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インドネシア産地ブログ2026(後編: Kopi Bunar)

インドネシア産地ブログ2026(後編: Kopi Bunar)
ヘッドロースターのTakuyaです。2026年7月上旬、1年ぶりにインドネシア・ジャワ島を訪れました。前編中編に引き続き、旅の様子をお届けします。


Tujuhenam EstateのあるGarutから、北東に車で約2時間半かけて、TasikにあるKopi Bunarに到着しました。Kopi Bunarは、標高1,100mの山間に位置する小さな集落、ブナル村の人々が一体となって運営するプロジェクトです。コーヒーや茶、パームシュガーの生産に加え、焙煎所とカフェの運営、環境に配慮した農業、アグロツーリズムにも取り組んでいます。それぞれの活動をつなぎ、地域全体を豊かにしていこうとする、村に根ざしたプロジェクトです。
山のふもとには、焙煎所を併設した彼らのカフェ「Muezza Coffee & Roastery」があります。ここでは、ブナル村で収穫・精製されたコーヒーが焙煎され、一杯の飲み物になるまでの流れを身近に感じることができます。もちろん、彼ら自身が生産したコーヒーを味わうこともできます。コーヒーだけでなく、地元のフルーツを使ったアレンジドリンクや食事メニューも充実しています。単に飲食を提供する場所にとどまらず、地域の人々が自然と集い、交流するコミュニティの拠点にもなっています。


ブナル村に到着したのは夜遅くだったため、その晩は村に暮らすご家族の家に泊めていただきました。翌朝目を覚ますと、台所から美味しそうな朝ごはんの香りが漂ってきます。ご馳走になった朝ごはんはどれもとても美味しく、この地域の暮らしの一部に触れさせてもらえたような気がしました。
村ではパームシュガーの生産も盛んです。自生するヤシの木から採取した樹液を鍋に入れて火にかけ、5~6時間ほどじっくり煮込んでいきます。最初はさらさらとした状態ですが、とろみが出てくるまで火を入れ、型に流し込んで固めます。味見させてもらうと、火にかける前の樹液と完成したパームシュガーでは、甘みの濃厚さも、キャラメルを思わせる香りの豊かさも、まるで別物でした。
朝ごはんの後は、彼らの農園を案内してもらいました。Kopi Bunarの農園では、Typica、Atengsuper、P88などの品種が栽培されています。農園の代表 Daniによると、中には樹齢200年ほどになるTypicaの木も残っているそうで、この土地におけるコーヒー栽培の長い歴史を感じさせます。自然の森のシェードの中にコーヒーノキが並び、土には適度な湿り気があり、木々も生き生きとして見えました。
今回農園を周る途中、生態系を守る活動の一環として、魚の放流を体験させてもらいました。品質の高いコーヒーを持続的に生産するには、コーヒーノキだけでなく、そこに住む動物や虫、微生物の環境など、生態系全体を守る必要があります。そのことを、今回身をもって感じることができました。
また、収穫期のこの土地では、太陽光が当たる時間が平均して1日4〜5時間ほどと短いため、ウォッシュドは2週間、ナチュラルは30日間かけて、グリーンハウスの乾燥棚でゆっくりと乾燥させます。こうしたスロードライの効果もあってか、彼らのウォッシュドコーヒーからは、フローラルでトロピカルな風味と、複雑な味わいが感じられました。ハニーについても昨年試したようですが、この短い日照時間の環境では上手くいかず、現在は作っていないそうです。
Kopi Bunarでは、脱穀、ソーティングもブナル村の中で行っています。ソーティングでは、まず機械で密度選別を行い、その後、人の手で豆を一粒ずつ確認していきます。村の人々がそれぞれの家の軒先で、丁寧にハンドソーティングをしている姿が印象的でした。
コーヒーの栽培から精製、選別、焙煎、そして一杯の飲み物として提供するところまで、Kopi Bunarの取り組みには、村で暮らす人々がさまざまな形で関わっています。今回の訪問を通して、彼らのコーヒーは、豊かな自然環境だけでなく、地域の暮らしや人と人とのつながりによって生まれているのだと実感しました。
今回の旅では、Frinsa Estate、Tujuhenam Estate、Kopi Bunarという、それぞれに異なる背景を持つ三つの農園を訪ねました。多様な品種の栽培や研究に取り組みながら、森林と共存する農業を続けるFrinsa Estate。コーヒーを通じて教育と地域経済をつなぐTujuhenam Estate。そして、村の暮らしや自然環境とともに、生産から焙煎、カフェまでを一つにつなぐKopi Bunar。それぞれの土地で、置かれた環境に向き合いながら、より良いコーヒーと地域の未来をつくろうとする姿に触れることができました。


インドネシア ジャワ島の三つの農園を訪問して改めて感じたのは、一杯のコーヒーの背景には、品種や精製方法だけでは語りきれない、人々の暮らしや学び、土地の自然、そして未来に向けた試行錯誤があるということです。現地で見た景色や交わした会話を思い返しながら、彼らがつくるコーヒーの魅力を、これからも皆さんにお伝えしていきたいと思います。
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