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TAOCA COFFEE (兵庫) : 2017年11月 #クラスパートナーロースター

次にご紹介する#kurasucoffee サブスクリプション提携ロースターは、兵庫・TAOCA COFFEE。多くの人の愛される苦楽園店に続き、今年岡本に新店舗、タオカコーヒー OKAMOTO KOBE を構え、その着実な成長ぶりがうかがえるスペシャルティコーヒー専門店だ。店主の田岡さんに、お話を伺った。


岡本駅を出てすぐに現れるタオカコーヒー OKAMOTO KOBE。周辺の道には石畳が敷かれ、セレクトショップや有名パン・ケーキ店、オーガニックカフェなどが並ぶ。流行りものを追いかけるというよりも、日々の生活の質を高めていきたいと考える人が多く訪れる街だ。

 

宝塚歌劇団の創設者でもある小林一三氏により創立された鉄道会社、阪急電鉄は、その沿線に広がる瀟洒な街並みで知られている。特に阪急神戸線沿線はその特徴を強く持ち、中でも岡本は神戸を代表する人気エリアの一つだ。一号店がある苦楽園も、同じく高級住宅街として知られている。なぜその地を選んだのか、その理由にはスペシャルティコーヒーを広め、TAOCA COFFEEというブランドを築き上げるための、ビジネスマンとしての田岡さんの才覚が光っていた。

 

オープン当初、8種類からスタートしたラインナップは現在では常時10-12種類を揃え、接客時にはそれぞれの好みを聞き、最も選びやすい数とされている3-4種類の試飲を勧める。
スペシャルティコーヒーを広めたいから、選ぶ楽しみを皆に感じてほしいからたくさんの種類を揃えるようにしているのだ、と田岡さんは話す。
12種類の内訳は大きく分けて浅煎り、中煎り、深煎りとし、焙煎は毎日行っている。店の在庫と卸先のオーダーを確認しながら、2日に1回は全種類の焙煎ができるように調節している。焙煎を担当するのは主に田岡さん、そして「ニット帽の人」と親しみを込めて呼ばれる田阪さんの二人だ。

 

オープン当初、関西ではまだ広まっていなかったスペシャルティコーヒーや豆販売。苦楽園や岡本ならば、今までのコーヒーよりは高いが、金額よりも美味しいコーヒーを買ってみようという姿勢を持つ人々が集まってくれるのではないか、田岡さんはそう考えた。苦楽園店は開店から丸3年が経ち、はじめはよく聞かれていた、「スペシャルティコーヒーとはなにか」という質問も気づけば耳にすることがなくなった。豆の売り上げの92%も地元の顧客によるものだ。地域へ根付いていっていることを嬉しく感じるとともに、これからもいかに地元に愛される店にしていくか、常によいものを出し応えていくかには、絶対という正解はないと感じている。


 

コーヒーとの出会い

 

大学卒業後、2年間商社に勤めることになったものの、独立したいという想いは昔から強かったという田岡さん。学生時代にアルバイトをしていた焼肉店で商売の楽しさに目覚め、経験やつてを活かして焼肉店を経営しようと思っていたこともあった。
その後マーケティングを本格的に学びたいと思っていたころに、株式会社ドトールコーヒーの求人を目にする。コーヒーに特別興味があったというわけではないが、入社してすぐ、新業態を展開する部署に配属されたことが、田岡さんのその後の運命を大きく変えることになる。

 

緻密なマニュアルがすでに完成されているドトールや傘下のエクセルシオールとは違い、メニュー開発から、店長職での人材育成など、新規開拓事業では全てが一からの作成。試行錯誤しながら第一線で経験を積むことができたのだ。しかし、全国にチェーン展開しているドトールであっても、新業態が常にうまくいくとは限らない。立地など、緻密な計算に基づいてオープンしたはずの十数店舗の経営が振るわず、失敗に終わったのだ。大企業であっても、店を軌道に乗せるというのは簡単ではないのだ、そう実感したと田岡さんは言う。

 

その後2千人近い社員の中で日々業務をこなしながらも、このまま埋もれていってしまうのではないか、と悶々としながら過ごしていた田岡さんに、またも転機が訪れる。作業をしていた田岡さんの横に、バリスタチャンピオンシップ社内予選のFAXがするすると出てきたのだ。これだ!とひらめいた田岡さんはすぐに予選に申し込み、大会に出場することになる。それまでラテアートなど、バリスタとしての業務はこなしていたが、本格的に指導をしてもらえる環境にはなく、この大会出場がスペシャルティコーヒーとの出会いだった。


大会出場、焙煎士への転身

 

大会に出場したことで、社外の人々との交流や数多くの出会いを通して視野が広がった田岡さんは、次第にコーヒー業界での独立を夢見るようになる。成功すればするほど農園にも還元できる、社会貢献へのはっきりとした道のりがあるスペシャルティコーヒーに心惹かれたのだ。

 

しかしすでに自ら目の当たりにしたように、カフェの経営はリスクも大きい。様々な人に会い、アドバイスを受けた結果、人件費が少なく、家族経営もでき比較的低リスクな豆販売に可能性を見出した田岡さんは、東京転勤を経て、関西に位置するドトールコーヒーの焙煎工場で焙煎士として勤務を始める。一般の自家焙煎店では想像のできない規模の焙煎を経験し、カッピングを通し独立に向けて舌を鍛えていった。

 

焙煎士の仕事は、焙煎の欠点を見つけることだと田岡さんは説明する。スペシャルティコーヒーのカッピングがフレーバーなど豆の長所、プロファイルを見つける作業であるのに比べ、ドトールで行っていたのは品質管理を優先目的とした徹底的な粗さがしだ。例えば「苦い渋い」と感じた場合、それは焙煎のしすぎからなのか、逆に生焼けなのかなどを見極め、論理的にアプローチを導き出す。この経験が、規模も考え方も全く違う現在の焙煎にも活かされているという。


 

独立、焙煎の追求

チャンピオンシップ出場の経験から、求める味は理解していた。そこへ長所・短所を敏感に感じ分ける焙煎士としての経験が重なり、独立後すぐに味の方針が決まった。全国を周り、そこでも様々な出会いがあり、その中でプロバットの焼き方を指導してもらい、その後自分で数バッチ焙煎しただけで、これで行こう、と思えるものが焼きあがったのだという。

それからは生産性や焙煎時間、微調整などにより大きな焙煎の変化は5回。自分自身の知識のアップデートや、スタッフの大会出場のために豆と深く向き合った結果の発見など、田岡さん自身の変化も反映されている。

 

使用しているのはプロバットの5㎏。東京の雑貨屋のすみに置かれていた、新品同様の中古品との思わぬ出会いだったという。重視しているのは豆の甘さで、生豆の段階で甘さがあるものを選び、焙煎でさらに甘味を引き出す工夫をしている。豆により、またロースターにより個性が強くでるのが焙煎の醍醐味だが、誰もが飲んで、甘い、飲みやすいと感じる味わいを表現している。

「5㎏の焙煎機だと月間3トンまではいけるという計算なんですよね」と、ストイックなプランを語る田岡さん。大きな焙煎機で一気に焼くのでは、大量に焼かなければ美味しく焼けないこともあり、あくまでも5㎏でやっていく予定だ。「焙煎機は大は小を兼ねないんです」と田岡さんは教えてくれた。


将来に向けて

 

チョイスに溢れた都心よりも、地元のサポートを得ている有名なロースターの方が、スペシャルティコーヒーを日常に浸透させることに大きく貢献していると感じると田岡さんは言う。
TAOCA COFFEEも、スペシャルティコーヒーを一過性のものではなく、人々の生活に織り込まれたものにするために、日々工夫をしている。店頭のコーヒーは全て試飲できるようにすることで、ミスマッチを減らす。デザインや商品などは、斬新なもの、派手な演出ではなく、何でも「半歩先」をこころがけ、しかしスタッフの技術は2歩も3歩も先へ。地道に、しかし着実にスペシャルティ―コーヒーを広めているのだ。

 

雇いたい、と思った人に何人か出会ったことが、新店舗オープンのきっかけだった。「将来の展開ですか?今で精一杯、まだまだここを何とかしないと・・・。でも雇用が生まれたからいいかなと思ってます」と冗談めかす田岡さんだが、すでに3店舗目の構想も練っているという。業界の動きをとらえながら力強く舵を取る田岡さんの姿に、同じ関西でコーヒーに携わるものとして、改めて頼もしさを感じた。

 

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