KARIOMONS COFFEE ROASTER (長崎):2018年3月 #クラスパートナーロースター

KARIOMONS COFFEE ROASTER (長崎):2018年3月 #クラスパートナーロースター

3月 06, 2018 0 コメント

次にご紹介する#kurasupartnerroaster(Kurasu提携ロースター)は長崎のKARIOMONS COFFEE ROASTER。

時津町にある1号店は、倉庫を利用した店舗だ。トタン板の壁、ドラム缶や灯油ストーブといったノスタルジックなインテリアに、ステンレスが蛍光灯を反射する実験室のようなコーナーや、木材が貼り合わせられた大きなカウンター、メカニックな存在感のあるプロバットなどが混在している。思い出と宝物で溢れているような、まさに「大人の秘密基地」といった様子の焙煎所だ。代表・ロースターの伊藤さんに、お話を伺った。

 

Kariomons Coffee Roasterができるまで


18歳の頃、長崎市内のカフェでアルバイトを始めたのをきっかけに、コーヒー業界に足を踏み入れた伊藤さん。バリスタとして勤務して一年ほどが経った頃、雑誌のスペシャルティーコーヒー特集をきっかけに、スペシャルティーコーヒーという言葉とそのコンセプトに興味を持つ。そこで紹介されていたハニーコーヒーを訪れ飲んだケニアのフレーバーに驚き、「自分でスペシャルティーコーヒーをやりたい」と思うようになったという。


当時長崎にはスペシャルティーコーヒーが存在していなかった。ならば自分で作るしかない、そう考えた伊藤さんは、23歳の時にKariomons Coffee Roasterを開業し、独立。当時住んでいたアパートの横に小さな焙煎小屋を置かせてもらい、朝から小さな焙煎機で焼いては移動式のバンで街に出てコーヒーを売りはじめた。

 そんな生活を半年ほど続けたが、やはり毎日の移動が負担になり、できることの限界値も見えてきた。もっと豆を売りたい、どこか拠点がほしい、そう願っていた頃、新聞の折り込み広告で現在の店舗である倉庫に出会う。がらんとした、何もない広いスペース。ここならば存分に焙煎ができる。「家が手に入った」、そう感じたという。

はじめは倉庫で焙煎したものを外に売りに出ていたが、次第に店舗まで直接コーヒーを買いに訪れる人が増えた。それを機に店舗経営とし、現在は2店舗を経営している。

 

Kariomons Coffee Roaster の焙煎


焙煎は、主に伊藤さんが担当する。独立前の手回し焙煎機、フジローヤルの1kg、5kgを経て、現在のプロバットにたどり着いた。プロバットを選んだ理由は、それまでに飲んだプロバットでの焙煎の風味が好きだったことと、優れた蓄熱で、寒暖差の激しい焙煎所でも安定した環境を保てることだ。


フレーバーの強さは産地に大きく影響されるが、その中でも焙煎する際に重視するのがクリーンでありながら複雑であること。その点は決して譲れない。

実験が好きだという伊藤さんにとっての焙煎の魅力は、「掘り下げがいがあること」。既に王道のやり方が決まっている豆についても、ではこの要素を変えてみたらどうか、あれはどうだろう、と、様々なパターンを試しながら焙煎を繰り返す。その反復作業から違いを生み出していくのが、たまらなく楽しいのだという。

 

店頭に並ぶ豆は常時8種類ほど。そのほとんどが、伊藤さんをはじめとしたスタッフが直接買い付けて来た豆だ。7年ほど前から、アフリカなどの地域を除き、可能な限り商社を通さずに自分たちで農園へ足を運んでいる。

スペシャルティーコーヒーを出すロースターも増え、消費者から農家など生産者の顔が見えることが当たり前の時代になりつつある。

そこから更に、作り手の側からもロースターの顔が見えるようにすることで、農園との信頼関係を築いているのだ。「精神論かもしれませんが、作り手が僕らの顔を知った上で作ってくれるという事、その気持ちの入り方は必ずコーヒーの品質や味に反映されると思っています」と、伊藤さんは話す。

 

豆を選ぶ時には、季節に合った個性のものを探す。できるだけ様々な産地から、夏はアイスでの抽出で良さが生きるもの、冬には深めの焙煎にも耐えて魅力を発揮するもの、など。ある時は同じ生産者の異なる品種を同時に店に並べることもある。様々な視点からコーヒーの個性の違いを楽しませてくれる、知的好奇心にあふれた伊藤さんらしい選び方だ。


長崎のコーヒーシーン


家でコーヒーを豆から挽いて淹れるということが一般的でない長崎では、自宅で自分の好きなようにコーヒーを淹れるということは、こだわりが強く、おしゃれという印象で捉えられることが多い。

「ワインを飲まない人にアンケートを取ると、専門的過ぎてよく分からない、と答える人が多いそうです。僕たちはコーヒーをそういう風にしたくない。コーヒーのあるべき姿を伝えなくてはいけないけれど、変に神格化するのはおかしいと思います」と伊藤さんは言う。


コーヒーを飲めなかった人が、Kariomons Coffee Roaster のコーヒーをきっかけにコーヒー好きになることも多い。まだまだライフスタイルには浸透していないと感じる長崎のコーヒー文化が、この先どう変化していくか。それは自分たちの努力にかかっていると自負している。



伊藤さんにとっての「美味しいコーヒー」


伊藤さんが考える美味しいコーヒーとは、「まるで水のように飲む人に抵抗を感じさせないが、その中に複雑さがあり、深い満足感が得られるもの」。


味や淹れ方にはその時々のトレンドもある。移ろっていくものは、それでいい。しかしその根底にある品質の概念、美味しさに対する考え方は意外といつの時代も変わらないと伊藤さんは考えている。

農産物として生まれ、焙煎、抽出を経て一杯の飲み物になるまで、コーヒーは徹頭徹尾「人の手で作るもの」。だからこそ生まれる楽しみや、どんな時でもぶれない価値ーそういうものを見つめ続け、探し続け、伊藤さんは今日も焙煎をする。