夏。冷たいグラスに注いだコーヒーが、いちばんおいしく感じられる季節がやってきました。
おうちでアイスコーヒーをつくるとき、代表的な方法が2つあります。水でじっくり抽出する「水出し(コールドブリュー)」と、熱いお湯で淹れて氷で一気に冷やす「急冷式」。同じ「アイスコーヒー」でも、淹れ方が変わると、香りも、質感も、甘さの出方も、驚くほど変わります。
どちらが優れている、ということではなく、引き出される表情がまったく違う。それを確かめるため、Kurasuでは同じコーヒー豆を使って2つの方法で淹れ比べてみました。この記事では、味わいがなぜ違うのかという仕組みから、それぞれの魅力、豆や器具の選び方、そして「あなたの暮らしにはどちらが合うか」までをまとめてご紹介します。
水出しコーヒー(コールドブリュー)とは

「水出し」は、お湯を使わず、水にコーヒーを浸してゆっくり時間をかけて抽出する方法です。Kurasuのレシピでは、8〜18時間ほどかけて抽出しています。
低温でゆっくり抽出するため苦味や刺激的な酸が出にくく、甘さとまろやかさが前に出ます。さらに、紙で漉さないぶん油分や微粉が液体に残りやすく、それがシロップのようなとろみとクリーミーな口当たりを生みます。
そして、うれしいのは、その手軽さ。前の晩に仕込んで冷蔵庫に入れておけば、翌朝にはおいしい一杯が待っています。特別な技術はほとんど必要なく、誰がつくっても安定した味に仕上がるのも魅力です。まとめてつくってボトルに移せば、そのままオフィスへ持っていくこともできます。
「水出しは深煎り向き」というイメージを持たれることもありますが、実は水出しは焙煎度を選びません。Kurasuでは浅煎りのコーヒーでも、果実味のあるジューシーな水出しを楽しんでいただいています。
ひと手間かける、Kurasuの水出しコーヒー
一般的な水出しは「水に漬けるだけ」。しかしKurasuのレシピでは水に漬けるその前に「お湯を少量だけ注いで30秒〜1分蒸らす」という小さな工程を加えています。
これには理由があります。コーヒーの明るい酸味は、温度の高いお湯ほど引き出されやすい成分。最初にお湯で蒸らしておくことで、急冷式のような爽やかで明るい酸味を確保しつつ、水出しならではのシロップ感と甘さも手に入れる、いわば「いいとこ取り」を狙っているのです。このひと手間をかけることで、水出しコーヒーの味わいがぐっと変わりますので、ぜひ試してみてください。
急冷式アイスコーヒーとは

「急冷式」は、お湯で抽出したコーヒーを氷で急速に冷やす方法です。サーバーにたっぷりの氷を入れておき、その上から通常よりも濃いめにハンドドリップで抽出し、氷が溶けるとちょうどよい濃度になる仕組みです。海外では "Japanese Iced Coffee" と呼ばれ、近年人気が高まっている淹れ方でもあります。
お湯で抽出することで、コーヒー豆本来の華やかな香りや、フルーティーな酸味がしっかりと立ち上がります。ペーパーフィルターが油分や微粉を漉し取るため、後味はクリーンで、キレのあるスッキリとした一杯に。暑い日にゴクゴク飲みたくなる、軽やかな味わいです。
急冷式の魅力は、「アイスコーヒーが飲みたい」と思ったその時に、すぐつくれること。ホット用のドリッパーがそのまま使えるので、特別な器具も要りません。また、シングルオリジンの個性をダイレクトに味わいたいときにもぴったりの方法です。
なぜこんなに味わいが違うの? 同じ豆で淹れ比べてみました
抽出方法でアイスコーヒーの味わいが変わる、ということについて、理屈だけではピンと来ないかもしれません。そこで、Kurasuの夏のブレンド「夏暁」を使い、水出しと急冷式で実際に淹れ比べてみました。その様子はこちらの動画でご覧いただけます。
水出しコーヒーと急冷式アイスコーヒー、味わいの違い
グラスに並べてみると、まず色からして違います。急冷式は澄んでクリア。水出しはコーヒーオイルが浮かび、見ただけでクリーミーな質感が伝わってきます。
同じ夏暁でも、味わいの表情はまったく別物でした。
- 水出し:グレープのような豊かな甘みが印象的に感じられ、とろりと奥行きのある一杯に。
- 急冷式:シトラスを思わせる明るいフレーバーが際立ち、ジューシーで爽やかな一杯に。
違いを生む2つのポイント
この差はどこから来るのか。大きく2つの理由があります。
理由の1つは水温です。コーヒーの明るい酸味は温度の高いお湯ほど引き出されやすいため、お湯で淹れる急冷式は華やかな酸が立ち、クリアな味わいに。対照的に、低温でじっくり抽出する水出しは酸がおだやかで、甘さやまろやかさが前面に出ます。
もう1つは、ペーパーフィルターを使うかどうか。コーヒーのとろみやコクは、水に溶けきらない油分や微粉が液体に残ることで生まれます。急冷式はペーパーフィルターが油分や微粉を漉し取るため、後味はクリーンで軽やか。一方の水出しは、ペーパーを通さないぶん油分や微粉が残りやすく、シロップのようなとろみとクリーミーな口当たりになります。
ひと目でわかる比較表
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水出しアイスコーヒー |
急冷式アイスコーヒー |
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抽出方法 |
水に浸して置いておく |
お湯で濃いめにドリップし、氷で急冷 |
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抽出方式 |
ペーパーを使わず、油分や微粉を残す |
ペーパーで油分や微粉を漉す |
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味わいの傾向 |
深く丸い甘さがあり、まろやか |
華やかでクリア、キレがある |
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香り・酸味 |
穏やかで落ち着いた印象 |
明るくフルーティーな酸が立つ |
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質感 |
シロップのようにとろりとした質感 |
軽やかでクリーンな質感 |
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必要な道具 |
ボトル(専用フィルター付きが便利) |
ホット用ドリッパー+氷 |
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作り置き |
まとめて作って翌日飲める |
淹れたてを楽しむ |
あなたに合うのはどっち?
どちらにもそれぞれの良さがあります。暮らしのリズムや、その日の気分で選んでみてください。
水出しコーヒーがおすすめなのは、こんな方
朝起きてすぐにアイスコーヒーを飲みたい方。いつも安定した味を楽しみたい方。前の晩に仕込んでおく、まとめてつくってボトルで持ち歩く、といった毎日の習慣に取り入れたい方にもおすすめ。氷が溶けても甘さが残るので、読書や映画のお供に、時間をかけてゆっくり味わうのにも向いています。
急冷式アイスコーヒーがおすすめなのは、こんな方
コーヒー豆本来の華やかな香りや個性を、クリアに味わいたい方。「飲みたい」と思った時にすぐつくりたい方。いろいろなドリッパーや浅煎りの豆を試して、淹れるプロセスそのものを楽しみたい方にもおすすめ。暑い日の屋外やテラス席で爽やかに一杯、そんなシーンにもぴったりです。
おうちで淹れてみよう!Kurasuのアイスコーヒーレシピ

水出しと急冷式、それぞれの詳しい淹れ方は、レシピ記事の中で写真つきでご紹介しています。分量や挽き目、抽出のポイントなど、各レシピ記事でぜひチェックしてみてください。
水出しコーヒーをつくる
急冷式アイスコーヒーをつくる
水出しコーヒーは、水出しコーヒーバッグで作るとよりお手軽です。
お好みの豆で淹れ比べてみたい方は、水出し用のフィルターがセットされているHARIOのコールドブリューコーヒーボトルが便利。
コーヒー豆一覧からぜひ気になる豆を選んで、味わいの違いをお楽しみください。
おわりに
水出しと急冷式。どちらが正解ということはなく、引き出される魅力が違うだけ。同じ一杯の豆が、淹れ方によってこんなにも違う表情を見せてくれること、それ自体がコーヒーのおもしろさだと私たちは思います。
使う豆の焙煎度、その日の気分、暮らしのリズムに合わせて、ぜひ2つの方法を使い分けてみてください。今年の夏が、いつもよりすこし豊かなコーヒー時間になりますように。




