今月のKurasuパートナーロースターは、徳島県のトーコーヒー。「とくしまから浅煎りを」をコンセプトに、温かみのある空間で、人々の生活にそっと寄り添うコーヒーを提供するコーヒースタンドです。店名の「COFFEE TO」は、「to」「と」が持つイメージのように、"繋がり"を意味しています。スペシャルティコーヒーを通じて、人と人、空間と人、コーヒーと人とを繋いでいくトーコーヒー。今回、オーナーの森田さんと西谷さん夫妻にインタビューさせていただきました。
森田さんがコーヒーを始めたきっかけは、学生時代よく通っていた可否庵という喫茶店。幼い頃から、具体的な夢は持っていないながらも、誰かの夢の手助けがしたいという想いを抱いていた森田さん。可否庵と出会った時、「自分がやりたいのはこれだ。」と直感したそう。暖色の光に包まれ、どこか温かみのある空間。そこに一杯のコーヒーがあることに美しさを感じ、自分でもそんな場所を作りたいと自然に思ったそうです。
最初は可否庵でコーヒー豆を買って、自分でドリップをすることから始めました。ところがなかなか美味しく淹れられず、どうすれば良くなるか考えて試行錯誤するうちにどんどんコーヒーの沼にはまっていったと言います。焙煎を知ってからは、自宅で手網焙煎をし、焼いた豆をマスターの所に持って行ってアドバイスをもらう、ということを繰り返すようになりました。
その後、学生をしながら、森田さんはイベント出店でコーヒーを淹れるようになります。しかし、間もなく世間はコロナ禍に突入。イベントの開催も減っていきました。でもそんな時だからこそ、ピリピリとした人々の意識を穏やかにさせたいと思い、奥さんの西谷さんとともに間借りでコーヒースタンドをスタートさせます。そしてその1年後、大学を卒業し、現在の場所にトーコーヒーをオープンしました。
「なんか分からんけど美味しい」コーヒーが、今の森田さんのキーワード。個性が強いエッジの効いたコーヒーではなく、優しい甘さがあり、どんなシーンでもそっと包み込んでくれるコーヒーを目指している、と森田さん。ディードリッヒを使って焙煎する彼のコーヒーは、そんな優しさがカップの中に上手く表現されています。
今後は、徳島でスペシャルティコーヒーに携わる人口をより増やしていきたいと語ります。東京や大阪では20代の若者のコーヒーマンが多い一方、徳島ではまだまだ働ける場所も少ない現状があります。「トーコーヒーが徳島でスペシャルティをやる上でのモデルケースになり、雇用を生んでいくことで、活気ある新しい文化を作っていきたい」と話す森田さん。これから徳島、そして四国でどのようなコーヒーカルチャーが形成されていくのか、今回お届けするコーヒーからぜひ感じてみてください。
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