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Kurasuの豆のはなし。『中国雲南』

Kurasuの豆のはなし。『中国雲南』

中国雲南省(以下、雲南)のコーヒーを販売するにあたり、インポーターであるMountain Moverの趙さんにお話を伺いました。


簡単に趙さんにのご紹介。



※写真の金髪の方が趙さん。XISHUANGBANNAのYUNLAN ESTATEでまだ7歳の男の子と遊んでいる様子

趙さんは、中国・上海の出身です。10年ほど前、大学進学を機に来日。大学卒業後、独学で抽出や焙煎について勉強され、現在では現地でコーヒーの栽培事業に関わりながら日本国内での認知度向上を目指して、輸入・販売を手掛けられるなど、日中間で精力的に活動されています。


雲南のコーヒーについて。

雲南でのコーヒー栽培の歴史は、1988年に現地でネスレがコーヒー栽培の事業を立ち上げたことが転換点となりました。それ以前も、政府主導の元コーヒーの栽培は行われていましたがそれほど盛んな産業ではなかったそうです。


※写真:SILANJIA Coffee Farmの農園主、彼女は少数民族のワ族でコーヒー以外にプーアル茶を栽培しています。写真はプーアル市内にある彼女のお店でお茶を淹れている様子

そもそも中国と言えば、コーヒーよりも断然お茶のイメージですよね。
雲南もやはり茶葉の一大生産地ですから、当初は茶葉とタバコ栽培がほとんどだったそうですがネスレが事業を始めてからは農家に一から栽培方法の指導をしたり、安定した価格の取引を保証することで徐々にコーヒーを栽培する農家が増えています。現在では中国で生産されるコーヒー豆の95%以上が、雲南で生産されているほどで、茶葉農家の数と比較した場合でもこの30年ほどで三分の一程度にまで増加しています。


Mountain Moverについて。


※写真:コーヒー脱穀場でMOUNTAIN MOVERの豆が運搬されている様子

お話を伺った上で改めて、彼らのことを説明するとすれば「雲南コーヒーの品質向上を目指す、プロセスのオタク集団」とでも言いましょうか。

最初に彼らと出会ったのは2021年のSCAJ会場でのこと。オレンジとイエローの看板が印象的なブースで、雲南コーヒーのカッピング会が開催されていました。

先述の通り代表の趙さんは、日本国内での雲南コーヒーの認知度向上を目指す一方で生産現場でのコミュニケーション、特にプロセスの検証にも人並みならぬ情熱を注がれています。政府の研究機関が発足するなど、近年では量だけでなく、質、所謂、スペシャルティーグレードの生産にも注目が集まっておりその上でプロセスの精度がより重要になってくるとのこと。

彼らのホームページを見ても分かるように一つひとつのプロセスに対する説明が事細かに記載されています。


と、趙さんや雲南コーヒーについて触れてきましたが肝心の品質はどうなのか。

今回Kurasuから皆さんにご紹介するロットは、雲南の中でも特にコーヒー栽培が盛んなプーアルという地域で採れたものです。
ネスレによって栽培が推進されてきたカティモール種に加え、TypicaやBourbon種も入ったミックスバラエティーのロットです。
そして特筆すべきは「Triple fermentation Natural」という聞いたこのない未知のプロセスが施されている点。


「Triple fermentation Natural」について。


-以下、Mountain mover公式HPより抜粋


「ハニープロセスと同じように完熟のコーヒーチェリーを洗浄し、選別した後に48時間嫌気性発酵させます。1回目の発酵が終わり、48時間天日乾燥させた後にまた同じ手順で2回目の嫌気性発酵を行います。最後に3回目の嫌気性発酵が終了した後に正式な乾燥手順に入ります。複数のアナエロビックファーメンテーションによって発酵に関わっている微生物の種類が多く、コンプレックスなフレーバーの形成に役立っています。特に、はっきりしたマスカットの甘酸っぱさと巨峰みたいな濃厚な味わいを楽しむことができます。アフターテイストはダークチョコレートのような甘さとほのかな苦味で全体的にエレガントな印象です。」

とのこと。



最後に、コロナの影響を受けて雲南のコーヒーに対する中国国内での需要が高まり国外へ流通する量が減少しているという課題も。


国内需要の高まりは世界情勢による輸送の問題などの影響を受けず、農家に安定した収入が入るというメリットがある一方、「雲南コーヒーの品質を向上させるには国外に流通させて他の歴史ある生産国の豆と同じ土俵で戦わなければいけない。」と語る趙さんでした。

Kurasu Head Roaster Kosuke著

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