で完結できる設備を備えています。とはいえ、これらは本来はエクスポーターが担う工程であり、小規模農園でここまで設備を整えるのは難しいのだそうです。
脱殻の工程では、パーチメントを剥がし、いよいよ見慣れた生豆の状態に。
その後粗選別で枝や軽量欠点豆の除去を行い、スクリーンサイズ選別でサイズを選り分けます。 今回は一般的なサイズの豆を選別できるスクリーン15を使用しました。 (より大規模な施設では16・17など複数を使用するそうです)
次に行うのが比重選別。重い豆ほど上流に残り、重い順からファースト、セカンド、サードグレードまでに分けられます。
光選別では、 色・割れ・形状などをセンサーで判別します。近年はアナエロビックなどの系統の異なる色味の存在も考慮し、設定を変更する機能もついている機械もあるそうです。
最終的に、エクスポーターの場合ハンドピック(人の目による選別)の工程が加わり、ようやく出荷となります。(今回訪問した農園では、この工程は行っていませんでした)

「一番大切な工程は?」と聞いてみた

見学しながら、案内をしてくださっているラファさんに「この中で、一番繊細に気をつけている工程はどこですか?」という質問をしてみました。
すると、とてもシンプルな答えが。
「一番大切なのは農園。
どれだけ設備やプロセスを整えても、果実そのもののポテンシャルが低ければ意味がない。」
良いチェリーを育てること、そしてポテンシャルのある果実を作ること。それがすべてのスタートであり、ウォッシングステーションや乾燥はあくまでも整理する場所に過ぎない、という考え方です。
ただし、最初のプロセス(精製・乾燥)には、 カップクオリティを引き上げる余地があるという点で、非常に重要な工程でもある、と話してくださいました。

好きなプロセスは?

続けて、好きなプロセスは?と聞いてみると、品種によってちがうと、かっこいい回答。
ラファさんが好きなのは、パカマラならハニー、ゲイシャならウォッシュド、イカトゥであればナチュラルとのこと。
ちなみに、この農園では、ハニープロセスが最も多いとも教えてくれました。
理由は、ディフェクトが出にくく、気候に合っている精製方法で、さらに以前から農園で働いているスタッフたちはハニープロセスに強いからだそう。
また、このエリアは水資源にも比較的恵まれているので、ハニープロセスに適しているということも理由の一つのようです。

焙煎所見学

最後には併設のロースタリーを見学させていただきました。
置かれていたのは中米に流れる温かでおおらかな空気を感じる、ややラフな造りの焙煎機。ここで焙煎したコーヒーは主にガソリンスタンド併設のカフェで使用しているのと、一部は知り合いの店舗へ卸しているものの、基本的には「自分たちで育て、自分たちで焙煎し、自分たちで提供する」というスタイルだそう。
まさに From Seed to Cup を体現している現場で、「ダイレクトトレード」という言葉が軽く聞こえるほど、最初から最後まで、真摯にコーヒーと向き合っている人たちだと感じました。


夜はみんなでメキシカンディナー。
長く、濃い初日が、終了しました。

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