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Kurasu joins "HOME". HOOPが手がける新しいスタイルのシェアロースター

日本のコーヒー業界の中でも「シェアロースター」という言葉を最近少しずつ耳にすることがここ一年確実に増えている。ロースターが各々焙煎機を所有し行うのではなく、一か所に通常複数台の焙煎機を設置し、数件のロースターが共同使用する形の焙煎所だ。焙煎機の種類・製造元は実に様々で、それぞれ実際に使用してみるまで使い手との相性が分からない上に、高額であり、さらに設置するには面積・排気を含め適切な環境が求められる。そのため、初期費用を抑えながら色々な焙煎機を試すことができ、場所の心配もいらないシェアロースターの人気が高まっているのだ。
NY、メルボルンといったコーヒーカルチャーをけん引する都市ではすでに当たり前にある光景。そして今月、いよいよ日本でもシェアロースター「HOME」が大阪・南船場にオープンした。
日本全国のロースターから豆をピックアップし、カフェや定期購買という形で提供するコンセプトであるKurasuも自分たちで焙煎する可能性を探りたい。その為に、HOOP代表である小川さん、山田さん、後藤さんの三人にお話を伺った。

 

 

 

設立時、彼らがHOOPのコンセプトでもある「ライフスタイルのイノベーション」を探る旅の中で訪れた街、ニューヨーク。そこで立ち寄ったカフェで紹介してもらったのが、アメリカにおけるシェアロースターの先駆けであるPulley Collective「プーリーコレクティブ」。アッパーベイに面する、ブルックリン・レッドフックに位置するこのパブリックシェアロースターには、様々な種類の焙煎機やエスプレッソマシンが設置されていた。港町のため、世界中から直接届いた生豆をすぐに試すことができる。そこで焙煎された豆が町に届けられ、NYのコーヒーカルチャーを賑わせているのだ。

 

 

 

日本のコーヒー業界で経験を積んできた山田さんにとって、彼らの、そしてシェアロースターという存在自体のオープンさは驚異的だった。職人として自らの技術を磨くことに専心し、結果として品質は高いが閉鎖的になってしまいがちな日本のコーヒー業界には常々問題意識を持っていたという山田さん。ここでは、焙煎技術などの情報を皆で広く共有しているどころか、たくさんの人々がそれぞれの強みを生かし、互いを高めあっている。その光景は旅が終わっても脳裏に焼き付いていたという。

 

その後、HOOPでも焙煎機を購入しようという話になったが、そこでHOOPのこだわりのコーヒー、と銘打って売り出すというのも、面白さがたりない。検討していた機種であるプロバット社のプロバトーネだけをとっても、すでに大阪に十数件同じマシンを使っているロースターがいる。自家焙煎に新入りとして飛び込むよりも、自分たちにしかできないことは、と考えたとき、真っ先に人の頭に浮かんだのがブルックリンでの光景だった。
世界では、「共有する」というコンセプトがどんどん進んでいる。自分だけのための技術ではなく、技術を共有してお互いを高めあうという意識の持ち方が主流になりつつあるのだ。自分たちが主体となって価値を提供するというよりも、皆で価値を生み出すシェアロースターというあり方が、HOOPのビジネスの理念と合致した。

 

 

技術を持ったバリスタが自家焙煎を始めるという流れが今後日本でも進んでいくと3人は考えている。HOMEを立ち上げることで、今までスペース・資金などの壁に阻まれて焙煎に挑戦できていなかった人々が自由に活動できるようになり、そこから広がる可能性にはすさまじいエネルギーがあると感じているのだという。
HOMEでは、訪れた人には基本の焙煎手順をシェアしてくれるため、あとはどんどん自分で焙煎にチャレンジしていくことができる。コーヒーの抽出に基本があるように、焙煎にも基本の手順があると山田さんは説明する。その基本を共有し、自由にカスタマイズしてもらうのだという。「一から始めると色々と失敗もあるのですが、私たちがすでに経験した失敗も併せてシェアすることで、時間を無駄にせずに自分の焙煎を追及してもらえるようにしています」と山田さん。

 

 

 

時間、温度、火の調節など様々な過程でのほんの少しの違いがガラリと味を変えることがある。その匙加減はもはや個人の哲学のようなもので、それぞれの好みやこだわりによって生まれた違いから、お互いにまた新しいことを学んで行く。そうして個人の、そして共有財産としての技術が磨かれていくのだ。

 

インタビューが終わるころ、山田さんが、「今から焙煎しましょうよ、めっちゃ面白いですよ」と明るく提案してくれた。とにかくオープンで、皆と手を取り合い新しい価値を生み出していく、HOOPのそんな姿勢が生き生きと感じられる、素敵な訪問となった。

 

 


HOOPについて
HOOPは、「Co Imagine ともに想像しよう」をテーマに、異なる文化やバックグラウンドを持つ人々が出会う場を提供し、そこで生まれる物語を通して様々な分野における人々の意識や感性を育むことを目的にしている企業だ。今年7月頭のオープニングウィークでは国際・食・働き方・音楽などあらゆる方面から、ライフスタイルをより楽しく、新しくするイベントを開催した。通常営業時には、世界各地のコーヒーが楽しめるコーヒースタンド、シェアロースター、そしてイベントの開催を軸に行っている。コーヒースタンドではコーヒー界Appleと称されるブルーボトルコーヒーに対し、コーヒー界のGoogleと言われるFour Barrel Coffeeフォーバレルコーヒーなどのコーヒーを味わうことができることで話題になった。

 

 https://hoop.coffee/