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インドネシア産地ブログ2026(中編: Tujuhenam Estate)

インドネシア産地ブログ2026(中編: Tujuhenam Estate)
ヘッドロースターのTakuyaです。2026年7月上旬、1年ぶりにインドネシア・ジャワ島を訪れました。前編に引き続き、旅の様子をお届けします。

Frinsa EstateのあるBandungを出発し、車で約3時間。Garutに到着した私たちを出迎えてくれたのは、Tujuhenam Estateの代表を務めるBaktiでした。Fikriとは高校時代の同級生で、卒業後はジャカルタの金融業界で3〜4年ほど働いていたそうです。その後、約5年前に故郷へ戻り、現在の活動を始めました。

Baktiの印象を一言で表すなら、まさにジェントルマン。穏やかで誠実な人柄の中に、若くして農園を率いる責任感と確かなリーダーシップを感じました。その根底には、自分が育った地域をより良くし、そこで暮らす人々の生活を豊かにしたいという思いがあります。

Tujuhenam Estateは、BaktiとFikriの母校であるPesantren Persis Tarogongが運営するコーヒー事業として発展してきました。Pesantren Persis Tarogongは、西ジャワのGarutにあるイスラム系の総合教育機関です

現地での説明によると、2010年、現在Tujuhenam Estateがある土地で、Fikriの父でありFrinsa Estateの創業者でもあるWildan Mustofaが、コーヒーノキとシェードツリーの植栽を始めたといいます。その後、Pesantren Persis Tarogongの卒業生たちが農園を開発。2019年にインドネシア工業省から加工設備と技術支援を受けたことを契機に、農園は栽培だけでなく、精製、焙煎、商品販売までを手がけるKopi Tujuhenamへと発展していきました。

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焙煎所を併設したカフェ「Tujuhenam Roastery」では、Tujuhenam Estateで収穫・精製されたコーヒーを、その土地で焙煎し、フレッシュな状態で楽しむことができます。コーヒーをパーチメントや生豆のまま販売するだけでなく、焙煎豆やドリンクへと加工することで、産地により多くの付加価値を残すことができます。農園、精製所、焙煎所、カフェという複数の仕事が生まれ、地域の雇用創出や、Pesantrenの卒業生・生徒がコーヒーの生産とビジネスを実践的に学ぶ場にもなっています。Tujuhenamは単なる農園ではなく、コーヒーを通じて教育と地域経済をつなぐ拠点でもあります。

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カフェで彼らのコーヒーを楽しんだ後、山道を上って農園へ向かいました。そのふもとには、赤土レンガをつくる小さな製造所がありました。天日乾燥させたレンガをバイクの荷台いっぱいに積み、焼成窯へと運び込んでいきます。コーヒー農園だけでなく、昔ながらの方法で建材をつくる営みも、この地域の日常の一部として根付いていました。

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農園では、Ateng SuperとP88を中心に、複数の品種が栽培されていました。現在は異なる品種が同じ区画に混在している場所も多いため、今後は一部のコーヒーノキを整理し、区画ごとに品種をそろえながら植え替えを進めていく予定だそうです。品種ごとに区画を分けることで、栽培管理がしやすくなるだけでなく、それぞれの品種が持つ特徴を、より明確にコーヒーの味わいへ反映させることができます。

シェードツリーとして植えられているのは、インドネシアで「スリアン」と呼ばれる高木です。大きく広がる枝葉が強い日差しを遮り、農園内の温度変化や土壌の乾燥を和らげます。落ち葉が土へ還るだけでなく、良質な木材としても利用される、アグロフォレストリーに適した樹木です。

Tujuhenam Estateでは、こうしたシェードの状態に合わせて、植える品種を選んでいます。スリアンが育ち、すでに十分な木陰がつくられている場所にはAteng Superを、まだシェードが少ない場所には、強い日差しへの適応力が比較的高いP88を植える予定とのことでした。農園全体を一律に整えるのではなく、それぞれの区画の日照や環境を見ながら、品種を配置しています。

コーヒーノキの間では、トマトやチリ(唐辛子)なども育てられていました。単一の作物だけが並ぶ農園とは異なり、さまざまな植物が共存する、森のような環境です。農園を歩いていると、木の上でトカゲの姿を見かけ、茂みの中で蛇にも遭遇しました。豊かな植生と、そこで生活する生き物たちからも、この土地の自然の力強さを感じました。

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収穫後のプロセスは、コーヒーの用途によって異なります。国外へ輸出するロットは、Tujuhenam Estateでパーチメントの状態まで仕上げた後、Frinsa Estateの倉庫へ運ばれ、脱殻と選別が行われます。一方、Tujuhenam Roasteryで使用する一部のロットについては、脱殻から選別までのすべての工程をTujuhenam Estate内で行っています。

乾燥は二段階に分けて行われます。まず屋外のアフリカンベッドで初期乾燥を行い、その後、コーヒーをグリーンハウス内の乾燥棚へ移して、ゆっくりと水分を抜いていきます。乾燥期間の目安は、ウォッシュドで5〜7日、ナチュラルで20〜30日ほどです。

ただし、同じ乾季であっても、収穫時期によって日照時間や気象条件が変化するため、実際の乾燥日数は一定ではありません。収穫期の前半は日照時間が比較的短く、ゆっくりと乾燥が進む一方、後半になるにつれて日差しが強まり、乾燥のスピードも速くなるそうです。そのため、あらかじめ決めた日数だけを基準にするのではなく、その時々の天候や豆の状態を見ながら乾燥を調整しています。

特に収穫期の後半は、乾燥が速く進みすぎることで、生豆の品質やシェルフライフに影響する可能性があり、Tujuhenam Estateでも課題の一つとして捉えています。私たちが訪れた際も、グリーンハウスの中はかなり蒸し暑く、乾燥環境を細かくコントロールする難しさを実感しました。今後は、グリーンハウス内の通気性を高めることや、遮光シートを設置して日差しを調整することなどを検討しているとのこと。季節や天候の変化に対応しながら、より緩やかで安定した乾燥を実現するため、今後の改善を検討しているとのことでした。


今回のTujuhenam Estateへの訪問は、私たちが農園や精製について知る機会であると同時に、Pesantren Persis Tarogongの生徒たちにとっても、課外授業の一環となっていました。生徒たちは、日本から訪れたコーヒーロースター兼バイヤーである私たちの視察に同行し、農園を歩く様子や、生産者との会話、精製施設を見学する場面などを撮影・記録していました。

こうして集めた写真や映像、訪問時のやり取りは、Tujuhenam Estateの活動やコーヒーの魅力を伝えるコンテンツとして編集され、今後の情報発信やマーケティング資料に活用されるそうです。生徒たちにとっては、単にコーヒーの生産工程を学ぶだけでなく、産地の取り組みをどのように切り取り、国内外の人々へ伝えるかを実践的に考える機会でもあります。

海外のロースターやバイヤーとの交流そのものが、生徒たちの学びの題材になっていることからも、Tujuhenam Estateが生産の場にとどまらず、教育とビジネスをつなぐ実践の場として機能していることが伝わってきました。


Tujuhenam Estateを後にし、今回の旅で最後の目的地に。Garutからさらに東へ車を走らせ、TasikにあるKopi Bunarを訪ねました。(後編へ続く)
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