次に#kurasucoffee サブスクリプション提携ロースターとしてご紹介するのは、福岡のSaredo Coffee。明るく暖かみのある店内で、店主の権藤さんに、お話を伺った。
1.コーヒー業界にはどのようにして入られたのですか?
コーヒーと関わり始めたのは、スターバックスでバイトを始めたのがきっかけです。雰囲気の良さにひかれて、10年ほどいました。それまではコーヒーといえば甘いものぐらいしか飲まなかったのですが、豆の販売・接客を通して、お客様のニーズを探り、喜んでもらえるものを提案できた時、リピートしていただけた時などの嬉しさも手伝って、コーヒーへの興味を育てていきました。社内のテストなどに向けて勉強し、名古屋の店舗で勤務していた頃、黒エプロンをもらい、社内の大会で東海3位に入賞することができました。
スターバックスでは最初の3年を地元の福岡で、その後は名古屋で勤務したのですが、本格的にコーヒーに目覚めたのは名古屋に移ってからです。名古屋では深すぎない焙煎のものが比較的手に入りやすく、よく清水珈琲さんや小野珈琲店さんから豆を買っていました。
学ぶうちに、浅煎りの面白さを知り、ある日お客様から「苦くないコーヒーがほしい」と言われ、ここにはない、自分で作るしかないと思い、思い切ってはじめたのがSaredo Coffeeです。
2.自分でお店をやりたいと思い始めたのはいつ頃でしたか?
スターバックスに入ってから7年ぐらいが経ったころに自分で店を持つことを考え始めました。そこから3年ほどは構想を練ったり、貯金をしたり・・・焙煎は富士珈機さんなどのセミナーに通って学びました。本格的に焙煎の経験を積み始めたのはお店を始めて、窯を置いてから、トライアンドエラーで・・・無茶なんですよ(笑)
3.福岡のご出身ですよね?地元への思い入れがあってお店を福岡で開かれたのでしょうか?
そうですね、このエリアは地元なのですが、元々地元福岡でやりたいなと思っていました。知っている場所で、通いやすい距離で。
4.焙煎機にGiesenを選んだ理由は?
初めはディードリッヒを買おうとしていたんですが、代理店のノーザンコマーシャルに声をかけられて。周りに使っている人が誰もいなかったのですが、人と被らないところがいいなと思い、思い切って買ってみることにしました。福岡では契約している人は一人もいなかったと思います。
焙煎も最初は大変でした。どれだけ捨てたことか!当たりはずれも多かったし、安定させられませんでした。店を何日間か閉めてしまったこともあります。
焙煎機が到着してから店を開けるまで2週間弱、その間に猛特訓しました。Giesenからもトレーナーが来て教えてくれたりもしました。それでも1年ぐらいは迷い続けていたと思います。自分で納得できるものばかりを作れなかったときはカップに飲み残していくお客様もいたり・・・その頃に豆の仕入れ元を変えて、焙煎も自分が納得できるようになったら、カップが全部空っぽになるようになっていました。お客様が豆を買いに来るペースも早くなったり、そういうところで、うまくできているんだなと感じることができました。いまだに迷うことも多いですが、ようやく安定させられるようになったかなと思います。
5.権藤さんの豆へのこだわりを教えてください。
スペシャルティにこだわっているというわけではないのですが、選んでいくと結局そこに行き着くといった感じです。豆の仕入れは、ワタルさんなどが有名どころですが、僕はマツモトコーヒーさんという商社から仕入れています。取引がある店舗は福岡には一店舗しかないと思います。とにかく人が扱っていないもの、人と違うものを探して見つけました。いつも安定したものを送ってくれるし、電話すれば親身に相談に乗ってくれる、いいパートナーです。一人でやっているところなのですが、サポートがとても良い。うちの豆は100%マツモトコーヒーさんからです。ここでしか買えないもの、僕にしか焼けないものを作って、それを皆さんが応援してくれている。その期待に精一杯応えていきながら、長くやれたらいいなと思っています。
6.主に中深煎りで焙煎されていますが、初めから決めていらっしゃいましたか?
はい、酸っぱすぎず、苦すぎず、軽すぎずで行こう、と初めから決めていました。スターバックスでお客様の好みをお伺いしていて、圧倒的に多かったのが、「飲みやすいもの」、「酸っぱすぎないもの」、「苦すぎないもの」だったんです。それで自分で焙煎するときにどのあたりでやっていこうかと考えたときに、中深煎りがちょうどいいんじゃないかなと思いました。個人的にもそのぐらいが好きですね。セカンドクラックの手前ぎりぎりぐらい、浅くてもファーストクラックの終わりぐらいを目安に焙煎しています。
7.色々なことにチャレンジされる姿勢が素晴らしいですね!開店から3年半、お客さんの反応の移り変わりはありましたか?受け入れられるようになるには時間はかかりましたか?
最初はだれもが買える問屋さんから豆を買っていました。その後1年ぐらい経ってから仕入れ元を変えて、いいパートナーと面白い豆との出会いのおかげで、一気に売り上げが上がったんです。品質を上げたらお客様は必ず喜んでくれるという、一つの良い学びになりました。
8.そうやって分かるのは面白いですね!提供している中で、味が変わったと言われましたか?告知はどのぐらいされましたか?
告知はブログで簡単にした程度だったのですが、実際に飲んで気に入ってくださった方がプレゼントとして配ってくださったりして、いろんな方に応援していただいて、どんどん広がってつながって、という形でした。今はまだ一人でできる範囲ですが、引き続きまだまだ頑張っていきたいです。
9.今後の展望は?
あんまりビジネスプランといったようなものはないです。試行錯誤して今安定させられたものを、四季、季節に惑わされずにしっかり安定させていきたいなと思っています。
飲んでくださった方の感想ももっと知りたいです。飲んでどんな気持ちになったかなどのカップの感想や、会話が弾んだとか、なんでもいいので聞けたら嬉しいですね。
コーヒーって主役じゃなくて、飲んでみろと押し付けるものでもなくて、会話のツールや、なにかのきっかけであってほしいなと思っているんです。なので、Saredo Coffeeのコーヒーを通してどうなったのか、そんなお話を聞けたら幸せだなと思います。
7種類のシングルオリジンと数種類のブレンド、オリジナルのコーヒーベースやチョコレートが所狭しと並ぶ店内。見た目にも楽しく、愛らしい色合いのフラワードリッパーをはじめとした様々なグッズや、暖かい色合いのインテリアが、権藤さんの物腰の柔らかさと相まって居心地のよい空間を作り出している。同時に、コーヒーカルチャーの発展がめざましく、強豪がしのぎを削る福岡で、ここでしか出会えないコーヒーを出している。そのしなやかさと強さの組み合わせが、Saredo Coffeeの魅力ではないだろうか。
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