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辻本珈琲(大阪) : 2020年3月#クラスパートナーロースター

今回ご紹介する#クラスパートナーロースターは、辻本珈琲、又の名を「株式会社すてきなじかん」。五代目として日本茶屋に生まれた辻本さんがコーヒー事業を立ち上げたきっかけとは。

そしてコーヒーがもたらす「すてきなじかん」の思いとは。インタビューを通して伺った辻本さんの想いを紐解いていく。

老舗の日本茶業からコーヒーの世界へ

幼少の頃から、5代目として家業を継ぎたいと思っていたという辻本さん。しかし大人になった頃には、日本茶産業を取り巻く環境や、世の中の流通の仕組みがすっかり変わっている事に気が付いたのだという。そんな時に縁があり始めたコーヒードリップバッグの製造・販売業だったが、東日本大震災をきっかけに、コーヒーは辻本さんにとって大きな意味を持つものになる。

「お陰様で全国にお客様がいらしたのですが、震災の後、東北のお客様方としばらく連絡がつかなくなったんです。数ヶ月後にご連絡をいただいて、『連絡ができていなくてすみません、大切なものをたくさん失ったけれど、コーヒーがあったことでなんとか支えられていました』と。その時に、コーヒーってこんな風に、支えや気持ちの切り替えになるものなんだと気づいたのをきっかけに、惹かれていきました。それ以降、コーヒーの風味や品質自体にもどんどん興味が湧いて、SCAJに参加したりして。スペシャルティコーヒーにもそうして出会いました」そう辻本さんは振り返る。

 

 

辻本珈琲の焙煎


ドリップバッグの製造歴ははや16年という辻本さんが自家焙煎を始めたのは、今から3、4年前の事。それまでは仕入れたコーヒーを加工していたが、出荷量が増え、次のステージを見据えた時に、原材料ともっと近い所で品質管理にも携わりたいと考え、焙煎を開始した。

はじめに使っていたのは直火式焙煎機で、ガス圧は低め、ダンパーはしっかり閉め、4㎏窯に対して3㎏のコーヒーを入れて、30分弱の時間をかけてしっかり火を入れる焙煎をしていた。しかしその内に浅煎りのコーヒーのフローラルなアロマや爽やかな酸味にも興味を持ち、様々なセミナーに参加し新しい焙煎方法を模索したという。

昨年、ローリングスマートロースターも加え、焙煎方法もより素材の良さを失わないように取り組んでいる。

「数年前に受けたデンマークでローリングを使用するMichaelさんのセミナーでは、トータルタイムが味に大きく影響すると教わりました。カッピングで検証したら本当にフレーバーが全然違ったんです。窯から出す温度帯が同じでも時間が違えば味が違う。それ以降は自分でも試行錯誤を重ねています。例えば、直下式焙煎機4kgでしたら特性上ダンパーを開けすぎると火力が負けるので、はじめはダンパーを閉め気味でしっかりドラム内にエネルギーを伝え、メイラードに入るときから少しずつ火力を落としていき、さらにダンパーも開けて対流を加える、といった微調整をしながら焙煎をしています。ハゼのところから特にロースティにならないよう注意しています。今は浅煎りだと10分くらいを目安に焙煎しています。」と辻本さん。

 

 

“すてきなじかん” 


辻本珈琲といえば、カフェのメニューにはずらりと魅力的な選択肢が並び、オンラインショップではスペシャルティーのシングルオリジンや、ブレンド、デカフェや、色々なパンに合わせて楽しめる「ぱんじかん」など、幅広い商品展開が印象的だ。「ここまで多くなったのは成り行き」と笑う辻本さんだが、新しいコーヒーに出会うたびに、こんなものがあるのか!と新鮮な驚きを感じ、その面白さをお客様やスタッフと共有したくなるのだという。

「コーヒーってスイッチのようなもの。気持ちを切り替える役割があって、一旦自分をリセットしてくれるような存在だと思っています。『雨あがりのじかん』というドリップコーヒーがあるのですが、それもそんなコーヒーへの思いを表現したものです。ある時偶然立ち寄ったお店で、店員さんが常連さんらしき方をお見送りする所に居合わせたことがあったんですが、店員さんが扉を開けながら『あ、雨やみましたね』とお声がけをしていて。その時にぱっ、と切り替わった雰囲気が、コーヒーを飲む前と飲んだ後の気持ちに似てるな、と思ったんです。そんな瞬間から、僕らのコーヒーがうまれることもあります」そう辻本さんは話す。「モノとしてのコーヒーではなくコーヒーを通して始まる“すてきなじかん”」を届けたいというモットーが息づいているのが感じられるエピソードだ。

 

 

通信販売だからこそできること 


2005年に楽天市場を通しても通信販売をスタートさせた辻本珈琲。元々はカフェのオープンに備える段階として、より多くの人々へ自分たちの商品を知ってもらいたい、楽しんで飲んでもらえたら、と始めた通信販売だったが、始めてみると意外な発見があった。

「関西の店舗だけでは決して出会うことのなかった、青森、東京、九州のお客様にも通信販売を通して見つけていただけて。対面の方が実際にお目にかかれて良いような気がしますが、お届けするまでのご案内を含めたやり取り、お届けした後のフォローやお客様からのフィードバックなど、通信販売なら何度もコミュニケーションをとる機会があるんです。それに気づいてからはより一層、今あるプラットフォームでできる事をしっかりとやっていくことを心がけています」と話す辻本さん。届いた時の感動を体験してもらえるよう、梱包チームにも「お客様の顔は見えないけれど、いつも目の前のお客様のために包んでいるような気持ちで。大事な友達に送るような気持ちで梱包すれば、絶対に伝わるものがある」と日々話しているという。

 


 

これからの辻本珈琲 


しばらくは通信販売をメインに提供できるサービスをより充実させていきたいと考えている辻本さん。飲食店など、コーヒーがメインでない場でももっと美味しいコーヒーが飲めるような環境づくりに貢献したいとも考えている。「旅行も好きでよく行くんですが、色々な場所の宿や観光施設などとも協力して、旅先で過ごす時間に寄り添うコーヒーもお届けできれば、そう思っています」と辻本さんは微笑んだ。


人々の生活スタイルやコミュニケーションがより多様になるにつれ、これまでとは違った様々なニーズも生まれている。その中で核となる価値観や、人と人とのやり取りであるという基本はそのままに、しなやかな成長を遂げてきた辻本珈琲は、コーヒーに限らず、私たちのこれからの道のりの、豊かな可能性を示してくれている。

 

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