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焙煎士Kosukeにインタビュー【中編】

こんにちは!

今日も美味しいコーヒー飲んでいますか?

前回のブログ【焙煎士Kousuke について 焙煎士になるまで】は読んで頂けましたでしょうか。

タイでの衝撃なコーヒーカルチャーとの出会いのお話が皆さんから一番反響頂きました(笑)

Kosukeの素顔を少し知って頂いたところで、今回のインタビュー中編【焙煎士という仕事 コーヒーにかける想いと覚悟】では、具体的な焙煎士の仕事に関してや焙煎への彼独特な信念をお届けします。


あ、今のうちにお湯を沸かす準備しておいてください。


読み終わったらきっとKurasuのコーヒーが飲みたくなるはずですから。

 

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「焙煎のお仕事について教えてください」



焙煎環境において最も大事なことは「どれだけ排気させるか」です。

人によってそこに違いがあって、排気させる量でその人が目指している味わいが99%決まります。それだけ排気環境には気を遣う。

僕はダンパーを一切閉めないで煙を一秒たりとも滞留させず、常にクリーンな空気が入るようにして焙煎しています。それを閉めて焼けば、もっとクイックに焼ける。ダンパーを開けると閉めるとで温度の上昇の仕方が全く異なるので、同じような焙煎度でもコーヒーの印象は全然違う。

どちらを美味しいと思うかというところが、そのお店の味に繋がるんです

今の焙煎機ギーセンは鋳物でできているので蓄熱がすごく良いので、炎の火を使わずに鉄に籠った熱を利用してこのようなやり方ができるけれど、例えばフジローヤルみたいな蓄熱の弱い焙煎機であればより細かい調整が必要になって来ます。

今後新たに使用しようとしている、ローリングの焙煎機はそれでいうと蓄熱機能はほとんどないと言われている。むしろ、蓄熱が無いことで、現在のギーセンで必要としている焙煎機本体の温度管理の手間や技術が必要でなくなるので、焙煎士の経験に左右されなくなる。

常に一定の温度環境の中で焙煎することができ、手間を省くことができるテクノロジーが搭載しているんです。


ーー「え、一度も開けないんですか?豆を出して香りのチェックとか」


実は、焙煎するにあたって「匂い」と「音」は一切頼りにしていません

「色」に関してもそう。

見るひとによって違うし、その日の自分のコンディションに左右されるのでそういった曖昧で不確かな情報はあてにしていません。そのほうが一定の味を出し続けることができると思っている。なので焙煎途中でスプーンを開けて豆の状態をみることはありません。逆にスプーンを開けてしまうと冷めてしまって焙煎機内の環境が変わってしまう。

匂いを嗅ぐために豆を出していた何秒かで自分の思い描いていた味と変わってしまうので決して開けない。豆ごとに決めた焙煎グラフを元に、いつでも同じグラフが描けるように豆を焼くのが焙煎士の一番の仕事だと思います。その上で、いつもと味わいが違うとなれば、焼き方の調整を加えます。

 

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「焙煎士の1日のスケジュールはどんな感じですか?」



量でいうと、月間600キロ、一日10バッチと決めて焙煎している。一週間で150キロ焼いています。スケジュールはこんな感じ。


①出社

②焙煎機の予熱(1時間)

 その間にオーダーをみてどのくらい焙煎するか決めて、袋の準備をする

③一回15分(焙煎自体にかかる時間は約10分+次の焙煎までのインターバルの時間)

 少ない日で10バッチ(150分)

④豆を袋に詰める作業(1時間)

⑤配達(1時間半)

⑥チャフの掃除(1時間)


ーー1日の焙煎で90Lのゴミ袋がパンパンになってしまうとのこと!!

  意外に体力勝負なんですね。

 

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「焙煎していてどんな時楽しいと感じますか?」



焙煎をする上で楽しいと感じるのは、新しい豆を焼くその一回目。

それ以外は、楽しいと思う瞬間はないんですよね。


ー「ほぅ…。えっ?」


強いて言うなら、自分の思い描いていたような豆がバチっと焙煎できた時は楽しいかな。

きたー!!ってなる。(笑)

けど、焙煎してどうというよりは、その豆をスタッフの人たちの反応があって初めて楽しさを感じます。今でも変わらず焙煎するときに一番頭に思い浮かべるのは、バリスタの顔なんです。

自分が小川珈琲でバリスタをしていたときも、やっぱり淹れていて自分が美味しいと思うコーヒーじゃないとモチベーションが上がらなかった。淹れている自分が楽しめていなかったんです。

自分がそう思っていたから、お客さんよりも先に、その前にいるバリスタたちが満足できるような豆を目指したい。自分の淹れているコーヒーに誇りを持って欲しいんです。

バリスタの人たちが淹れていてモチベーションが上がるような、美味しいと思ってくれるようなコーヒーを焼きたい。だからバリスタから美味しいと言ってもらえるととても嬉しい。

そんな豆を自分で作り出したかったんです。


ーー(ジーン…)バリスタを経て焙煎士になったKosukeさんだからこその熱い想いですね。

 

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「逆に焙煎する上で難しいと感じることは何ですか?」



ははは、むしろ難しさしかないです。満足したことは一度もないし。

安定して焼くのが一番難しい。こうやったらこうなるとかそういうセオリーは教科書にあるし、経験を通して学んで行けるのである程度確固たるものはあるけれど、まずはそのセオリーを当てはめられる状態にしないといけない。そこが一番難しく、骨が折れる部分です。

特に今季節の変わり目なので、ブレ方がすごい。気温の差はもろに影響する。

調整、調整が必要。季節が安定してくると焙煎も安定してきます。

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「焙煎士として気をつけていることがあれば教えてください」



ーー例えば、刺激物やお酒、タバコを控えているなどありますか?


タバコはバリスタを始めるときにやめました。

最後セブンイレブンの前で一本だけ吸って、それ以外をそのまま捨てたんです。

それをケジメの儀式として。今でも鮮明に覚えています。もったいなかったなぁと(笑)

あとは夜ご飯を食べないとかですかね?僕、食事が次の日のパフォーマンスを左右するんです。あまり食べると寝付きが悪くなるから、夜はお米を食べず、おかずだけ食べて寝ます。


あと、一番意識しているのは「ルーティーン」。焙煎の日は特に、起きる時間、家出る時間、お店に着く時間、鍵開けるドアの順番、電気つける順番とか。


ーーえ、毎日ですか!?電気をつける順番までなんて…凄いですね!


環境を安定させるのは難しいですが、自分の行動を一定に保つことはできるじゃないですか。なので究極同じ行動を取るようにしているんです。もう、ドアを開けて、どこにカバンを置いて、どこのボタンから付けてから焙煎機を稼働させて、いつもと同じ火力で温めて、焙煎を開始することで、そのあとの焙煎の段階でいつもより焼けるのに10秒余計にかかったなど、いつもと違う変化があればここで初めて環境の変化を疑うことができる。

始める時間もバラバラ、予熱する時間もバラバラってやっていると結局何がだめだったのか原因がわからないんです。なので自分だけは絶対に同じ行動をすると決めています。

焼く順番も最初から決めている。

そこまでやって、今何が起こっているのか分かる。

やり過ぎかもしれないけれど、僕はとても大事だと思っています。

最初は、パソコンの数字を見て頼りにしていました。だけど、その数字さえ狂うことが分かり、結局自分のルーティーン(時間)の方が機械が測る温度よりも正確なことがわかったんです。

ハンドドリップとかでも、例えば、家に温度計がない人がお湯を沸かして1分経った温度が何度なのか測ったときの温度はルーティン通りほぼ同じ温度になるという不思議な現象が起こります。

焙煎において求められるのは「数字を信じることと、数字を疑うこと」加えて、自分の感覚を信じて従うことがとても大事。焙煎をしていく中で身についた能力。

自分の行動にバラつきがあると、何か焙煎上でトラブルがあった時、環境のせいなのか、自分の行動のせいなのか判断がつかなくなる。

もし、バリスタから焙煎士を目指すのであれば、そういった柔軟性と自分を律することができる強さが必要になってきます。

むしろ、コーヒーの知識が全くないような人の方が、焙煎はしやすいかもしれないです。

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「サポートの人に求めることは?」



まず一番は、“ 真面目 ”。真面目であれば他の色々なところをカバーできると思っている。


あとは“  僕よりもコーヒーが好きな人 ”。


ーーううん、いますかね?簡単そうでなかなか難しい条件ですね。


実はこれが一番欲している要素です。

全く同じようなタイプの人よりも、違うタイプの人に入って欲しい。同じゴールを目指す中でも違う視点って大事。男性か女性かはあまり気にしていないけれど、ある記事によると、味覚と嗅覚に関して言うと男女で秀でている部分が違うらしいんです。


・男性=味覚と嗅覚が安定している、1の味をいつも1と捉えることができる

・女性=(男性に比べて)常に安定した感覚を保つのは弱いけれど、より繊細なところまで感じ取ることができる


どこまで本当なのかは分からないけれど、面白いなと思う。



僕には分からない部分が分かる新しい視点が欲しいです。

女性であれば、力仕事の部分だけ心配ですが。


ーーコーヒーが大好きな、力持ちの女性募集中です!!(もちろん男性も!)

 

 

ーーー

中編【焙煎士という仕事 コーヒーにかける想いと覚悟】いかがでしたか?

ね?Kurasuのコーヒー飲みたくなってきませんか?

普段何気なく飲んでいるコーヒーが急に愛おしく見えてくるから不思議です。



焙煎するなかで一番に思い浮かべるのがバリスタスタッフの顔だったり、仕事をする上で大切にしている「ルーティン」の徹底ぶりだったり、優しく、そして真面目で実直なKosukeの人柄がとてもよく現れているように感じました。

焙煎士という名の職人ですね。

 

次回はついに最終章。

大好評いただいた、あの大型企画に関しての質問や、彼の未来に関してなどをお届け。

(インタビュアーの私が個人的に聞いてみたかったあれやこれやも入っています。)

 

お楽しみに!