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Kurasu Journal

Kurasu バリスタのお気に入り:Yumeka/ Hario V60 ドリッパー

Kurasuでは様々な商品を取り揃えており、カフェでも実際に使用しているものがほとんど。カフェを訪れるお客様にも、日々たくさんのお問い合わせをいただきます。 バリスタ達も日々実際に器具を使用する中で、それぞれ個人的にお気に入りがある様子。そこで私たちは彼らにインタビューをして、おすすめのコーヒー器具と、それにまつわる思い出を教えてもらいました! 第一回目はYumeka。 Kurasuオープン当初から輝く笑顔でお客様だけでなくスタッフの皆の心を癒すKurasuのアイドル、Yumekaのお気に入りは、ハリオV60 ドリッパー。その表現力の幅広さとユニークな形状で、スペシャルティコーヒーにはいまや欠かすことのできない、アイコニックな存在です。 ハリオV60 ドリッパー 01 セラミックホワイト ハリオV60 ドリッパー 02 セラミックレッド   Q1. あなたにとってハリオV60が特別な理由はなんですか? オーストラリアで働いていたころ、はじめてバリスタとしてお客様にハンドドリップコーヒーを提供した時に使っていたのが、HarioのV60でした。他の多くのカフェにおいてもV60が使われており、「日本の製品が海外でこんなに愛されているんだ」ということを目の当たりにしてすごく誇らしい気持ちになったのをよく覚えています。Kurasuで働き始めてから、Kalita waveやKonoなどの様々なドリッパーを使う機会があり、それぞれのドリッパーの素晴らしい特徴を知ることができました。その中で感じたことは、V60が出せる味の幅の広さです。Kurasuでは深煎りから浅煎りまで様々なコーヒーを提供していますが、基本的にそのすべてをV60を使って淹れています。どんなコーヒーもおいしく淹れることができ、自分の好きな味を出すことができる、私のお気に入りのドリッパーです!もちろん自宅でも愛用しています。 Q2. V60ならではの機能と言えば? V60の特徴は、まずは底部分の大きめの一つ穴です。お湯を一気に注ぎすぎてしまうと、他のドリッパーに比べてお湯が速く落ちてしまい、尖った酸味やえぐみのあるコーヒー(未抽出)になってしまうことがありますが、それにさえ気を付ければ、お湯を注ぐ速度を調整することで簡単にコーヒーの味を調整することが出来ます。少し速めのスピードでリズムよく注げば、すっきりと軽い口当たりのコーヒーになりますし、細い注ぎでゆっくりゆっくり抽出すれば、コクがでてまるみのあるコーヒーに仕上がります。また、ドリッパーの内側にらせん状の溝がつくられているので、そこが空気の通り道になり、コーヒーの粉が十分に膨らんで、しっかりとコーヒーのもつ味を引き出すことが出来ます。深煎りのコーヒーも美味しく淹れることができるのは言うまでもありませんが、これらの特徴によって、他のドリッパーと比べるとお湯が速めに落ちるので、浅煎りのコーヒーのすっきりとした風味を楽しみたい時には、特にオススメです! Q3. お客様からはどんなご質問をいただきますか? 最もよくいただくのは、やはり他のドリッパーと比べて何がどう違うのか、という質問です。例えばKalita waveと比較すると、まずは穴の大きさが全然違います。V60は大きな一つ穴なのに対し、Kalita waveは小さな三つ穴なので、お湯が落ちる速さが違ってきます。全体的にすっきりとしたコーヒーを楽しみたい方にはV60を、まったりとコクのあるコーヒーを楽しみたい方にはKalita waveをおすすめしています。また、Konoとv60は非常によく似た形をしていますが、溝の形状が異なり、Konoのほうがより強くコーヒーの味を感じることができます。そのぶん、酸味のバランスなどの調整は必要になります。他にもたくさんのドリッパーをご用意しているので、詳しくはぜひお店までいらしてください!   Q4. ハリオV60が気になっている、という方に一言! V60は、幅広い種類のコーヒーを美味しく淹れることができ、初心者の方も、コーヒーに詳しい方も、淹れ方によって味を調整しながら長く使えるドリッパーです。また、カラーに加えてプラスチックやガラス、陶器、銅など、素材のバリエーションも豊富なので、ぜひあなたのお気に入りのV60を見つけてみてください! 商品を見る  

第二回 Kurasu ブリュワーズトーナメント イベントレポート

kurasu主催 第二回ブリュワーズトーナメント。 会場は 旧小学校内の元職員室(TRAVELING COFFEE)。小学校の時に使った背の低い椅子に座り、ビールとコーヒーを片手に、ストーブを囲い暖を取りながらコーヒー好きな人たちが、コーヒーのイベントを通して繋がっていく。 出場者は18名。1グループ3名ずつの対戦の、勝ち抜き戦のトーナメント。ルールは至ってシンプル。当日発表されたコーヒー豆を、一番美味しく淹れた者が優勝。 各自持参した抽出器具を使い、3名のジャッジにより勝者が選ばれる。   旧小学校の黒板にチョークで書かれたトーナメント表に 勝ち残った方の名前が色付けされていく。   今回のコーヒー豆は kurasu焙煎の中浅煎りのケニア。フレーバーノートは レーズン、オレンジ、ブラウンシュガー。前回大会で使用した浅煎りのコスタリカは かなりエアロプレス抽出に有利な印象であったこともあり、今回は kalita, hario v60,konoなど異なる抽出器具により、違ったフレーバーに幅が出るように、このケニアを選んだ。 Kalita waveを使用して、ほど良いボディ感を出すか、Hario v60を使用してバランスの良さを強調するのか—ここに参加者の力量が問われる。   練習中の出場者を見ると、Kalita waveとエアロプレスの両方持参された方。kruveを使用し、微粉量を調整されている方などさまざま。全体的には、短時間で抽出できる観点からエアロプレスを使用する出場者が多く、またAmerican press, Hario v60やKonoを使用する参加者も見られた。   今回のジャッジは3名。 TRUNK COFFEEの鈴木康夫氏、前回大会覇者である小川珈琲の良原皓介氏、そして今回の大会で豆のスポンサーをつとめてくださった株式会社DCS/ CAFE IMPORTSの辻本貴弘氏だ。 抽出器具、温度、濃度の違いもあり、今回はかなりジャッジが分かれる結果に。何を強調するのかが やはり重要になってくる。ケニアらしいシトラス感なのか、レーズンのような甘く複雑な味わいなのか。   優勝された笹田さん(light up coffee)の決勝戦のカップは、程よいコク、フレーバーノートにあるフレーバーを全て出し切った上で、ご本人のエアロプレス抽出の技術により、素晴らしいバランスの良さがある一杯。優勝おめでとうございます! 全体を通して非常にレベルの高い戦いであり、前回に引き続き新たな発見がたくさんあった第二回 Kurasu ブリュワーズトーナメント。 プロ・アマチュアの割合が半々となった大会だったものの、ホームブリューワーの方がkruveを使って微粉を取っている様子が見られるなど、スペシャルティーコーヒーが確実に広まっているのだと実感する機会となった。 ****** Kurasuでは、さまざまなイベントを企画しています。 FacebookでKurasuをフォローして、最新のイベント情報をお見逃しなく!

AND COFFEE ROASTERS (熊本): 2018年2月 #クラスパートナーロースター

今月ご紹介する #kurasucoffee サブスクリプション提携ロースターは、熊本県のAND COFFEE ROASTERS。代表の山根さんに、お話を伺った。   山根さんがコーヒーと出会ったのは、ニューヨーク。19歳のころ、短期留学中だった山根さんはルームメイトを通してカフェやコーヒーの文化に魅了されたという。帰国後、カフェやロースターで働きたいと思い探すものの、自分がニューヨークで恋に落ちたコーヒーほど、心動かすものには出会えなかった。 そこで山根さんはレストランの調理場で働きながら、独学でコーヒーの知識を身に着けることに。市場調査のため、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューヨーク、シアトル、メルボルン、そしてシドニーを巡ってはサードウェーブ系のカフェを訪れ、自らの好みの味、自分の手で生み出したいと思うフレーバーを探っていった。     山根さんは東京出身。東京のコーヒー業界には、すでに先輩や後輩、友人などがあふれていた。そんな環境の中、自ら東京に出店し、競い合う立場になるよりも、どこか新しい場所でコーヒー文化を花開かせることに魅力を感じたという。 2011年、奥様の出身地である熊本に移住。規模が小さく、路面電車が走り、人がみな暖かい町。どこかメルボルンの住み心地の良さが思い出されるその場所に、山根さんは出店を決めた。当時熊本にはまだスペシャルティコーヒー専門店は存在せず、そもそも豆販売やテイクアウトも含めコーヒー消費量が全国でもワーストに入る熊本でコーヒー文化の影は薄かった。 「熊本の人のライフスタイルって、東京と全然違う。急いでる人がいないんです」と話す山根さん。朝、カフェに慌ただしく立ち寄ってはコーヒーを片手に急いで出勤する人、カフェでの仕事の打ち合わせなど、東京で当たり前のように目にする、ペースの速い生活。熊本では、時間はもう少しゆったりと流れ、打ち合わせのために外に出るといった事もあまりないのだという。 しかし2013年のオープン以来、スペシャルティコーヒーは熊本の人々にも少しずつ愛され始めている。浅煎りを楽しんでくれる人、それまではコーヒーが飲めなかったが浅煎りを気に入ってコーヒーに夢中になった人など、人々にそれぞれのスペシャルティコーヒーとの出会いのきっかけを提供できている事を嬉しく感じている。   2016年にはアンドコーヒーブリュワーズ/AND COFFEE BREWERSという、抽出にフォーカスした店舗もオープン。様々な抽出方法や器具、豆の種類やレシピによって生まれる味わいの違いを積極的に紹介・提案するというコンセプトだ。 今後は3月末に東京・日比谷に出店、福岡への出店も検討するなど勢いを見せるAND COFFEE ROASTERS。店舗展開だけでなく、人材育成にも意欲を見せている。「今のスタッフの半分以上が県外から集まってくれました。熊本でももっとバリスタの職業としての地位、価値を上げて、コーヒーをやりたいという人口を増やしたいです」と話す山根さんの願いは、熊本で確かに息づき始めたコーヒー文化の灯を絶やさず、育てていくことだ。   最近、Kurasuのスタッフの間でもポジティブな話題となっていたのが、AND COFFEE ROASTERSのフレーバーが変化したことだ。聞けば焙煎機を変えたのだという。以前はフジローヤルの3㎏を使用しており、窯が比較的薄く熱の上昇・下降のスピードが速い特徴を生かし、浅煎りのギリギリのところを狙い素早く焙煎することで、甘さよりもフレーバーや生き生きとした明るい酸を表現していた。 しかしその後、焙煎機を窯が厚く蓄熱に優れているプロバットに変えたことで、じっくりと中まで火を通し、時間をかけて甘さを引き出す焙煎へと変化したのだという。   生豆を購入するのは4社から。東京に出向き、産地別にカッピングを行いその都度仕入れるものを決めるのだという。クリーンカップ、酸の明るさ、そして産地の個性。焙煎のフォーカスの変化を経て、AND COFFEE ROASTERSならではのフレーバーはより一層輝いている。   最後に、「山根さんにとっての美味しいコーヒーとは?」と問いかけると、少し意外な答えが返ってきた。「気づいたら飲み終わっているのが一番」なのだという。 美味しいコーヒーを探す作業であるカッピングでは、当然ながら味わいの細部に至るまでを感じ取り、酸や甘さを吟味する。時には鳥肌が立つほど感動することもあるという。しかし山根さんにとって、コーヒーは同時に、「あくまでも日常的な飲み物」。   「コーヒーって、総称ですよね。音楽、みたいに。その中に、ジャズ、ロックと種類がある。コーヒーも同じで、色々なフレーバー、例えばフルーツに例えられるような色とりどりのフレーバーが、お客さんの頭の中に浮かぶような、その人の『コーヒー』の種類を増やしたい、そう思っています」と山根さんは言う。 「まあ、あんまり気にしないで飲んでほしいんですけどね」と、やや照れ隠しのようにも聞こえる言葉で締めくくった山根さん。その姿からは、既存のものにとらわれず自分の求める味を追求し続けてきたコーヒーへの愛情と、その深さゆえに、スペシャルティコーヒーをただ一過性のものや特別な存在にするのではなく、人々の日常をもっと豊かに暖めるような存在であってほしいと願う、そんな想いを感じた。  

Kurasu バリスタのお気に入り:Tatsuru/ MUNIEQ テトラドリッパー

Kurasuでは様々な商品を取り揃えており、カフェでも実際に使用しているものがほとんど。カフェを訪れるお客様にも、日々たくさんのお問い合わせをいただきます。 バリスタ達も日々実際に器具を使用する中で、それぞれ個人的にお気に入りがある様子。そこで私たちは彼らにインタビューをして、おすすめのコーヒー器具と、それにまつわる思い出を教えてもらいました! 第一回目はTatsuru。 様々な抽出テクニックを使いこなすKurasuのムードメーカー、Tatsuruのお気に入りは、MUNIEQのテトラドリッパー。ステンレス製とポリプロピレン製の2種類から選べる、折りたたみ式ドリッパーです。 Q1. あなたにとってMUNIEQが特別な理由はなんですか? 初めての登山に挑戦した時、雪山の頂上でMUNIEQでコーヒーを作りました。あたりは一面の銀世界、そんな中で飲むコーヒーは格別でした。ずっと登ってきた達成感に包まれながら、とても幸せなひと時を過ごしました。それ以来、MUNIEQは僕の中ですごく特別です。 Q2. MUNIEQならではの機能と言えば? 何と言っても持ち運びの簡単さでしょう!折りたためば財布にだって入ってしまいます。デザインも場所を選ばないので、アウトドアでなくてもどこでも使っていただけます。自分用にもプレゼントにもなる、僕のおすすめドリッパーです! Q3. お客様からはどんなご質問をいただきますか? Q.見た目が紙みたいなのがあるけど本当に大丈夫?A.ポリプロピレンという素材でできていて、耐熱温度も120度なんで心配ありません! Q.フィルターはどれを使うの?A.ハリオv60と同じ円錐型のフィルターです。 Q.持ってる?使ってる?美味しい?A.持ってます。使ってます。美味しいです。 Q4. MUNIEQが気になっている、という方に一言! コーヒーは自由!あなたの足の向くところ、MUNIEQとともに連れ出してあげてください! 商品を見る

TRUNK COFFEE (名古屋): 2018年1月 #クラスパートナーロースター

次にご紹介する#kurasucoffee提携ロースターは、名古屋のTRUNK COFFEE 。Kurasuが始まった頃からお付き合いいただき、私達が長く尊敬するロースターだ。オーナーの鈴木さんに、改めてお話を伺った。 サラリーマン時代、そして旅への予感 旅行代理店であるHISで社会人生活をスタートさせた鈴木さん。現在共に経営を担い、ロースターとして活躍する田中さんは実は職場の後輩にあたる。もちろん当時は将来ともにコーヒーに携わるパートナーとなるとは予想だにしていなかった。 3年間勤めた後、鈴木さんは退職、かねてからの夢だったヨーロッパに移住を決める。英語圏の国として候補に挙がったのがイギリス、アイルランド、そしてマルタ。「知らないから面白そうだな」という理由でマルタを選んだ思い切りの良さには、バックパッカーをしていた学生時代に培ったフットワークの軽さから来るものだろう。 勝ち取りに行ったもの マルタで暮らす間、週末はLCCを使い色々な国を訪れた。道中訪れたカフェは様々だったが、多くのカフェに共通していたのが、独特の時間の流れ方を持ちながら、人々のライフスタイルの中にきちんと居場所のある空間だ。日本のそれまでの喫茶店の在り方とあまりに違うその姿、そして社会の中での価値の高さにあこがれを感じたとともに、そういった空間に身を置いて生活したいという気持ちが芽生えはじめた。 コーヒーやカフェ経営については全くの素人だった鈴木さん。カフェ文化を学びたい、そう思い、選んだ次の目的地は世界チャンピオンを一番多く輩出しているデンマーク。 そうして住み始めたコペンハーゲンで、鈴木さんは当初の目的であったカフェよりも、コーヒーそのものの魅力にどんどん引き込まれていくことになる。  しかしまず一番に苦労したのがやはり働き口だ。日本人がデンマークで働いている前例がとにもかくにもない。3か月頑張って仕事が見つからなければあきらめよう、そう決意し、鈴木さんはコペンハーゲン中のカフェを回った。「コーヒーが好き」というだけで、実務経験もなく、英語は話せてもデンマーク語は話せない。スキルも経験もない外国人に、チャンスを与えてくれる場所はなかった。季節は冬。春はまだ遠く、暗さと寒さを耐え忍びながら迎えた3か月目、5日間だけ無給で教えてあげてもいい、という店が見つかった。ごく近所の人しか訪れない、店の名前もないような場所。しかし鈴木さんにとってはまさに希望の糸口。5日間がむしゃらに食いついて、6日目。ここで鈴木さんの底力が顔を出す。なんと鈴木さんは、素知らぬ顔で出勤したというのだ。不思議と店の人々も何も言わない。それから3か月間、鈴木さんはつかんだチャンスを決して逃すまいと毎日店に出た。その間はもちろん無給だ。 空き時間にはコーヒーコレクティブやエステートコーヒーなど、幾多もの有名店に通い詰め、スタッフを質問攻めにし、貪欲に知識を吸収しては、店に戻って場数をこなし腕を磨いた。そうしていくうちに、気づけばしっかりと技術が身につき、店に欠かせない人材になっていた鈴木さん。ついに店員として正式に雇われる身となった。 帰国から独立まで 1年半のデンマーク生活では、さらに貴重な出会いもあった。友人のつてで、当時すでにFuglen Coffee Roastersでバリスタとして勤務していた小島さんを紹介してもらったのだ。1週間ほど、デンマークにカフェ巡りにやってくるという小島さんに寝場所を提供する代わりに、トレーニングをしてもらうという約束を取り付けた。それに合わせてグラインダーとエスプレッソマシンとを自宅に用意するという力の入れようだったという。 その後、フグレントウキョウのオープンが決まる。北欧でバリスタ経験を持つ日本人が小島さんと鈴木さんだけだったため、オープニングスタッフとして働かないかと声がかかったのだ。 東京に拠点を移し、フグレントウキョウの開店準備に着手した鈴木さん。壁を塗るところから手がけたという思い入れのある店舗では、ヘッドバリスタに加え個人的な趣味でもあったヴィンテージ家具のセレクション・管理も担当し、店長の小島さん、バー営業担当者との3人だけで営業をスタート。その後2年間フグレントウキョウを支え、独立に至る。 市場調査を経て決めたのは、地元・名古屋。名古屋には独特のカフェ文化が存在する。実は岐阜県に続き、喫茶店での消費活動が日本で二番目に盛んなのが愛知県なのだという。既存の、それも大規模なマーケットを動かすのは容易ではない。しかし、そこに挑戦のし甲斐を感じた。「オンリーワンならナンバーワン」が当時のモットーだった、そう鈴木さんは語る。 田中さんとのチームワーク 「自分は攻めしか知らないんです。でも田中君は散らかしたものをしっかり片付けてくれる、僕とは正反対の存在。そういう意味で信頼できるんです」と鈴木さんは言う。 店を持つにあたり、一つ決めていたのが、コーヒー業界の人とは組みたくない、ということだったという鈴木さん。その理由が、北欧と日本をそれぞれ観察して気が付いた日本のロースターのビジネスに対する態度の特異さだ。コーヒーはあくまでもビジネス、そのサービスのクオリティを高く保つのは当然、しかしそれはお金になってこそという北欧でのあり方に比べ、日本ではクオリティをまず重視するあまり、予算を度外視したり、お金は後からついてくるという考えで経営をしているところが多いと感じた。 そこで、職人気質な業界の風潮に左右されず、違う動きができるパートナーとして頭に浮かんだのが田中さんだったのだ。 その後オープンまでの半年間、二人で1か月ほどデンマークに滞在し、価値観の共有や目指す味わいのすり合わせを行った。デンマークでは世界チャンピオンが在籍するような有名店でも、聞けば非常にオープンに技術について話をしてくれる。実際に作業を経験させてもらうなど、非常に有意義な滞在となった。 その後友人が経営する店の釜を借りて1週間、ひたすら焼き続けてはプロファイルを固めた。フレーバーのイメージは北欧のスタイルがベースであり、そこから日本の水質に合わせて微調整を繰り返した。 少し離れていても人が来る、それをバロメーターとするべく、中心街からはあえて少し離れた場所に店を構えた。店舗では、最低でも週に三回ほど、多い時は毎日焙煎を行い、抽出されたコーヒーの姿にしかなじみがない人々に積極的に焙煎の現場を公開している。焙煎量は季節によって異なるが、夏季にはおよそ400-600㎏ほどを焙煎する。 開店当初はスペシャルティコーヒーを知っているという人がまだ少なく、とにかく酸っぱいのが嫌だ、という人も多かったという。農園や生産国の情報にもあまり興味を示さなかった人が多かった当時に比べ、自分の好きなものをちゃんと持っている人が増えた、日本市場は変わったと鈴木さんは語る。 現在は週二回のフリーカッピングや、東京の友人バリスタと互いにゲストバリスタとしてイベントを行うなど、とにかく人々に継続的にコーヒーに触れてもらう機会を絶やさないようにしている。 今年2店舗をオープンし、3店舗目は商業施設に入る予定だ。同じフロアにスターバックスとファミリーマートが並び、従来のチェーン店の中に選択肢としてスペシャルティコーヒーが挙がってきたことに、一歩進んだという手ごたえを感じたという。 先日韓国で開催されたWBCで地元名古屋よりも多くの人々に声をかけられたことに却って不甲斐なさを感じたという鈴木さんだが、車社会の名古屋において重要な地位を占める大型商業施設での健闘に期待が膨らむ。 TRUNK COFFEEが提案する新しい形 産業の垣根を越えてあっと驚くようなコラボレーションを行っている事でも知られるTRUNK COFFEE。地元サッカーチームの名古屋グランパスと協力し、スタジアムでグッズを販売したり、最近では地域名産である仏壇の青年会に声をかけ、なんと仏壇づくりの技術でエスプレッソマシンカバーを制作してみないかと提案したという。 さらに岐阜県の名産である美濃焼とのコラボレーションで生まれたORIGAMIシリーズは、カラフルな色合いとモダンなデザインが伝統工芸品の敷居の高さを感じさせないマグやドリッパーが印象的だ。この商品のヒットをきっかけに、生産工場にUCCのラッキーコーヒーマシーンやFBCインターナショナルといった有名企業から発注が入るようになったという。鈴木さんの枠にとらわれない発想が地域産業の発展を助けた一例だ。 誰とでも絡めるのが地方の魅力と話す鈴木さんは、高島屋、JRA、ボルボなどといった様々な産業の企業との提携に加え、日本で初めてブリュワーとロースターが協力して作り上げたコーヒービールを志賀高原ビールから発売。「TRUNKのロゴが日本中の酒屋に並ぶなんて、すごいことです」と目を輝かせる。 「せっかく名古屋にあるんだから、地域と絡んで動いていきたい。コーヒー業界の垣根を取り払って、一緒に立ってみて感じてみないと判断できないことがあるんです。ここにTRUNKがあったから変わったね、という何かをやっていきたい」と鈴木さんは言う。 世界中を巡った思い出や、珍しいお土産がぎゅっと詰まった旅行鞄を広げるように、そして、次に何が出てくるかワクワクさせてくれる手品鞄のように。TRUNK COFFEEはいつも、変わり続ける世界を私たちに見せてくれる。  

Beyond Coffee Roaster ゲストバリスタ + ワークショップ at Kurasu Kyoto

1月8日Kurasu Kyotoにて、神戸のBeyond Coffee Roasters代表である文さんをお呼びし、ゲストバリスタとワークショップを行っていただきました。 11月よりKurasu KyotoそしてSingapore店でも豆を取り扱わせていただいているBeyond Coffee Roastersの焙煎は、浅煎りから深入りまで様々でありながら、それぞれのコーヒーのポテンシャルが最大限に生かされている素晴らしいもので、国内外で大変好評を得ています。文さんのコーヒーに対しての探究心、知識の深さはいつもKurasuのインスピレーション。今回はお越しいただき本当に光栄でした。 ゲストバリスタでは Ethiopia Gesha Village の貴重な豆を含め4種類をHario V60で丁寧にドリップしていただき、3時間で30杯以上をお客様に振舞っていただきました。普段Beyond CoffeeをKurasuで飲まれているお客様もいらっしゃいましたが、実際焙煎している方の抽出方法や、コーヒーとそのフレーバーに対しての思いを直接聞けるチャンスとあり大変盛り上がりました。 ワークショップは微粉をテーマにした少しマニアックなもの。 Kruveという、挽いたコーヒー豆を目的の粒度に均一にするためのシフター(ふるい)を使い、微粉がある場合とない場合とでどういった味の違いが感じられるのかを検証。 また、浅煎りのコーヒー豆と深煎りのコーヒー豆とでもシフターの効果の違いをカッピングとハンドドリップを通して味わいました。 先月Kurasuが主催したBrewers Tournamentのジャッジとしての文さんの体験談も交えながら、ロースターとして、また抽出する側として、様々な角度から微粉を考える非常に興味深いディスカッションも生まれました。 普段、スペシャルティコーヒー専門店でもなかなか見かける機会の少ないKruveを使い、その微妙(絶妙?)な効果の違いを体感できた貴重なワークショップとなりました。 文さん、お忙しい中お越し下さり本当にありがとうございました! Facebook や Instagram でKurasuをフォローして、最新のイベント情報をゲットしましょう! Beyond Coffee Roaster のコーヒー豆をKurasuオンラインストアで購入する  

LiLo Coffee Roasters (大阪): 2017年12月 #クラスパートナーロースター

Kurasuが次にご紹介するロースターは、大阪・心斎橋のLiLo Coffee Roasters。   心斎橋といえば、エリアによって様々に印象が変わる場所、そして、常に変化を続けている場所として、活気ある大阪の中でも特に注目を集めている。 LiLo Coffee Roastersが位置するのは、そんな心斎橋エリアの中でも若者の街として知られているアメリカ村。70年代にアメリカ西海岸からの輸入雑貨や古着販売などをはじめとし、若者文化や新しいトレンドが生まれる場として、「アメ村」の愛称で多くの人々に愛されるエリアだ。 LiLo Coffee Roastersがオープンしたのは、3年前の8月8日。はじまりは、同じビルの3階に店を構えるオーナーの堀田さんが経営する美容室だった。 オープンまで、そしてそれから   元々コーヒー好きだった堀田さん。経営する美容室にバーカウンターを設け、接客時に自分で淹れたコーヒーを出すほどのこだわりぶりだった。しかし仕入れ元の焙煎がやや安定しないという悩みがあった。もっと美味しいコーヒーを出したい、できれば自家焙煎で&mdash堀田さんがそんな想いを抱いていた時、ビルの1階の店舗スペースに数度目の空きが出る。何か長くできる商売をやってくれないか、と、ビルのオーナーからテナント全員に話が持ち掛けられた。   オープンして10年、美容室の窓からいつも見守ってきたアメリカ村。堀田さんには、自分が商売を育ててきたこの場所に恩返しがしたい、アメリカ村をもっと元気にしたいという思いがあった。そこで思い浮かんだのが、高校の同級生である中村さん。現在LiLo Coffee Roastersで活躍する焙煎士だ。コーヒー好きの彼となら、きっとできる。そんな確信が心に生まれ、堀田さんはテナント募集に手を挙げた。   堀田さんがLiLo Coffee Roastersをオープンするにあたりこだわったのが、自家焙煎であることだ。1㎏の焙煎機を入れ、準備を進めた。 店を任されることになった中村さんは普段から手網で焙煎などもたしなみ、焙煎に対しての多少の心構えはあった。しかし実際に業務用の焙煎機を使ったり、商品として焙煎を行うのは初めて。開店の話が決まってからオープンまでは3か月と圧倒的に時間が足りない中オープンさせた店はまだ未完成だった。 人目に付く立地で、店の見せ方も目を引くものだったこともあり、人が多く集まった。 なんとか6種類の豆を揃えてはいたものの、様子を見に訪れたコーヒー業界の人にひどくけなされたこともあった。   てんやわんやの状況を一人で乗り切らなければいけなかった中村さんだが、前職までのサービス業などでの豊富な経験を活かし見事な踏ん張りを見せた。コツコツと営業を続け、だんだんと客もつくようになった。3年目の今、スタッフは3人に増え、来店者数はオープン時の3倍。散々けなしたあの人も、今ではすっかり常連だ。   LiLo Coffee Roastersの進化の過程をたどるには、彼らが毎年掲げてきたテーマを紐解いていくのがよいだろう。 1年目のテーマは、”Life is short. Surround yourself with good people and only drink good coffee.” 「ええ仲間と美味しいコーヒーがあれば、人生はきっと楽しいはず」。 中村さんらしく明るく前向きなテーマだが、前述の通り1年目は中村さん一人、休みもなく手探りで進む厳しい時が続いた。ビルの倉庫に生豆と共に寝泊まりし、半年やってダメならやめようと思っていたが、次第に焙煎量も増え、バリスタの仲間も一人加わった。   2年目のテーマは「人生瞬間」。一度きりの人生、やりたいと思ったことは思い切りやろうというテーマだ。この年には豆売りをさらに伸ばすべく、オンライン販売を始めた。   そして3年目のテーマは”Life is...

クリスマスプレゼントはこれ!Christmas Gift Ideas 2017

もうすぐクリスマス!大切な家族、友人などの事を思い浮かべながらプレゼントを選ぶのは楽しいけれど、なかなかいいものが見つからない、気が付いたら時間がない!と、ぎりぎりに買い物で駆け回る、そんな時も、ありますよね。 ご心配なく!Kurasuでは、豊富なラインナップからクリスマスプレゼントにぴったりの商品を見つけていただけます。 1.カリタ ウェーブ ドリッパー TSUBAMEコラボレーション ステンレス/コッパー   まずご紹介するのは、小さいながら輝く存在感で、オンラインストアでもKurasu Kyotoでも人気を誇るカリタウェーブ ドリッパー、TSUBAMEコラボレーション。 “Made in Tsubame” と銘打って発売されているこのシリーズは、江戸時代から職人の町としてその名を知られている新潟県燕市の燕商工会議所による一定の条件、審査を通った製品だけが厳選され、晴れてその名を名乗ることを許されています。 カリタのあまりにも有名な三つ穴による安定した抽出はそのままに、美しい手作業と、誇りある存在感をぜひお楽しみください。     2. PORLEX グラインダー トール/ミニ 一番素敵な贈り物は、いつだって一番小さな箱に入っているもの。このコンパクトサイズのグラインダーは、旅とコーヒーを愛する人にとって理想的な贈り物です。 コンパクトで、組み立てが簡単なのに、強度も十分で長持ち。セラミックの刃が、小さい体に似合わぬパワーで、いつでもどこでも、挽きたてのコーヒーを楽しませてくれます。 PORLEXコーヒーミルを選ぶ3つの理由: 1. 刃部分に、精度・強度共に安心のセラミックを使用。すり減り・サビなどの心配がありません。金属の刃を用いたグラインダーに起こりがちな、コーヒーへの金属臭などの匂いうつりもありません。 2. 挽き目の調節も簡単。ダイアルを回すだけで、抽出方法に合わせてちょうどいい挽き目をお選びいただけます。 3. 持ち運びも楽々。ハンドルを取り外せるコンパクトなデザインは、荷物をできるだけ小さくまとめたいアウトドアシーンでも大活躍。シリコンのハンドルホルダーは使用時に滑り止めとしても機能するすぐれもの。 ドイツ・サラマンダー社製のボンデッドレザーを使用した JAPAN PORLEX オフィシャルハンドルホルダー で、色合い・素材の変化も楽しめます。 Available in 2 sizes : Tall / Mini 3. Arita 1616 マグ/プレート Kurasu シンガポールで、サービング用のマグ・プレートとして大活躍しているArita 1616シリーズ。(Kurasu...

TAOCA COFFEE (兵庫) : 2017年11月 #クラスパートナーロースター

次にご紹介する#kurasucoffee サブスクリプション提携ロースターは、兵庫・TAOCA COFFEE。多くの人の愛される苦楽園店に続き、今年岡本に新店舗、タオカコーヒー OKAMOTO KOBE を構え、その着実な成長ぶりがうかがえるスペシャルティコーヒー専門店だ。店主の田岡さんに、お話を伺った。 岡本駅を出てすぐに現れるタオカコーヒー OKAMOTO KOBE。周辺の道には石畳が敷かれ、セレクトショップや有名パン・ケーキ店、オーガニックカフェなどが並ぶ。流行りものを追いかけるというよりも、日々の生活の質を高めていきたいと考える人が多く訪れる街だ。   宝塚歌劇団の創設者でもある小林一三氏により創立された鉄道会社、阪急電鉄は、その沿線に広がる瀟洒な街並みで知られている。特に阪急神戸線沿線はその特徴を強く持ち、中でも岡本は神戸を代表する人気エリアの一つだ。一号店がある苦楽園も、同じく高級住宅街として知られている。なぜその地を選んだのか、その理由にはスペシャルティコーヒーを広め、TAOCA COFFEEというブランドを築き上げるための、ビジネスマンとしての田岡さんの才覚が光っていた。   オープン当初、8種類からスタートしたラインナップは現在では常時10-12種類を揃え、接客時にはそれぞれの好みを聞き、最も選びやすい数とされている3-4種類の試飲を勧める。 スペシャルティコーヒーを広めたいから、選ぶ楽しみを皆に感じてほしいからたくさんの種類を揃えるようにしているのだ、と田岡さんは話す。 12種類の内訳は大きく分けて浅煎り、中煎り、深煎りとし、焙煎は毎日行っている。店の在庫と卸先のオーダーを確認しながら、2日に1回は全種類の焙煎ができるように調節している。焙煎を担当するのは主に田岡さん、そして「ニット帽の人」と親しみを込めて呼ばれる田阪さんの二人だ。   オープン当初、関西ではまだ広まっていなかったスペシャルティコーヒーや豆販売。苦楽園や岡本ならば、今までのコーヒーよりは高いが、金額よりも美味しいコーヒーを買ってみようという姿勢を持つ人々が集まってくれるのではないか、田岡さんはそう考えた。苦楽園店は開店から丸3年が経ち、はじめはよく聞かれていた、「スペシャルティコーヒーとはなにか」という質問も気づけば耳にすることがなくなった。豆の売り上げの92%も地元の顧客によるものだ。地域へ根付いていっていることを嬉しく感じるとともに、これからもいかに地元に愛される店にしていくか、常によいものを出し応えていくかには、絶対という正解はないと感じている。   コーヒーとの出会い   大学卒業後、2年間商社に勤めることになったものの、独立したいという想いは昔から強かったという田岡さん。学生時代にアルバイトをしていた焼肉店で商売の楽しさに目覚め、経験やつてを活かして焼肉店を経営しようと思っていたこともあった。 その後マーケティングを本格的に学びたいと思っていたころに、株式会社ドトールコーヒーの求人を目にする。コーヒーに特別興味があったというわけではないが、入社してすぐ、新業態を展開する部署に配属されたことが、田岡さんのその後の運命を大きく変えることになる。   緻密なマニュアルがすでに完成されているドトールや傘下のエクセルシオールとは違い、メニュー開発から、店長職での人材育成など、新規開拓事業では全てが一からの作成。試行錯誤しながら第一線で経験を積むことができたのだ。しかし、全国にチェーン展開しているドトールであっても、新業態が常にうまくいくとは限らない。立地など、緻密な計算に基づいてオープンしたはずの十数店舗の経営が振るわず、失敗に終わったのだ。大企業であっても、店を軌道に乗せるというのは簡単ではないのだ、そう実感したと田岡さんは言う。   その後2千人近い社員の中で日々業務をこなしながらも、このまま埋もれていってしまうのではないか、と悶々としながら過ごしていた田岡さんに、またも転機が訪れる。作業をしていた田岡さんの横に、バリスタチャンピオンシップ社内予選のFAXがするすると出てきたのだ。これだ!とひらめいた田岡さんはすぐに予選に申し込み、大会に出場することになる。それまでラテアートなど、バリスタとしての業務はこなしていたが、本格的に指導をしてもらえる環境にはなく、この大会出場がスペシャルティコーヒーとの出会いだった。 大会出場、焙煎士への転身   大会に出場したことで、社外の人々との交流や数多くの出会いを通して視野が広がった田岡さんは、次第にコーヒー業界での独立を夢見るようになる。成功すればするほど農園にも還元できる、社会貢献へのはっきりとした道のりがあるスペシャルティコーヒーに心惹かれたのだ。   しかしすでに自ら目の当たりにしたように、カフェの経営はリスクも大きい。様々な人に会い、アドバイスを受けた結果、人件費が少なく、家族経営もでき比較的低リスクな豆販売に可能性を見出した田岡さんは、東京転勤を経て、関西に位置するドトールコーヒーの焙煎工場で焙煎士として勤務を始める。一般の自家焙煎店では想像のできない規模の焙煎を経験し、カッピングを通し独立に向けて舌を鍛えていった。   焙煎士の仕事は、焙煎の欠点を見つけることだと田岡さんは説明する。スペシャルティコーヒーのカッピングがフレーバーなど豆の長所、プロファイルを見つける作業であるのに比べ、ドトールで行っていたのは品質管理を優先目的とした徹底的な粗さがしだ。例えば「苦い渋い」と感じた場合、それは焙煎のしすぎからなのか、逆に生焼けなのかなどを見極め、論理的にアプローチを導き出す。この経験が、規模も考え方も全く違う現在の焙煎にも活かされているという。   独立、焙煎の追求 チャンピオンシップ出場の経験から、求める味は理解していた。そこへ長所・短所を敏感に感じ分ける焙煎士としての経験が重なり、独立後すぐに味の方針が決まった。全国を周り、そこでも様々な出会いがあり、その中でプロバットの焼き方を指導してもらい、その後自分で数バッチ焙煎しただけで、これで行こう、と思えるものが焼きあがったのだという。 それからは生産性や焙煎時間、微調整などにより大きな焙煎の変化は5回。自分自身の知識のアップデートや、スタッフの大会出場のために豆と深く向き合った結果の発見など、田岡さん自身の変化も反映されている。   使用しているのはプロバットの5㎏。東京の雑貨屋のすみに置かれていた、新品同様の中古品との思わぬ出会いだったという。重視しているのは豆の甘さで、生豆の段階で甘さがあるものを選び、焙煎でさらに甘味を引き出す工夫をしている。豆により、またロースターにより個性が強くでるのが焙煎の醍醐味だが、誰もが飲んで、甘い、飲みやすいと感じる味わいを表現している。 「5㎏の焙煎機だと月間3トンまではいけるという計算なんですよね」と、ストイックなプランを語る田岡さん。大きな焙煎機で一気に焼くのでは、大量に焼かなければ美味しく焼けないこともあり、あくまでも5㎏でやっていく予定だ。「焙煎機は大は小を兼ねないんです」と田岡さんは教えてくれた。 将来に向けて   チョイスに溢れた都心よりも、地元のサポートを得ている有名なロースターの方が、スペシャルティコーヒーを日常に浸透させることに大きく貢献していると感じると田岡さんは言う。 TAOCA COFFEEも、スペシャルティコーヒーを一過性のものではなく、人々の生活に織り込まれたものにするために、日々工夫をしている。店頭のコーヒーは全て試飲できるようにすることで、ミスマッチを減らす。デザインや商品などは、斬新なもの、派手な演出ではなく、何でも「半歩先」をこころがけ、しかしスタッフの技術は2歩も3歩も先へ。地道に、しかし着実にスペシャルティ―コーヒーを広めているのだ。   雇いたい、と思った人に何人か出会ったことが、新店舗オープンのきっかけだった。「将来の展開ですか?今で精一杯、まだまだここを何とかしないと・・・。でも雇用が生まれたからいいかなと思ってます」と冗談めかす田岡さんだが、すでに3店舗目の構想も練っているという。業界の動きをとらえながら力強く舵を取る田岡さんの姿に、同じ関西でコーヒーに携わるものとして、改めて頼もしさを感じた。  

Kurasu主催、第一回ブリュワーズトーナメント

 (English follows) Facebook - https://www.facebook.com/events/1233192973490878/ Kurasu主催、第一回ブリュワーズトーナメントがMTRL KYOTOで開催されます!コーヒー業界の中には様々な大会が存在しています。ラテアート、バリスタチャンピオンシップ、ロースティング…その中でもコーヒーを提供するにあたっての原点である「抽出」に注目して大会を開催します。全員が当日発表される同じ豆を使い、どんな抽出器具を使っても OK。参加枠はコーヒー関係のプロ、ご自宅でコーヒーを淹れるのが大好きというアマ問わず皆が一緒になって作り上げるこのイベントは、垣根を取り払い、自分の楽しみ方を思い切り表現できる素晴らしいチャンスです。同じコーヒーでこんなにもいろいろな淹れ方があるんだ…こんなにも味が変わって来るんだ…と、コーヒーの奥深さをぜひ体感してみてください。観覧費:1000円 (MTRL KYOTOにてワンドリンク付き+ Kurasuから粗品を差し上げます)こちらにて必ず事前登録をお願いします:http://ptix.at/JXWI6mブリューイングを観覧していただくだけではなく、ワークショップや解説等、参加してくださる皆さまが楽しめるセッションも予定しています。出場申し込みトーナメント出場費:1500円12月5日11:59PM応募締め切り、12月6日に18:00-Kurasuのインスタグラムのライブストリームにて抽選を配信します。出場資格:コーヒー関係者、バリスタ、ホームブリュワー(ご自宅でコーヒーを淹れている方)問わず、美味しいコーヒーを淹れるのが好きな方。申し込みはこちらから:https://goo.gl/MMRGcr大会側で支給されるものグラインダーマルコニック社 EK43水:MTRL KYOTO会場内の水道水、もしくはクリンスイ(浄水)。その他必要であればご持参ください。出場者個人でご用意いただくものドリッパー、フィルター、水(お好みのものがあれば)、ケトルその他お好きな抽出器具使用する豆は、当日大会開始1時間前の18:00に発表され、それぞれ200gが支給されます。その後1時間の練習・準備時間が与えられます。<FORMAT/大会概要>1. 大会は複数ラウンドの勝ち抜き戦です。2. 各ラウンドで、出場者3名ずつが同時に抽出を行います。3. 抽出には7分間が与えられ、その時間内に準備、抽出、サーブ全てを行います。4. 時間切れとなった後は、3名のジャッジに対し、同じ見た目の容器にそれぞれの出場者のコーヒーがサーブされます。5. ジャッジはそれぞれのコーヒーを抽出者が分からない状態で評価し、3杯の中で最も良いと思うものを選びます。6. 3,2,1の合図で、ジャッジは一斉に選んだコーヒーを指さします。7. 勝者は次のラウンドへと進み、敗者はそこで出場終了となります。 <RULES/ルール>1. 挽いたコーヒーと水のみが使用可能です。2. どんなタイプのフィルターを使用しても構いません。ペーパー、 メタル、クロス、エアロプレス、その他どのようなものでも使用可能です。3. 出場者は、個人のグラインダー、ケトル、スケール、水、その他抽出器具に関して各々の私物を持ち込み、使用することができます。4. 大会で指定され、支給される豆以外の使用は不可です。5. 出場者は、支給されるサーバーに最低200mlのコーヒーを抽出します。6. 制限時間をこえて抽出されたコーヒーは失格となります。7. 以上のルールに違反した場合は、失格となります。<JUDGING/ジャッジ>Judge:WEEKENDERS COFFEE 代表 金子将浩さんCOFFEE COUNTY 代表 森崇顕さんBeyond Coffee Roasters 代表 木村 (BUNN) 大輔さん1. 各ラウンドにおいて、ジャッジは標準的なカッピングの技術を用いてテイスティングを行います。2. 抽出者の名前は各カップの底面に完全に隠れた状態で記載されています。3. スコアシート・ジャッジ基準はありません。ジャッジは、個人的に好きで飲み干したいと思うカップを選びます。4. 各ジャッジが各々の結論を出し、ジャッジ同士が話し合うことはありません。5. 3,2,1の合図で、ジャッジは一斉に選んだコーヒーを指さします。6. ジャッジ終了後、MCが一番多くのジャッジに選ばれたカップを持ち上げ、底面に記載されている名前を読み上げます。7. 各ジャッジがそれぞれ異なるカップを選んだ場合、同点となり、MCまたは事前に選出されたヘッドジャッジがテイスティングを行い、勝者を決定します。優勝者にはKurasuより賞品と盾が送られます。一人でも多くの人に、コーヒーの楽しさを伝えたい。コーヒーを、より多くの人に開かれたものにしたい。そんな思いを抱きながら、様々なイベントを開催する傍ら、長らくあたため、育ててきたのがこのトーナメント。記念すべき第一回、是非遊びにきてください!   Our very first...

Seoul, so far. by our friend Vaughan

バスで会場まで移動している間、渡り鳥が飛んでいるのを窓から眺めていた。美しい秋の空にV字型のサインを浮かべるのは、風の抵抗を少なくするためなのか、それともただ単にリーダーに続いているだけであるのか。そんなことを考えていると、自分が組織の一員であったり、流行の中に身を置いていることや、また、人生の中で目標にしている人のことを思い出した。 僕はKurasuのサポートのおかげで、カフェ・ショーとワールド バリスタ チャンピョンシップが開催されているソウルに来ている。幸いなことにいくつかのカフェにも訪れるチャンスがあった。 初めに、カフェ・ショーについてお伝えしたいと思う。会場であるCOEXは広大なスペースを持っていて、今回2フロアを使用して開催されているこのイベントは、東京で行われたSCAJの2倍のスペースはあるだろう。冗談ではなく、会場に到着してから僕は30分間迷子になった。あやうく始める前にギブアップしそうになったんだ。 やっとの思いで迷子から抜け出し、会場にたどり着いた。最初に気づいたことは、一つ一つのブースが東京で開催されたSCAJで見たよりも、もっと大きいことだ。一つ一つのブースは4日間のイベントのためだけに作られたと思えないほど、カラフルでとても可愛い。ここと比べると東京で見たブースはよりシンプルで小さく、基本的な配色が白と黒の2色のみであったことに気づいた。ソウルのカフェ・ショーの会場はみんなの気持ちを盛り上げ、近年のコーヒー業界の盛り上がりを感じさせるものになっていると思う。 韓国のLa Marzoccoチームは新しいLeva machineを発表していた。来年、いろいろなカフェでこのマシンを目にするようになるのではないかと感じた。 Namusairoのブースではパブリックカッピングに参加した。僕のお気に入りはルワンダのシングルオリジンで、ストロベリーの甘さを感じさせるすばらしいものだった。 生豆の卸を行っている会社が少量販売に注力していることに驚いた。大企業が自社と同規模の会社のみと契約を結ぶとは限らないのかもしれない。(同じく質が低いとも限らないのかもしれないとも思った。)彼らは80-90種類の豆を1kgずつ袋にいれて販売していた。小さいカフェやロースター、自家焙煎を行っている人が様々な種類の豆に挑戦し、好みのものを見つけるとても良い機会になると思う。 今日はこのイベントの3日目で明日が最終日、つまりバリスタの世界チャンピョンが決定する日である。ファイナリストはHugh Kelly (オーストラリア)、Kapo Chiu (香港)、Miki Suzuki (日本)、Kyle Ramage (アメリカ)、Ben Put (カナダ)、 Dale Harris (イギリス)。ファイナリストの検討を心よりお祈りすると共に、鈴木 樹バリスタのセミファイナルの様子を写真で紹介しようと思う。      今からまたコーヒーだらけの街に出て、カフェ巡りに出かけようと思う。勾配の急な坂道を、登ったり下りたりしながら周りを見渡してみると、至るところにエスプレッソマシンが置いてあるコーヒー屋さんが目に入る。お店の中ではコーヒーが友達や恋人達のコミュニケーションをよりディープなものにしている。これが韓国のあるべき姿だと思った。 @kurasu.kyotoをインスタグラムでフォローして、僕がアップしているストーリーをチェックしてね。 Love, peace and coffee Vaughan @vja   Kanako Tsunoda

Passage Coffee (東京) : 2017年10月 #クラスパートナーロースター

次にご紹介する#クラスパートナーロースターは、東京・田町のPassage Coffee。   三田通り沿いにある店舗の前に立てば、視線のまっすぐ先に東京タワーが見える。大学があり、オフィス街であり、また観光地でもあるという土地柄、日常と非日常がいそがしく行き交うこの場所では、人通りが途切れることはない。 店内は明るく、木材で統一された内装と、交差するいくつもの直線で構成されていながら暖かみのある空間が印象的だ。カフェではエアロプレスをはじめとした器具や、常時5種類ほどが揃う自家焙煎コーヒー豆も購入できる。   朝一番においしいコーヒーを飲んで、一日のエネルギーにしてほしい―そんな思いを込め、平日は朝7時半、週末は9時にオープンするPassage Coffee。2014年ワールドエアロプレスチャンピオンシップ優勝という輝かしい経歴を持ち、店主として人気店を切り盛りする佐々木さんに、お話を伺った。       コーヒーとの歩み 『初日に、あ、これで飯食っていこう、と』   幼いころからカフェオレを好んで飲んでいたという佐々木さんが、本格的にコーヒーの世界に足を踏み入れたのは大学2年生の時だ。アルバイトとして採用された福岡のスターバックスで、勤務初日、「あ、これで飯食っていこう」、そう思ったという。スターバックスでは、アルバイトにも社員同様丁寧な研修が行われる。そのテイスティングでコーヒーの味わいの幅広さに感動を覚え、就職するなら絶対にコーヒー業界にしよう、と心に決めた。20歳の時だった。   卒業後ドトールに入社し、東京へと引っ越した。ドトールでは2年間店舗勤務で店長の業務をこなし、主にカフェの経営面、ビジネスマネジメントを大いに学んだ。そうして順調にキャリアを積んでいた佐々木さんだが、彼の頭の中にはすでに次のステージへの構想が浮かんでいた。   さかのぼって大学4年の頃、バリスタチャンピオンシップ観戦のため東京を訪れた佐々木さんは、ポールバセット新宿店に足を運んだ。そこで飲んだカプチーノ、スタイリッシュな空間の余韻は福岡に帰ってからも頭から離れなかったという。その記憶は、ドトールで忙しく働きながらも、また新鮮に思い出された。接客、マネジメントと、自分にとって必要なステップは踏んできた。ここへ来て、技術をしっかりと身に着けたいという気持ちがいよいよ強くなってきたのだ。   当時本格的にエスプレッソを扱っているところといえば、デルソーレ、ポールバセットを含めほんの3店ほど。その中で特にポールバセットはバリスタの登竜門のような存在であり、自分の技術を伸ばすなら絶対にここだ、そう感じたという。   その後アルバイトとしてポールバセットに採用され、更にセガフレードなど2つのカフェでのアルバイトを掛け持ちする傍ら、専門学校へも通い、1年間のバリスタ養成コースを修了した。仕事ぶりが認められ、ポールバセットで無事社員として登用された佐々木さんは6年半の間、新宿店を支える大きな存在として活躍することになる。   ポールバセットでは、バリスタとなり実際にマシンを触ることができるようになるまでに長い下積みのステップがある。バリスタになるには、コーヒーの知識、カッピングを含む味覚の試験、スチームの技術などの審査に合格する必要がある。厳しく長い下積みと言えば、少々古い体質のようにも聞こえるが、半端な気持ちで臨んではいけない仕事であるということ、そして、基礎ができていなければ美味しいエスプレッソなど作ることができないという意味で、順当であるとも思う、そう佐々木さんは話す。   無事にバリスタとなった佐々木さんは、ポールバセットの渋谷進出後、新宿店をほぼ一任され、時間は忙しくあっという間に過ぎていった。       エアロプレスチャンピオンシップへの挑戦、そして世界へ 『負けてすごく悔しかった』   初めてのエアロプレスチャンピオンシップへの挑戦はある日突然訪れた。上司が佐々木さんの名前で参加申し込みをしたというのだ。それまでほとんど触ったことがなかったエアロプレス。戸惑いながらも、大会までの2か月間特訓を重ねることにした。   初めてエアロプレスと向き合い、抽出してみた感想は「ストライクゾーンが広い道具」。手探りの一度目から、ある程度おいしいコーヒーが抽出できたのだ。しかし現実はやはりそう甘くはなく、大会では2回戦で敗退。 突然訪れた機会だったとはいえ、負けた悔しさは強く、来年必ず再出場しよう、そう心に決めた。   ポールバセットの看板商品はあくまでも世界一位を獲得したエスプレッソ。 しかし決意を固めた佐々木さんは、店舗ではまだメニューになかったエアロプレスをメニューに追加するよう働きかけ、自分の時間も使い細々とではあるが練習を重ねた。   「エアロプレスって、ある程度のところまでは簡単なんです。でも、完璧な一杯を追求しようとすると、味に影響する要素が多すぎる」と佐々木さんは説明する。エスプレッソと同じく気圧で抽出する手法は、よく言えば味づくりの幅が広く、様々な味が出せる。しかしその逆を言えば、あまりに幅広く様々な味を出せるため、照準を絞るのが難しく、また外してしまう可能性も大きいというのだ。   翌年の大会には、ティムウェンデルボーなどを参考に世界でスタンダードとされる味の取り方を研究し臨んだ。求める味を模索する中で新たに視野に入った世界での味の流れ、酸味を押し出すだけではなく、クリアでなければ表現できない産地個性など、それまで日本のコーヒーしか知らなかった自分の中での価値観が世界に向けて変わった瞬間、それが最大の転換期だったという。そして挑戦した二度目の大会で優勝、更に2か月後に控えていた世界大会でも、見事に優勝を果たすことになる。   前日まで調整を尽くした一杯を出し、その後も微調整を繰り返したと、佐々木さんは緊張感あふれる当日の様子を話してくれた。その時使用したのはボリビア。甘味が強く、ダークチョコレートを感じさせる豆だ。ただ淹れただけではフルーティーさはなく、その果実味を引き出し明るい酸と甘味のバランスを取ることで、ユニークさを表現し、評価につながった。 自分がおいしいと思うコーヒーが、世界で一番のコーヒーとマッチした瞬間だった。     焙煎の始まり...