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エルサルバドル・オリジントリップの記録 by Ayaka:2日目

エルサルバドル・オリジントリップの記録 by Ayaka:2日目

二日目の朝も、安定のププサからスタート。

その後、車で向かったのは Instituto Salvadoreño del Café(ISC)。エルサルバドルのコーヒー産業を統括・支援する政府系の行政機関です。

ISC(エルサルバドル・コーヒー協会)の役割

ISCは、国としてコーヒー産業をどのように守り、発展させていくかを担う中核的な存在で、主に以下の役割を担っています。
- 国内コーヒー産業の品質向上・技術支援
- 生産者・輸出業者への指導、情報提供
- エルサルバドルコーヒーの国際的な評価・プロモーション
- 生産・輸出に関わる統計や制度の管理
今回訪問した施設では、品質管理や産業支援の仕組みについて直接説明を受けることができ、エルサルバドルのコーヒー産業全体像を知る貴重な機会となりました。

エルサルバドルのコーヒー品種

エルサルバドルでは、アラビカ種のコーヒーのみが生産されており、ロブスタ種の栽培は禁止されています。
初期に導入されたのはティピカとブルボン。その後、これらを基に改良・派生し、現在はブルボン、パカス、パカマラ、クスカトレコなどが国内商業品種として栽培されています。

6 coffee regions

エルサルバドルのコーヒー生産地域は、大きく分けて以下の6つ。私はこれまでこの中でもチャラテナンゴのコーヒーしか飲んだことがなかったので、国内にこれほど広くコーヒー栽培エリアがあること自体を今回初めて知りました。

  • APANECA–ILAMATEPEC
  • ALOTEPEC–METAPÁN(チャラテナンゴを含む)
  • EL BÁLSAMO–QUEZALTEPEC(初日に訪問した農園エリア/首都近郊)
  • CHICHONTEPEC
  • TECAPA–SHINAMECA
  • CACAHUATIQUE

生産者構成と生産構造

エルサルバドルのコーヒー豆生産者数は、伺った当時19,213名。そのうち60%が男性で、35%が女性、そして残りの5%を企業が占めています。
生産構造としては、国内にはミルが81ヶ所、パーチメント加工業者が70件、エクスポーターが134件、そしてロースターは39件。
ロースターの数が想像以上に少なく、意外でした。
ちなみに、エルサルバドルの国土は四国ほどの大きさで、人口は埼玉県と同程度だそうです。

品種・プロセス別カッピング

プレゼン後は、品種・プロセス別の飲み比べカッピングへ。

今回カッピングしたのは、パカマラ、マルセレサ、ブルボンの3種。
ハイブリッド品種のマルセレサは、もともとは収量確保を目的に作られた品種ですが、年々クオリティが向上しており、酸が明るく、甘さもしっかり感じられる印象でした。
スター品種のパカマラは、エキゾチックなフレーバーで非常に美味しかったです。

カッピング前の説明で印象に残ったこと

以下は、カッピングの前に説明していただいた内容の中でも、特に印象に残ったメッセージのメモ書きから。
ーブルボンはトラディショナルな品種で、他の中米諸国では大規模生産から外れてきている。だからこそ、エルサルバドルでブルボンを生産し続けていることに価値がある
- ハイブリッド品種も、土壌へのアダプテーションが進み、非常に高いクオリティになってきている
- 「今日は、パカマラ・ブルボン・ハイブリッド、それぞれの違いを感じてほしい」

リージョンの違い

行政機関からリージョンごとの違いについても説明がありましたが、門川くんからの補足で、「国のサイズが小さい分、プレゼンで聞くほど明確な地域差が出るわけではない。現時点では、リージョン差より生産者ごとの差の方が大きく、コロンビアほど明確な地域キャラクターは感じにくい。土地の多様性を前面に出すには、国土がやや小さい」とのこと。
エルサルバドルらしさ(=国としての味の輪郭)が強く、リージョンで語るよりも生産者単位で語る方がしっくりくる、そんな印象を受けました。

行政機関内 コーヒールーム/トレーニング施設見学

その後、行政機関内にある、ワークショップやトレーニングが行われているコーヒールームを見学しました。

ここは、生産者向けの技術研修からコーヒー好きな一般層向けの講座、そして将来的にコーヒービジネスを始めたい人向けの講義など、幅広い層を対象にした教育プログラムを行っている公共施設です。
目的は明確で、「コーヒー文化の発展と、人材育成を通じて国全体に還元していくこと」。ここで学んだ人たちが、それぞれの立場から国や産業に働きかけていくことを目指しています。
現在は数名のスタッフが講師を務めていますが、今後はSCA認証の取得を進め、公式なSCAプログラムの実施も視野に入れているとのこと。

クラス構成・トレーニング内容

ここで提供しているクラスは非常に幅広く、

  • バリスタ:初級/中級/上級
  • カッピング:初級/中級/上級
  • 焙煎:2クラスのみ
  • ラテアートクラス

などがすでにあり、将来的にはここからSCAクラスを正式に実施する計画。現在、トレーナー資格の取得も進行中だそうです。

大会運営について

国内大会の運営も、この機関が担っています。エルサルバドルではバリスタカップとブリュワーズカップを実施。昨年はカップテイスターズ、今年からは焙煎部門もスタート予定とのことです。
大会規模は比較的小さく、出場者は多くても約20名で、2日間で完結、優勝候補は2〜3名程度だそう。
実情としては、約半数がタイムオーバー、その半分はほぼぶっつけ本番で、しっかり練習してきている参加者は全体の4分の1ほどとのこと。
逆に言えば、きちんと練習し、キャリブレーションできていれば決勝に進める環境とも言えます。なお、予選から決勝まで、使用できる豆はエルサルバドル産のみ、というルールが設けられています。

品種の話:ブルボンとハイブリッド

印象的だったのが、品種の話。ピンクブルボンは、エチオピア系品種由来なのですが、中米内戦期〜サビ病流行期にかけて多くの国でハイブリッド開発が進んだ品種だそうです。
グアテマラ、ホンジュラス、コスタリカでは一気に植え替えと品種改良が進んだ一方で、エルサルバドルは内戦の影響で行政機関が機能せず、コーヒー研究機関も停止したため、植え替え・開発がほとんど進まなかったそう。
その結果、2012年の中米サビ病流行で壊滅的な被害を受けることになります。当時はブルボン中心だったため、被害を受けた株が一気に失われました。
ただ、今振り返ると、いまやブルボンを残している生産国が少なく、ピュアな品種は、やはりカップの魅力がある、という点で、「結果的に残っていてよかった」とも言える状況になっています。
一方で、ブルボンはカップスコアは飛び抜けて高くなく、その結果価格がつきにくい、大会でも使われにくい、という現実もあり、 同じ価格ならパカマラを選ぶよね、という立ち位置になってしまっている、という話もとてもリアルでした。

ファーマーズマーケット見学

同じ敷地内で、ファーマーズマーケットが開かれていたので少し見学。日本では見かけないフルーツも多く、いくつか試食もしてみました。

ラウルさんのロースタリー訪問

午後は、サンタロサにあるラウルさんのオフィス兼ロースタリーへ。

中庭をのぞむスタイルの建物で、今後、そこに天井を付けて30kgのギーセンを導入予定なんだとか。現在は15kg釜で、屋外焙煎・排気設備もない状態です。この環境で焙煎するのは、正直かなり厳しそうでした。
また、同じ敷地内ではラウルさんの別事業として、バルサモ(樹液)の精製・販売も行われていました。

香水や医薬品の原料として使われており、コロナ以降は注文が追いつかないほどで、ほぼ独占的なポジションを築いているそうです。

市内散策とビーチへ

その後は、少し綺麗めなマーケットへ移動し、再びフルーツを試食。スープ屋さんで昼食をとりましたが、かなり個性的な味で面白かったです。
午後はラウルさんのご自宅(豪邸)にお邪魔し、コーヒーを飲みながら少しゆったりした時間を過ごした後、車で少し移動してビーチへ。
エルサルバドルはサーフィンでも有名で、他国から訪れる人も多いそう。
このビーチで、今回の滞在中初めて多くの観光客(非現地の人)に出会いました。

夜ごはん

夜は山の上のレストランで、またしてもププサ。
濃い一日が、ここで終了しました。

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