新発売の 「エチオピア ハマショウ」(Ethiopia Hamasho Coffee Cherry Co-fermentation)は、Kurasuとしては初めて海外の生豆会社(カタリスト・トレード)から直接輸入した思い入れのあるロットです。
今回は、私たちが魅了されたそのコーヒー豆の生産を担っているカタリスト・トレードについてご紹介しながら、その出会いについてもお伝えします。
生豆会社:カタリスト・トレードの歩み
エチオピアの夜明けのように、カタリスト(Catalyst)・トレードの物語は、オレゴン州ポートランドの静かな街角から始まりました。
2018年、ゼラレム、エミリー、マイケルの3人のパートナーシップが生んだこの会社は、エチオピアのコーヒーを尊重し、優しさを持って取り扱うという独自の哲学に基づいています。
そのルーツは、2013年のエチオピアの農園に行っていたコンサルティング業務に遡り、10年以上にわたる豊かな歴史を紡いできました。
エチオピアの地に足をつけて、生産や精製に携わった彼らは、多種多様な名のない原種に名をつけて、チェリーからカップまでのプロセスを透明にすることを追求してきました。
チェリーの選別をはじめ、パルピング、発酵、袋詰めやタグ付け、輸送、その他すべての側面に彼らが直接かかわり参加しています。
カタリスト|Catalystという名の通り、コーヒー業界に新しい刺激や革新を呼び込む「触媒」として活躍してきました。
革新的なトレーサビリティへの追究
その妥協のない努力の結果として、今までにはなかった考え方として、3つの精製プロセスを生み出しました。
- INTRINSIC(固有:伝統的なプロセスに基づくもの)
- INTERVAL(間隔:発酵時間を意図的に調整したもの)
- SYMBIOTIC(共生的:酵母などを使用した実験的なもの)
自らがこだわり、納得して精製工程にも深く関わるこの前衛的な取り組みー これは完全な透明性を提供しながら、伝統的なプロセスから前衛的な取り組みまで、何一つ取りこぼさずに提案することができるという、新たな地平を切り開くものでした。まさにコーヒー産業の進むべき理想的な道筋を示しているようです。
(Kurasu Ebisugawaで行ったカッピング風景1)
衝撃的だった味わいの体験、Kurasuとして新たな一歩
2023年のWBC(World Barista Championship)の視察でアテネに訪れたKurasu 代表のYozoが紡いだご縁で同年5月27日、インポーターのクリスがKurasu Ebisugawa店にたくさんの豆を持って訪れてくれました。
カッピング会を通して、ヘッドロースターであるTakuyaも私(Jongmin)も、説得力のある味わいに感銘を受けました。
近年多様化するコーヒーの味わいの中でも、人それぞれ好みはあるので、実は少し苦手とするコーヒータイプも中にはあります。
カッピングにおいてはそういった先入観をなくして仕事をすることが重要なものの、違うな、と思うコーヒーに対して、無意識に偏見をもってしまう。
その中で今回のカタリスト・トレードのチームと過ごした時間は “意図がわかり、説得力のある味わいに出会う” というある種の原体験をもたらしてくれ、コーヒーを仕事にする本質に立ち返らせてくれる気がしました。
(Kurasu Ebisugawaで行ったカッピング風景2)
ぜひ、Kurasuとしては長期的な関係を構築し、何か小さなインパクト、言い換えると気持ちを生産地やエキスポーターさんに残したい。
そんなビジョンの基に購入したのが今回の「Ethiopia Hamasho Coffee Cherry Co-fermentation」です。
Kurasuとしても国内のインポーターを経由せず、直接空輸で仕入れたのは、珍しい(初めての)出来事です。
(豆が実際に届いた時)
カタリスト・トレードの今後
国際情勢の悪化や、米国における財務的な問題、金利の上昇、またエチオピアのコーヒー価格の急上昇など様々な課題が重なり、Catalyst Tradeの活動は一旦中止となりましたが、今回の経験は、私たちにコーヒービジネスの本質に立ち返る機会を与え、これからの道を照らす灯火となりました。
この最後で最初のコーヒーのエピソードを胸に抱き、これからどんなコーヒーマンになりたいのか、向き合いたいものです。
(執筆:ロースター Jongmin)
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