皆さまこんにちは、Naruoです。
FELLOWブログの翻訳シリーズ、第17弾。
彼らが随時更新している興味深いブログをもっとみなさまに知って欲しくて、翻訳しています。
今回はもうすぐ予約販売を開始するOde Grinder Gen2について。
テーマ
「Fellow’s Uncertain Path To Our New Gen 2 Brew Burrs」
直訳すると、「フェローがたどりついた「Gen2刃」への険しい道のり」。
初期モデルでは、既製品の刃(OEM)を使用していましたが、今回のGen2からはFellowのチームが自らデザインしたGen2 刃を搭載しています。
数年の間に多くの研鑽をして生まれたGen2刃、発売までの道のりを詳しくみていきましょう!
ブログを書いているのは、Fellow CEOであるJake Miller。
彼の視点から書かれている数少ない記事です。
オリジナルデザインの刃が生まれるまでの苦難がよくみてとれます。
原文はこちら
Ode Brew Grinder Gen2の商品についてはこちら
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2022年9月15日
By Jake Miller
私たちの新しいGen 2 刃に飛び込む前に、私たちがOde Brew Grinderのデザインをキックオフした2018年にさっと戻ってみましょう。
2018年、Ode Brew Grinderの初期モデルを販売
Odeの設計に着手したとき、私たちは並行してオリジナル刃の設計に着手したわけではありません。
私たちは、自分たちが最も得意とするハードウェアの設計に集中し、Odeが完成した後は、たくさんのOEM(他社ブランドによる製造)の刃をテストして、私たちのグラインダーで最高のパフォーマンスを発揮する刃を探しました。
グラインダーを取り扱う多くのブランドでは、このようにハードウェアのデザインを自社で行い、刃はOEM品を使います。
優れたデザインのグラインダーを作り、刃の開発は刃を専門に扱うパートナーに任せる。2018年に持っていたFellowの小さなチームでは、グラインダーと刃の両方を設計できないことを知っていましたし、当時はそれが正しい判断だったと信じています。
大人気の初期モデルに寄せられるフィードバック
さて、時は2020年まで進みます。何千台ものOde Brew Grinderが世に送り出され、世界中のお客様から貴重なご意見をいただいていました。
Fellowの社内では、生産中の製品であっても、すべてが改良可能なプロトタイプであるかのように扱い、改善に向けて運営されています。
Odeのように、星4.6という高い評価を得ている製品でさえもです。
お客様からのフィードバックに耳を傾けると、最も大きな改善点のひとつは、より細かく挽けるようにすることでした。
Odeはエスプレッソ用ではありませんが、お客様からは、抽出方法によってはもっと細かく(200~300ミクロンの範囲)挽きたいという要望がありました。
また社内にはOdeと刃をもっと使いこなしたいという思いもありましたが、さてどうすればいいのか分かりませんでした。
OEMをもっと試すべきか?(すでにたくさん試しています!)
それともオリジナル刃の設計という途方もない仕事に挑むべきか、、。
オリジナルデザイン刃の開発を決断
そこに、研究開発責任者でありQ-Graderの資格を持つニック・テルツーリが登場します。
私たちのサプライチェーンを通じて入手できるすべてのOEM刃のデザインを繰り返しテストした後、ニックはオリジナル刃のデザインに挑戦したいと強く思いました。
(YoutubeでOdeを紹介するニックさん)
彼の考えでは、OEMデザインの刃は、エスプレッソに特化したものばかりで、カップにドライなテイストや渋みをもたらすか、でなければ私たちの現在のデザインと同等のグラインドレンジを生み出すものしかありませんでした。
それは私たちの顧客が望むものには程遠かったのです。
正直なところ、私は躊躇していました。
グラインダー刃の設計は見た目以上に難しく、ブレークスルーを生み出すのに3~5年の研究開発期間を要することもあると、業界の人たちに聞いていたからです。
しかし、Fellowにおける長年の経験で、私は誰かの情熱に従うことが良い経験則であることを知っています。
-情熱を見つけて、それを解放するのです。
ニックは熱望していましたし、私はただ「Go (やりましょう)」と言うだけでよかったのです。
オリジナル刃誕生への道のり
Goサインを出したあと、チームでいくつかのシンプルなゴールを設定しました。
- 200〜300ミクロンの領域でグラインドする能力
- 初代Ode Brewグラインダーとの互換性(お客様を見捨てることはできません)
- 粒度分布の大幅な量的改善
- ブラインドカッピングで判断される優れた質的な結果
さらに、私たちが目指したのは、甘く、バランスのとれた、複雑なカップが得られ、コーヒー豆本来のフレーバーを尊重するのに十分な透明感を持つ刃のデザインです。
私たちが求めたのは、深みのあるコーヒーを愛する人たちにアピールできる「People's burr (人々の刃)」。
浅煎り、深煎り、産地、処理方法など、さまざまなコーヒーに対応できる万能な刃。(これは、Fellowが販売している、カップの透明度を最優先するSSP刃とは少し違います。)
刃の違いによってカップの中で得られる結果が異なることは、コーヒーが持つ魅力の一つでもあると思います。
苦難の道
さて、いよいよ刃デザインの冒険の旅に出ますが、、果たしてそう呼べるかどうか、、。
最初は興奮気味だったのが、すぐにフラストレーションに変わりました。
ニックは、アートと科学を組み合わせ、さらにコーヒーに関する彼の経験から推測して刃を設計し、そのプロトタイプを製作しました。
1週間ほどするとプロトタイプが届き、それをOdeでテストをします。
デザイン→プロトタイプ→テスト、この繰り返しです。
これが楽しかった!少なくとも最初の3、4サイクルはそうでした。
新しいプロトタイプが届くたびに、ニックはラボに駆けつけ、ブラインドカッピングをセットしていました。
しかし、厳しい現実は、量的にも質的にも、この刃の出来が悪いということを突きつけます。
まるでダメなんです。
暗礁に乗り上げるプロジェクト
私たちの興奮は、すぐに不満と疑念に変わりました。
本当にこんなことができるのだろうか?こんなことで、時間を有効に使えるのだろうか?
刃を作るだけの会社があるのだから、そこに任せればいいじゃないか。
数カ月経っても進展はありませんでした。
残念ながら、その疑念は、デザイン#5、6、7、8...そして13、14、15と突き進んでいきました。デザイン#15くらいになると、私たちは震え上がりました。
ニックは眠れない夜を過ごし、土日も働いてこの暗号を解読しようとしました。
デザイン#15は、Ode Gen 1の純正刃と比べても、まったく良い出来ではありません。確かに初期のデザインよりは良くなっていましたが、にしてもここまでの改善に耐え難いほど時間がかかりました。
それでも進歩があったからこそ、ニックはこの「10番台」の設計を続けてこられたのだと思います。
ニックと私は、あきらめるか、挑戦し続けるか、難しい決断を迫られました。
どうする?すでに9カ月を費やし、研究開発費に7万5千ドル近くをつぎ込みました。
正直に言うと、もうやめて、自分たちの得意なことに専念し、刃のデザインは「専門家(OEM)」に任せようと思いました。
今思えば、ニックにこの意見を言わなかったことが幸いでした。
その代わり、"本当にできると思う?"と聞いたのを覚えています。
すると、ニックの情熱(そして頑固さ!)が現れて、"僕が壊れるかもしれないけど、やめないよ "と答えてくれました。情熱が勝ったのです。
私は進み続けることを指示し、ニックは突き進みました。
ブレイクスルー
デザイン#20くらいで、Ode Gen1や他の競合他社を上回る性能になりました。
希望が見えてきた!ニックは、どの設計変数を変更すればいいかを考えながら、ステップアップしていきました。
そして、2つの設計を経て、最終設計である「デザイン#22」が完成した...そう思っていました。
過去のデザイン同様、信頼できる人たちにプロトタイプを送り、フィードバックをもらうことにしました。
その結果、「Yeah, it's good (うん、いいね)」 と言ってもらえました。それはそれで嬉しいのですが、「good」は「great」ではないのです。
私たちは、「good」という反応を得るために12カ月もの歳月をかけたわけではありません。
このフィードバックとテスターの励ましを受け、私たちはもう1回デザインラウンドを進めることを選択しました。
ついに完成!オリジナルのGen2刃
デザイン#23。発注から2週間後、それはいつものFedExの配達員を通じて届きました。
ニックはいつものようにラボでテストを行い、ブラインドカッピングを行い、業界のプロにサンプルを送りました。
定量的なフィードバックと定性的なフィードバックの両方において、私たちは特別なものを手に入れたと確信しました。
圧倒的にポジティブなフィードバックは、私たちに自信を与え、大きな安堵のため息をつかせてくれました。
デザインが決まりました。
1年前に決めた製品の要件を満たし、チームはデザイン#23を量産体制へ移行させました。
この12ヶ月の努力のROI(投資収益率)は、既製品のOEM刃購入した場合と比較して、果たしてどうなのでしょうか?
私たちが投資した時間とコストを正当化するかのように、より多くの人がOdeを購入するのでしょうか?
それはわかりません。
しかし、私が確信しているのは、私たちの製品を購入するために、苦労して稼いだお金を使ってくれている顧客に対して誠意を尽くし、彼らが気に入ってくれると信じているオリジナルデザインの刃を提供したということです。
そして、私たちが会社として、このような姿勢で取り組んでいけば、長い目で見れば経済的なメリットも出てくると、心から信じています。
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いかがでしたでしょうか。
代表のJake Millerによる、Ode Gen2の刃誕生秘話。Fellowはサンフランシスコのシリコンバレーにある、最先端な会社。投資家から資金調達も行うベンチャー気質な会社です。
その歴史は華々しいものですが、このOde Gen2が生まれる過程は、決して順調なものではなく、苦難の多い道のりだったことがわかります。
製品開発って、本当に難しいですよね。(やったことないけど)
特にある程度成熟しているコーヒーの市場にあってはなおさら。そんな環境の中で生まれたこの製品がどんなに良いか、わかっていただけたらとにかく嬉しいです。
Naruo
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